出版社 : 白水社
流れる水のように流れる水のように
「近親相姦」という愛の極限の姿。「傲慢であるすべを知らないだけに、いっそう澄んだ目で世界をみつめる」ほとんど無教養で単純なひとりの男の生と死。透徹した古典的文体で描き上げたユルスナールの佳品三作。
弑逆者弑逆者
霧と潮風に閉ざされた絶海の孤島の物語と、疎外を強いる近代工場で敢行される王殺しの物語。いずれが現実で、いずれが幻覚かわからないままに、カフカ的な晴朗さのなかで犯行は何度も繰り返されるが、王は死なず、話者は孤島から脱出することができない…。幻想と反逆のロマン。執筆後30年たって発表された、ロブ・グリエの処女作。
僕が戦場で死んだら僕が戦場で死んだら
1968年夏、僕は22歳でヴェトナムへ行った。炎暑と泥濘の中、僕らは狙撃兵の影に怯えながら行軍した。「死」は常に僕らの隣にあった…。鋭敏な感覚とハードな文体で描かれるヴェトナムの青春。
海に投げこまれた瓶海に投げこまれた瓶
物語の生成そのものがテーマである表題作や『ある短篇のための日記』、不吉な回文が作中人物の悲惨な末路を暗示する『サタルサ』、グロテスクな青春の一挿話を回顧する『夜の学校』など。傑作長篇『石蹴り遊び』の作者として知られるアルゼンチンの異才・コルタサルが遺した最後の短篇集。
アドルフ/赤い手帖/セシルアドルフ/赤い手帖/セシル
恋愛における男のエゴイズムを冷徹に分析した「アドルフ」、自堕落な若き日の回想「赤い手帖」、スタール夫人と妻をモデルに愛の苦悩を描く「セシル」。フランス心理小説史上に不朽の名をとどめるコンスタン3部作。