2006年発売
ーこの一切をはじめたのは、ほんとうは誰なんだよ!!-だからおれの夢の中に出てくる『虹の彼方に(オーヴァー・ザ・レインボウ)』だって言ってるじゃねえか。一九七三年夏、東京拘置所。『カール・マルクス』『ウルトラマン』等夢みる囚人達と所長『ハンプティ・D』の間で演じられる可笑しくも悲痛な思想劇。『さようなら、ギャングたち』『ジョン・レノン対火星人』と並び著者の原点を示す秀作。
ある日突然、幼なじみ奈津の夫・憲吾が姿を消した。市子は、夫捜しに奔走する奈津から一人娘の美月を預かる。女性の影もちらつく憲吾の失踪だったが、市子も、まりも、三宅ちゃんも、究さんも、土方さんも、いつもと変わらず、美月の運動会に集まった。事態はやがて、市子の元恋人も登場して意外な展開を迎える。
会社に捨てられた桑崎は、恨みから部長を撲殺する。逃走の途中、桑崎は追突事故に巻き込まれ、前の車の中で女が焼死するのを目撃する。翌日、ニュースは、部長が殺人現場から遠く離れた路上で「ひき逃げで死亡した」と報じた。「違う!」。二つの事件は奇妙に絡み合い、驚くべき人間模様が浮かび上がる。
“私の事を、父は「ガラスの人形」だと呼んでいた。脆い、脆い、透き通ったガラスの人形だと。その通りかもしれない”…森の館に幽閉された美少女と、大都会の空白に起こる連続殺人事件の関係は?錯綜する人間の欲望と、息もつかせぬストーリー展開で、日本ミステリ史上に燦然と輝く赤川次郎の処女長篇。
渋谷の利権を巡り、渋六興業と敵対する組の幹部を南米マフィア・マスダが誘拐した。三つ巴の抗争勃発も辞さない危うい絵図を描いたのは、なんと神宮署生活安全特捜班・ハゲタカこと禿富鷹秋。狙いは一体何なのかー己の欲望のままに拳をふるい、敵味方なく外道の道をゆく稀代の悪徳警官シリーズ第三弾。
バカンス先で内乱が発生し、虐殺を逃れた真央子、祝子、ありさがたどりついたのは、山間の小さな村、テンバヤン。そこは異なる宗教、異なる価値観のせめぎあう異文化接触地点だった。村人は真央子たちをかくまいつつ、「解放」と称して略奪、支配を強めるゲリラと対決する。彼女たちは無事、日本へ帰れるのか。
脊椎手術のためにノースカロライナ州を訪れていたライムとサックスは、地元の警察から捜査協力を要請される。男一人を殺害し二人の女性を誘拐して逃走した少年の行方を探すために、発見された証拠物件から手掛かりを見つけるのだ。土地勘もなく分析機材も人材も不十分な環境に苦労しながらも、なんとか少年を発見するが…。
町の問題児だった“昆虫少年”を無事逮捕したが、尋問するうちに少年の無罪を信じたサックスは、少年とともに逃走する。少年が真犯人だと確信するライムは、サックスを説得するが、彼女は聞こうとしないばかりか、逃走途中で地元の警察官を射殺してしまう。少年が嘘をついていたことも判り、状況は絶体絶命のデッドエンド。
猪苗代の高級スキー・リゾートで凄惨な連続殺人事件が発生した。死体のかたわらには“処刑魔”の署名が入った犯行声明文が。それは十年前の“処刑魔連続殺人事件”と同じ手口だったが、“処刑魔”はすでに逮捕され、死刑に処せられていた。狡猾な模倣犯を追い、鉄壁のアリバイと密室殺人の謎に挑む水乃サトル。
自衛隊は隊員に存在意義を見失わせる「軍隊」だった。訓練の意味は何か。組織の目標は何か。誰もが越えねばならないその壁を前にしていた一人の若い隊員は、隊長室から発見された盗聴器に初めて明確な「敵」を実感する…。自衛隊という閉鎖空間をユーモラスに描き第14回メフィスト賞を受賞したデビュー作。
前の彼女に振られてから、30歳になるまでに結婚して見返してやるのだと誓っていた僕。指輪も買った。誕生日も近い。しかし、転んで頭を打ち、いったい誰にプロポーズしようとしていたのか肝心の記憶だけを失ってしまう。僕の本当の相手は誰?大人になりきれない29歳・オトコの結婚観をチクリと描きだす。
落ちこぼれ高校に通う理穂、美咲、如月。十七歳の誕生日を目前に理穂は失恋。身体が弱く入院を繰り返す美咲は同情されるのが大嫌い。如月は天才野球選手の兄・睦月と何かと比較される。でもお構いなしに、それぞれの夏は輝いていた。葛藤しながら自分自身を受け入れ愛する心が眩しい、切なくて透明な青春群像小説。
大坂夏の陣から七〇年、天下は徳川綱吉の下、泰平の世にあったが、御三家のひとつ紀伊徳川藩で覇権奪還をうかがう者がいた。大番組頭・加納平次右衛門である。彼こそ大坂夏の陣で死んだとされる真田大助の孫・幸真であった。豊臣秀頼とともに炎上する城を逃れた大助は紀州に潜み、虎視眈々とその時を待っていたのだ。ついに豊臣の血を引く若君が誕生。幸真の策略は動き出したのだが、その前に立ちはだかる敵が…。真田一族の悲願は成るのか!?豪剣、秘剣、忍術が入り乱れる興奮の時代小説。
新しい年の幕開けから、山神大地は同級生の淳子、大学生の先輩・小泉ゆかり、ゆかりのお母さんと躯を重ねつづける。彼女たちはみな、欲望のままに大地との交わりを愉しんでいた。心のつながりを大切にする大地だが、躯も欲望に素直でいようと誓うー。怒涛の展開と濃厚エロス。超人気官能シリーズ第15作。
ST山吹の真意とはーー 心の闇、心の扉 新興宗教の若者4人は集団自殺をしたのか 密室状態のマンションの一室で、若者4人の死体が発見される。彼らは皆新興宗教団体の信者たちだったーー。集団自殺と片付けられかけたが、STは他殺の可能性を追う。入り組んだ宗教団体内の人間関係と、揺れ動く人間心理。僧籍を持つST山吹が、事件だけでなく人の心の裏側を解く、「色シリーズ」第3弾。
貧しくも、明日への夢を持って健気に生きる女。深い心の闇を抱えて世間の片隅にうずくまる博徒。武家社会の終焉を予想する武士の慨嘆。立場、事情はさまざまでも、己の世界を懸命に生きる人々を、善人も、悪人も優しく見つめる著者の目が全編を貫き、巧みな構成と鮮やかな結末とあいまった魅惑の短編集。
科学者・真賀田四季。 幼くして発現する、真の天才。 圧倒的人気のカリスマ、真賀田四季の物語、第1弾。 天才科学者・真賀田四季(まがたしき)。彼女は5歳になるまでに語学を、6歳には数学と物理をマスタ、一流のエンジニアになった。すべてを一瞬にして理解し、把握し、思考するその能力に人々は魅了される。あらゆる概念にとらわれぬ知性が遭遇した殺人事件は、彼女にどんな影響を与えたのか。圧倒的人気の4部作、第1弾。 プロローグ 第1章 透明な決意そして野心 第2章 殺意と美の抽象 第3章 神の造形あるいは破壊 第4章 分裂と統合すなわち誕生 第5章 危機回避の原理と手法 第6章 永劫の約束そして消滅 エピローグ 『四季 春』を読んで
四季、13歳。 あの夏、あの島で何が起こったのか? 孤島の事件、その真相を描く「四季」4部作、第2弾。 13歳。四季はプリンストン大学でマスタの称号を得、MITで博士号も取得し真の天才と讃えられた。青い瞳に知性を湛えた美しい少女に成長した彼女は、叔父・新藤清二と出掛けた遊園地で何者かに誘拐される。彼女が望んだもの、望んだこととは? 孤島の研究所で起こった殺人事件の真相が明かされる第2弾。 プロローグ 第1章 欲望と苦心その攪乱 第2章 隷属と支配の活路 第3章 祈りと腐心は似ている 第4章 希望は懐かしさの欠片 第5章 冷徹と敏捷その格調 エピローグ 『四季 夏』を読んで