2004年発売
事件が起きたのは、五能線沿いの海辺にある不老不死温泉だった。一人で温泉旅行を楽しんでいた警視庁の刑事は、ふとしたきっかけで知り合った女性に誘われて、一緒に露天風呂に入った。しかし、その女性が翌朝、露天風呂で死体となって発見された。容疑をかけられたのは、警視庁の刑事だった。知らせを受けた十津川警部はすぐに部下の刑事が拘置されている弘前署に向かった。もちろん、その刑事は殺害を否定している…。
秋沢紗矢香は、夫・亮の母親の墓参りの帰りに、娘・真希と三人で甲府昇仙峡を見物した。みごとな渓谷美をたんのうしていたが、亮に連れていかれた山小屋を見たとき、幼い頃の自分の誘拐事件を思い出した。それが、後に殺人事件に巻き込まれるきっかけになるとは知らずに…。1年後、その山小屋で一人の男が殺された。さらに、東京でも殺人事件が発生した。ふたつの事件は無関係のように見えたが、じつは…。
「火事で行方不明になった姉が宝物にしていたアイドルスター・紅林真紀のサイン色紙が、インターネットオークションに出され、その出品者・石田友雄の絞殺死体が多摩川で発見された。その真相が知りたい-」。『週刊ジャパン』編集部に届いた一通の手紙は、神戸で印刷業を営む野辺昭一からのものだった。その後、昭一の姉・藍子がコレクションしていたアンティークドールも石田の部屋から見つかった。自分のサイン色紙と人形の謎を、「特命記者」真紀が追う。だが、第二の殺人が起こり、その死体も藍子の人形を抱いていた…。
相田みつを×川上健一。書と小説のコラボレートによって生まれた新感覚短編集!しみじみと心に染みわたる書と小説が全30編。毎日、暦をめくるように、三十日間、三十の人生と感動に出会えます。
生まれて初めて、ひとを「好き」になった瞬間を、覚えていますか?14歳の少女が恋をした。ばななワールドの新たなる幕開け、心温まる永遠のファンタジー。
ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。もういない、わたしの弟。-天使みたいだった少年が、この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。ある雪の日、わたしの耳に、懐かしい音が響いて…。物語作家いしいしんじの誕生を告げる奇跡的に愛おしい第一長篇。
父の故郷「南山」、母の故郷「多々羅川」、夫と娘を捨てて出奔した「名古屋駅」、作家としての出発点であり、男との複雑な関係も始まった「三鷹下連雀」そして「西荻窪」「野方」、ついに長年の出家願望を成就させた「本郷壱岐坂」。父、母を育み、様々な波乱を経て一人の女流作家が生み出されていった土地を、八十歳にして改めて訪ね、過去を再構築した「私小説」。野間文芸賞受賞作。
警官が襲われるのを目撃しながら見殺しにした男が、汚名をそそぐために警官に転職した。胸の内に深く傷を負った彼が青春をかけて証明しようとしたものとは!? 「証明」シリーズ第二作。
悪の化身セイント・デインを追って、新たな世界「クローラル」にやってきたペンドラゴン。すべてが水に覆われた不思議な世界、そして戦いの舞台は大海に沈んだ伝説の都市だったーー。ハラハラドキドキ倍増の第二巻!
夜を徹して八十キロを歩き通すという、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。生徒たちは、親しい友人とよもやま話をしたり、想い人への気持ちを打ち明け合ったりして一夜を過ごす。そんななか、貴子は一つの賭けを胸に秘めていた。三年間わだかまった想いを清算するためにー。今まで誰にも話したことのない、とある秘密。折しも、行事の直前にはアメリカへ転校したかつてのクラスメイトから、奇妙な葉書が舞い込んでいた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫るー。
俺は飲んだくれの失業者。ブルテリア、ロッコを道連れに悲しみと真実だけが。ブコウスキーが「わたしの神様」と敬愛したジョン・ファンテの息子が、父への深い思いをこめて書いた自伝的小説。
本書は怪奇小説、それも英国の古風な、それでいて少しひねくれた、変わった味の作品を中心にまとめたアンソロジーである。不思議な話、奇怪な話、そして怖い話の……。ベンスンら巨匠の知られざる名品から、通を唸らせるウェイクフィールドら名手の逸品、奇妙な味わいの珍品、そして極めつきの恐怖譚まで、本邦初訳作を中心に22編を厳選。古雅にして多彩な怪奇小説をご賞味あれ。
ヨーロッパに渡って画家として成功したセスは、数年ぶりに懐かしいセントクリストファーの町に帰ってきた。帰ってくるについては深刻な理由があったが、それは愛する家族にも言えないものだった。彼は町にできた花屋で店主のドルーと知り合い、その魅力に惹かれる。彼女はワシントンの上流社会に育ったが、婚約者の裏切りに遭って傷ついた女性だった。セスは彼女の絵を描きたいと思い、男性に警戒心をいだくドルーに積極的な誘いをかける…。成長したセスの物語、読者の要望に応えて刊行。
東京高検検事長の一人娘との婚約も整い、順風満帆の超エリート辣腕美人検事・佐納章彦…だが、入院中の後輩検事の代わりに法廷に立ったあの日から、彼の人生は一変した。その夜、裁判で執行猶予を取った相手…極道の次男、17歳の勝輝に部屋で待ち伏せされ、完膚なきまで凌辱されたのだ。訴えることも叶わず、愉悦に慣らされていく章彦の躰。絶望と裏腹の快楽の日々…。凄絶な愛煌くハードラブ書き下ろし。
人気の和太鼓集団・漆間組を立て続けに襲った二つのショッキングな出来事ー助成金打切りの知らせと、組の財産ともいうべき太鼓を積んだ車の事故。外見は可憐なのに中身は超イナセな若手組員、未朋は果敢にもファイナンス会社の新社長、都倉に助成金再開の直談判を試みるのだが…。交換条件として「呼び出されたら、どんな時でもここへ来て、咥えろ!」と躰での奉仕を求められ…。