2001年1月発売
「生類憐れみの令」下の江戸・向島の外れ、森に埋もれた隠れ宿「やみとり屋」では、万七郎と春之介が、鳥を焼いて、浪人や無頼の徒に食べさせている。露見したら死罪も覚悟の危険を冒す彼らは、「剣の力に対して言葉を武器に」を標榜し、御蔭参りに共鳴して公儀に刃向かった。
ストラスナーン公爵は、十二年ぶりにスコットランドへ戻った。暴君の父に反抗して、十六歳で家出して以来の帰郷である。ロンドンでは国王の側近としてまた社交界の花形として注目されてきた。長年にわたる氏族同士の諍いにも無縁でいられたが、父の没後甥のトークィルが騒動を起こしたのだ。宿敵のキルクレイグ一族に囚われの身になった甥を救うべく公爵は、首長との会見に赴いた。その結果、彼の釈放と引きかえにキルクレイグの娘クローラとの縁談を承諾せざるを得ないはめになってしまう。
魔法の素質は本物でも、女の子ゆえに魔術の道に進ませてもらえず、かといって持参金不足で結婚もできずに悩む、年頃のフィアメッタ。父親は大魔術師にして公爵に仕える金細工師。だがその父はいまや息絶え、その強力な霊は邪悪な者のもつ“死霊の指輪(スピリツト・リング)”に囚われようとしていた! 黒魔術から父を守るため、炎の乙女が立ち上がる。時代はルネサンス、恋と冒険の歴史ファンタジイ。
なぜ『ロミオとジュリエット』が、『赤毛のアン』に?!作者モンゴメリが企てた知的な仕掛けとはー?10年の歳月をかけ、永遠の名作、アンの物語の真実を明らかにする、謎解きのすべて。
津村沙世子ーとある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。
狷介な老大富豪、トロイ・フェランが高層ビルから飛び降りた。莫大な富、巨大なコングロマリット、三人の元妻とその子供たち、そして周到に準備された巧妙なトリックを残して。総資産は110億ドル!!しかも、相続人に指名されたのは所在不明、経歴不明の謎の女宣教師。天文学的な金額の遺産を狙って、借金だらけの親族、弁護士、使用人らが暗躍を始めるなか、フェラン・グループの顧問弁護士ジョシュア・スタフォードはひとりの男を起用する。アル中弁護士、ネイト・オライリー。ブラジルの奥地、電話も電気も道すらもない秘境で、果たしてネイトは彼女を捜し出せるのか。
誘拐された子供は闇に消えた。行方は?そして犯人は!?DIY店「パレット・ホームセンター」の社長・斎藤晴彦の一人息子が誘拐された!犯人は三千万円の身代金を要求、巧妙な受け取り方法を画策する。偶然受け渡し場所に居合わせた将棋棋士・水無瀬翔五段と奨励会時代の後輩・安野好平に誘拐の嫌疑がかけられ、捜査は混迷。安野の頼みで水無瀬自身も事件の解明に乗り出すが、やがて、安野は奇怪な殺人事件の犯人として逮捕されてしまう。水無瀬は後輩を救い出せるか?達意のトリックメーカー・本岡類が贈る、極上の本格推理。棋士探偵・水無瀬翔シリーズ最高傑作。
九つの娘が事故に遭った。知らせを聞いて、病院へ。だが娘は入院していない。家に帰ってみると、妻がいない。犬もいない。冷蔵庫にはトランクスと靴下が冷えていて、預金通帳も判こも権利証もない。ふらふら会社に戻ると、オフィスは空っぽで、事務員もいない。すべてがまたたくうちに消え去って、そして妻殺しの容疑がふりかかってきた-麻宮達彦、四十二。果てしない幻のような人生に翻弄された男の静かなる死闘。名手・司城志朗、鮮烈にカッパ・ノベルス初登場。
あの、ユリとケイが帰ってきた!?今回ふたりが派遣されたのは、惑星アムニール。かつて独裁者による恐怖政治が布かれていたが、革命によって崩壊。非情皇帝と呼ばれた独裁者は処刑され、現在は新政府が樹立されている。ふたりの任務は、圧政の崩壊後も執拗に抵抗を続ける独裁政府の残党“皇帝の息子たち”を排除することにあった。クァール族、ムギ誕生の秘密に迫る、オリジナル・ダーティペア、ルーキー時代のエピソード。
ゴールデンゲート・ブリッジを望むサンフランシスコのアパートに移り住んだ建築家の青年アーサーは、入浴中クロゼットから歌声がするのを聞いた。クロゼットを開けると、そこには若い女性がいた。驚くアーサーに、その女性は説明した。彼女の名はローレン。病院の研修医で、この部屋の住人だったが、自動車事故を起こして、自分の「本体」は病院で数ヵ月前から昏睡状態にあるという。つまり、今ここにいるのは「本体」から脱け出た幽霊だというのだ。たしかにローレンの姿はアーサー以外の誰にも見えず、声も聞こえなかった。やがてローレンの話を信じるようになったアーサーは、彼女を救いたいと考えはじめる。だが、そんな彼に難問が。ローレンが安楽死させられることになったのだ。アーサーは周到な計画を立てて彼女の「本体」を病院から盗み出すことに成功、子供時代を過ごした田舎の家に隠れることになった。そこでいっしょに暮らすうちに、二人の間にいつしか愛が芽生えてきた。だが、この奇妙な状態がいつまで続くか保証はなかった。しかも、警察が捜査をすすめ、二人のもとに迫っていた…。