2006年発売
中学生の謙吾は、母と妹を追って高知から上京した。昭和37年、新聞配達でまわるワシントンハイツは、渋谷区にありながらアメリカそのものだった。謙吾は高校を卒業し、旅行会社へ就職する。東京オリンピックや万博に沸く昭和。ひたむきに働き、ひたむきに恋をする。自身の青春を描いた、初めての現代小説。
銀行の事務員として地味な毎日を送ってきたベット。彼氏はできないし、親友のペネロピは婚約しちゃうし、上司には嫌味を言われるし…そばにいてくれるのは愛犬のミリントンだけ。ヤケになって後先考えず仕事をやめたところへ、おじさんのコネが運良く働いて、なんとパーティを企画するPR会社に転職できた。この新しい仕事の最大のミッションは、なるべく派手なパーティを企画して一流のセレブをたくさん呼び、スポンサーの知名度を上げること。そのためには、毎晩あちこちのパーティに顔を出して、あの手この手で有名人とお近づきにならなければならない。友達になれればよし、恋人同士になれればもっとよし!?そのうちベットにも、プレイボーイで有名なイケメン弁護士が近づいてきて…『プラダを着た悪魔』でヒットを飛ばしたワイズバーガーが、今度はNYパーティ界を舞台に働く女性を描いた!ゴージャス感も感動もさらにパワーアップした、コミカルなラブ・ストーリー。
七王国の鉄の玉座を賭けた王都キングズランディングの決戦の夜。湾を埋めつくした大船団は緑色の燐火に呑まれ、巨大な鎖に捕らわれて次々と沈没し壊滅した。一夜明けて、民衆は都の無事を喜び、少年王ジョフリーの統治を歓迎する。南部の大家ティレル家との婚姻による同盟も決まり、ラニスター家の勢力は隆盛を極めた。一方、敵対するスターク家には、かつてなく苛酷な運命が舞い下りていた。“北の王”として蜂起したロブは、戦で連勝するも若さゆえに政治的失敗を繰り返す。その母ケイトリンは、二人の幼い息子が鉄諸島人に処刑されたと知り、さらに消息のない娘たちを案じて、ラニスター家の捕虜ジェイムの独房に赴き、決意の剣をとる…。秘されていた愛憎や欲望が露わになり、さらなる意外な邂逅と運命の狂涛が描きだされる-世界21カ国で愛され、ローカス賞を連続受賞した、至高の異世界戦史シリーズ第三部、開幕。
菖蒲咲く頃、大河内家を訪問した老侍が、“昌道公潔白の儀”と称する文を大目付の政盛に手渡し、そのまま門前で腹を切った。二月ほど前に、沼田藩主真田昌道が阿片抜け荷の咎により、右京に介錯されていたのだ。またぞろ田沼意次の謀なのか…。
天は照々として誠を照らすー貧乏籤を引き、斬首に立ちあうこととなった勘兵衛は、盗みを働いた医者の丹唇を読んでしまう。近在の者に慕われていたという罪人の刑死に、まんじりともしない勘兵衛だったが。粋に裁いて、意地で斬る。
惚れた娘お春と一緒に歩き、笑顔までかわす小間物売りが気になってしょうがない文之介。目を凝らせば、丈右衛門が心を寄せるお知佳のもとにも姿を見せる駒蔵だった。なんとはなしに訝しさを覚えた文之介は、勇七にあとをつけさせるが…。
旧弊で形式的なヴィクトリア朝から、自由で民主的なエドワード朝へ移行していく20世紀初頭のロンドン。自分の居場所を見つけられずに悶々としていた女性が、婦人参政権運動に出合い、のめり込み、そして悲劇的な最期を遂げる。繊細な筆致から紡ぎ出される女性の「叫び」が聞こえたとき、あなたが覚えるのは共感だろうか、反発だろうか。
地球の映し鏡のような、とある惑星。そこには姿こそ異形ながら、自由に暮らす生物たちが存在する。そんな彼らを通して描く、人間の「本質」「正体」とは!?「真理」を追い求めた哲学小説。
東北の山中、ダムによって外界と孤立した「秘境」で生き続けてきたひとりの孤独な少女と、彼女を現代社会に連れ出そうとする新聞記者との魂の交流。自然と文明の対立を超え、21世紀の私たちが真に幸福に生きられる道を問いかける。
社会科教師のおでこのテカリ占いをしては大受けしていた陽気でマシンガンな中学時代からクールで一目置かれる弓道部員の高校時代を経て、大学生になった私がしたことは、恋をすることだった。遠くの的を見抜く力のおかげで視力が2.0以上になっていた私はその年の秋、キャンバスで遙か遠くから歩いてくる同じ学年の男の子に「今度は的じゃなくて、別のものを射抜くことにしたんです。例えば男子とか」と笑いかけていた。怖いくらい、好きになる。それでもいいと思った。最強の恋愛小説。
生と死を凝視しつづけた作家が、兄の死を題材に自らの死生観を凝縮し、死の直前まで推敲をつづけた短篇「死顔」。死の静謐を期し、延命措置への違和が表明されている。著者の最期とも符合する表題作など、全五篇の遺作小説集。
ゾシマの言葉にしたがって、アリョーシャは父の家に出かける。父と長男ミーチャとの確執は、激しさを増していくようだ。イリューシャとの出会い、スネギリョフ大尉の家で目にしたものなど、アリョーシャの心はさまざまに揺れ動き、イワンの「大審問官」で究極の衝撃を受ける。
冴えない日々をおくる高校生、大橋賢三。山口美甘子に思いを寄せるも彼女は学校を中退し、女優への道を着々と歩み始めていた。少しでも追いつこうと、賢三は友人のカワボンらとバンドを結成したが……。