出版社 : 光文社
世界にはまだまだ明らかになっていない秘密があります。正しい恨みの晴らし方とか、行列に並ぶ最良のタイミングとか、披露宴でやってはいけない余興とか、裏切り者に見える男が覗き込んだ深淵とか、あなたにもっともふさわしい名前とかー。ここに、そのヒントがあります。気付くも気付かないも、あなた次第です。日々の違和感を増殖、暴走させてたどり着いた前人未到の傑作集。
車椅子の刑事・蒼井俊が捜査する連続殺人事件。被害者はSNSなどで糾弾されながら司法に裁かれなかった者たちだった。彼らの悪行をなぞらえるかのような異常な死に様に、蒼井は犯人の自己顕示欲を見て取る。そして、残酷な手口にかつて警察組織を裏切った稀代の犯罪者の存在を感じた。その人間こそ、彼の四肢の自由を奪った元凶だったー。
探偵の音更風゛(おとふけぶう)は、カルト的人気監督・鳳灾子(おおとりさいこ)から新作映画の監修を依頼された。風゛にとっても因縁のある名作本格ミステリ小説の映画化だ。灾子が起こした過去の事件の顛末や、関係者の証言、原作のストーリーから、風゛は灾子が殺人を企てているのではという疑念を捨てきれない。死体が発見されてから推理を始める「本格ミステリ」の探偵ではなく、事件発生前に止められる名探偵になりたいと考える風゛だったが、無情にも殺人計画は動き出していたー。連絡不通の孤島。奇怪な館で次々と起こる殺人。巻き込まれた名探偵。これはまさしく、「本格ミステリ」!
群馬県警本部捜査一課の刑事、白澤蕗の前に、数年ぶりに現れた兄・然。小狡くて卑しい然とは縁を切っていたが、200万円を用立ててくれと泣きつかれる。然にとある負い目がある蕗は、追い詰められて署の証拠品保管庫から現金を盗み出す。数日後、元検事の小曾根に金を借り保管庫に戻すが、今度は小曾根から強請られる。借用書を取り返そうと小曾根宅へ侵入した蕗だったが、そこには目を疑う光景があったー元白バイ隊員の著者が挑む、警察小説の新機軸!
明治十年、西南戦争が勃発。その戦火は広がり、大分・臼杵にも迫ろうとしていた。すぐに臼杵の士族達は集まり官軍に付くことを決め、士族達による守護隊ー勤皇臼杵隊を編成する。予備隊に配属となった赤嶺煕にとって、これが初めての戦だった。煕は、攻め入る薩軍から町や大切な人たちを守ることができるのか。
天下泰平な、日ノ本昆虫界を築き上げてきたカブト幕府。そこに、幕府転覆を企てようとノコギリクワガタ藩主、オオスズメバチ藩主が肢を組んだ…。幕府に従わぬ毒蟲、水生昆虫をも巻き込んだ戦乱の幕が切って落とされ、さらには突如、強大で残虐な南蛮虫までもが来襲!日ノ本の昆虫たちの命と名誉を守るため、カブト将軍は自らを顧みず戦いに挑むのだった!
5年間勤めた会社を辞め、街の小さな喫茶店「ブルー」でアルバイトをする鳴海優輝。「ブルー」には、秘密を抱えた人々が集まってくる。打ち明けられる秘密に向き合う鳴海にも、周りに言えない想いがあった。セクシュアリティの多様性を繊細に描く、畑野智美の新たな代表作。
ー海は、この星の涙の、行き着く先かもしれない。逃げるように移り住んだ土地で十二年ぶりに再会してしまった元恋人、クラスメイトのタイムカプセルを掘り起こしに行く小学生、職場からの逃亡を企てる学校教諭と保育士、絶縁していたはずが新たな子を連れて現れた父親、潰れた八百屋に隠されていた七年間の秘密、若き青年との疑似恋愛に溺れる編集者、癌になった友人と、海岸に打ち上げられた鯨。すべて、この海の街で波のように生まれては消えた、ちいさな物語。
元自衛隊員の遺体がまた見つかった。共通するのは、政情不安下の南スーダンにPKO部隊として派遣された“特戦群”メンバーだったこと。俺たちは狙われているー同隊所属の風戸亮司の疑惑は深まり、危機からの突破口を探り始める。時を同じくして一人の女性医師が南スーダンから帰国し愛娘と再会した。だがその直後、凄惨な悲劇に遭遇し…。彼の地に関わった者たちに迫る不穏な影の正体は?そして、その目的とは?自衛隊日報問題を起点に繰り広げられる緊迫の軍事サスペンス!
二〇一一年の東日本大震災で津波による被害を受け、二百年以上続く酒蔵を流された矢吹酒造所。地震後の原発事故によって、町に住むことさえできなくなった八代目の光は、酒蔵の再建を断念していた。津波に襲われ、一人の少女を救えなかったことを今でも悔やんでいる光だが、テレビ番組の取材を受けたことで、再建の意志を固める。家族や関係者のみならず、金融機関や役所も味方につけ酒蔵の再興に挑む姿を活写する、“人生の応援歌”!
無人のはずの工場で爆発が起き男が死んだ。現場に残されたパソコンから、国際テロ組織の指示による爆弾製作中の事故の可能性が浮上。警視庁がその線で捜査を進める中、花房京子が男の遺留品を辿り接触したのは、元公安警察の犯罪評論家としてメディアを賑わす角松麻由子だった。だが、週刊誌が角松と男の決定的な繋がりをスクープし、事態は予想外の方向に向かい…。
クラスメイト襲撃事件を捜査する小学校の名探偵。滅亡に瀕した人類に命運を託された“怪物”。郭町の連続毒殺事件に巻き込まれた遊女。異星生物のバラバラ死体を掘り起こした三人組。見世物小屋の怪事件を予言した“天使の子”。白井ワールド炸裂!心を掻き乱す五つの本格ミステリ!
ベストセラー作家・森林麻美がブログで自死をほのめかし「私の死体を探してください。」という文章を残して消息を絶つ。担当編集者の池上は新作原稿と人気シリーズのプロットを手に入れるため麻美を探すが、その後も麻美のブログの更新は続き、さまざまな秘密が次々に暴露されていく。ブログの内容に翻弄されていく関係者たち。果たして麻美の目的は?そして麻美は本当に死んでいるのか?人間の醜い欲望が溢れだすノンストップスリラー。創作大賞2023(note主催)W受賞!“ミステリー小説部門”光文社文芸編集部賞&テレビ東京映像化賞。
延暦十九年。駿河国司の家人・鷹取は、軍馬を養う官牧で己の境遇を嘆く日々を送っている。ある日、近くの市に出かけていた鷹取は、富士ノ御山から黒煙が噴き上がるのを目撃し、降り注ぐ焼灰にまみれて意識を失う。一方、近隣の郷人や遊女などの避難民を受け入れた牧は、混沌とする。灰に埋もれた郷では盗難騒ぎが起こり、不安、怒り、絶望がはびこるなか、京から坂上田村麻呂による蝦夷征討のための武具作りを命じられる。地方の不遇に歯噛みする鷹取はー。平安時代、富士山延暦噴火。大災害に遭った人々の苦悩と奮闘の日々を描く、歴史パニック長編。
寄生、消滅、召還…特殊条件下の本格パズラー。あなたは“蛇”?それとも人間?人間の身体と記憶を乗っ取る人工生命体“蛇”は、“衣裳替え”を繰り返し悠久の時を生きてきた。あるとき、五匹の“蛇”はそれぞれ、何者かに襲われ、一匹の“蛇”が行方不明になる。最年少の“蛇”で女子高生に寄生する伍ノは、一族の長から事件の調査を任され、さらに満月の集いのための新たな衣裳候補の調達を頼まれる。同級生を騙して廃墟となった伝説の館に卒業旅行に行く伍ノだが、それは惨劇の幕開けだった…。
放火事件で「わたらいワイナリー」の社長が死亡した。命を取り留めた高校生の息子は記憶を失い、日常生活にも不自由が残る。母親が献身的に寄り添い、恋人も記憶を取り戻すための援助を惜しまなかった。しかし、その恋人が室蘭地球岬で死体となって見つかってしまう。放火事件と殺人事件。舟見警部補は解決の見えない状況に、かつて名推理を披露した青年を思い出すー。