2001年1月発売
『阿部一族』は殉死の問題を取り扱った作品で、封建制のもとでの武士道の意地が、人間性をぎりぎりにまで圧迫して、ついにはその破滅に至らせる経緯を、簡潔な迫力ある筆で描いた歴史小説の傑作。他に鴎外の初期歴史小説の代表作『興津弥五右衛門の遺書』『佐橋甚五郎』の二篇を収める。
孤児になり、修道院を追われたジュリエットとジュスチーヌのふたり。姉はその美貌を利用し、すすんで淫蕩に身を任せ、まんまと出世を果たすが、純真な妹ジュスチーヌは、美徳をかたく守りつづけたために、くりかえし悪徳に迫害される。本書は革命期に刊行された思想小説で、サドが初めて世に送った作品である。本邦初訳。
地 図 ベハル公爵に捧げる献辞 序 文 機知に富んだ郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ 第一部 第一章 名高き郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャの人柄、および生活ぶりについて 第二章 機知に富んだドン・キホーテが郷里をあとにした最初の旅立ちについて 第三章 ドン・キホーテが騎士に叙された愉快な儀式について 第四章 宿屋から出発したわれらの騎士に起こったことについて 第五章 ひきつづき、われらの騎士の災難が語られる 第六章 司祭と床屋がわれらの機知に富んだ郷士の書庫で行なった、愉快にして大々的な書物の詮議について 第七章 われらの善良なる騎士、ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャの二度目の旅立ちについて 第八章 勇敢なドン・キホーテが、かつて想像されたこともない驚嘆すべき風車の冒険において収めた成功、および思い出すのも楽しいほかの出来事について 機知に富んだ郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ 第二部 第九章 ここでは凜々しきビスカヤ人と勇敢なるマンチャ人とのあいだに繰り広げられた瞠目に値する戦いに決着がつけられる 第十章 ドン・キホーテとビスカヤ人とのあいだに起こったさらなる冒険、およびドン・キホーテが一群のヤングワス人に出くわしておちいった危機について 第十一章 ドン・キホーテと山羊飼いたちのあいだに起こったことについて 第十二章 ドン・キホーテといっしょにいた者たちに、ある山羊飼いが語ったことについて 第十三章 ここでは羊飼いの娘マルセーラの話に結末がつけられ、またそのほかの出来事も語られる 第十四章 ここでは死んだ羊飼いの絶望の詩篇が披露されると同時に、思いもよらぬ出来事が語られる 機知に富んだ郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ 第三部 第十五章 ここでは冷酷なヤングワス人たちと出くわすことによってドン・キホーテにふってわいた不運な冒険が語られる 第十六章 城だと思いこんだ旅籠で機知に富んだ郷士に起こったことについて 第十七章 ここでは勇敢なドン・キホーテが狂気ゆえに城と見なした旅籠で、善良な従士サンチョ・パンサとともにこうむった無数の災難がなおも続く 第十八章 ここではサンチョ・パンサが主人のドン・キホーテと交わした会話、および聞くに値する冒険が語られる 第十九章 サンチョが主人と交わした気のきいた会話、主人にふりかかった死体の冒険、および、そのほかの名高き出来事について 第二十章 勇敢なドン・キホーテが、この世の名にしおう騎士たちがかつてなしとげたいかなる冒険よりもやすやすと、ほとんど危険な目にあうことなくやりとげた前代未聞の冒険について 第二十一章 燦然たるマンブリーノの兜を奪取するにいたったとびきりの冒険、ならびに、われらの無敵の騎士に起こったそのほかのことを扱う章 訳 注
地 図 機知に富んだ郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ 第三部(続き) 第二十二章 行きたくもない所へ無理やり連行されていく、多くの不幸な者たちにドン・キホーテが与えた自由について 第二十三章 シエラ・モレーナ山中で高名なドン・キホーテに起こったこと、すなわち、この真実を語る物語のなかでも最も珍しい冒険のひとつについて 第二十四章 ここではシエラ・モレーナ山中での冒険が続く 第二十五章 シエラ・モレーナの山中でラ・マンチャの勇敢な騎士に起こった奇妙な出来事、ならびに、彼がベルテネブロスの苦行を真似てしたことを扱う章 第二十六章 ここではドン・キホーテが恋心を表現するために、シエラ・モレーナ山中で演じたゆかしき苦行が続けられる 第二十七章 司祭と床屋がその計略を実践した経緯、ならびに、この壮大な物語において語られるに値することどもについて 機知に富んだ郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ 第四部 第二十八章 同じくシエラ・モレーナ山中で司祭と床屋に起こった新奇にして愉快な冒険を扱う章 第二十九章 われらの恋する騎士を、彼がみずから行なっていた厳しい苦行から連れ出すためにとられた愉快な策略と方法を扱う章 第三十章 美しきドロテーアの聡明さ、および、はなはだ楽しくも愉快なことどもを扱う章 第三十一章 ドン・キホーテとその従士サンチョ・パンサのあいだに交わされた、味わい深くも愉快な会話、およびそのほかの出来事について 第三十二章 宿屋でドン・キホーテの一行に起きたことを扱う章 第三十三章 ここでは小説『愚かな物好きの話』が語られる 第三十四章 ここでは小説『愚かな物好きの話』が続けられる 訳 注
鮮烈なイメージと豊かなストーリーで織りなされる30の連作短編集。一つずつ順番に、前話をゆがんだ鏡像のように映しだし、最後の話が最初の話へとつながって、読者をめくるめく意識の迷宮へと導く。人間存在の神秘と不可思議さを映し出す鏡の世界の物語は、『モモ』『はてしない物語』とならぶ、エンデの代表作である。
白いふくよかな乳房を吸われ、花唇に指を刺され、男が唾液を塗ってクリトリスをあたため、鏡子の身体に火をつけた。「必ず僕のことを思い出してくれる。体が覚えているはずだ」-記憶を取り戻すための四国巡礼の先々で男に抱かれ、燃え上がることで過去の断片が甦る美しい尼僧の淫らな宿命。
仄かに光る蛍葉に人工雨が降りそそぐ。実験都市タヒチに突如現れた一匹の鼠が完全無菌状態を目指すコンピュータ“ハンターシステム”に、微妙だが致命的な誤作動を誘発したー。生きるために、外の世界を見るために彼らは行動を起こした!!新しい人類へと進化する少年たちを描く近未来小説の傑作。
高年齢層の爆発的増加。画期的な新薬の開発。健康保険制度の破綻。臓器移植の日常化。遺伝子治療の普及。医者の大量失業……。21世紀は医療ビッグバンの時代だ!!現役の臨床医でもある著者が、これらの大胆な予測を元に描いたユーモア溢れる19編の医療ショートショート集。
「幼ない時」の思い出、青春時代、祖国、そして父母 ……日常のなかに見え隠れする在日二世世代の光と影”を映す。 収録作品 ●幼ない時 ●北の恋人 ●父 母 ●長白 ●初老の男 ●ある三男の結婚 ●プライド ●丁 一 ●Fのこと ●永井の記憶 ●幸一の決心 ●和男の失恋 ●一浩と弘子 ●和美の場合 ●真 希 ●酒飲みOL ●李少年