ジャンル : 外国の小説
どの家にも、隠された秘密がある。--毒々しい日常の中で繰り広げられる、重く静かな心理サスペンス小説 ノルマンディー地方バイユーに佇む「ラクロワ邸」には、姉ポルディーヌと妹マチルド、それぞれの家族が暮らしている。一見平穏なブルジョワ家庭だが、長年にわたり積み重ねられた姉妹の確執は、家の空気を重く濁らせていた。ある日、マチルドの娘ジュヌヴィエーヴは突然食事中に奇妙な病に倒れ、二度と歩けなくなる。ポルディーヌはスープの味に微かな違和感を覚え、検査の結果ヒ素が混入していたことがわかり、家族の誰かが少量ずつ毒を盛っていたのではないかという疑心を抱く。やがて、いままで沈黙に覆われていた過去が徐々に浮かび上がってくる……。閉ざされた家の中で崩れゆく心の均衡と、家族という檻が生むある運命を鋭敏な筆致で描く。 ホラーに限りなく近い強烈な心理サスペンス小説 本作を謎解きミステリーとして読むことはできないし、ミステリー的な解決を期待して読む人には困惑や怒りしか与えないかもしれない。本作は読者を選ぶだろう。しかし、だからこそ、「よくも悪くも」といってよいだろうが、本作は私たち読者に強烈な印象を残す。あたかもいびつなホラー、あるいは箍の外れた凄まじいサスペンス小説と向かい合ったかのような読後感をもたらす。これもまたシムノンなのであり、本作によってまたひと回りシムノンの読み方が広がったのではないだろうか。--「解説」より
大恐慌のニューヨークで仕事が入らない土建業者・レナード。上流階級出身で美しく、我儘な妻・ドリスの言いなりの彼は、オペラ歌手志望のドリスを手助けするうち、ひょんなことからレナード自身の歌手としての才能を見出される。 彼の隠れた才能を発見する人気歌手のセシルは、レナードを愛し、レナードはセシルに導かれてバリトン歌手の道を歩み始め、評判を得るが…… ベストセラーの名作『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の著者による、二度映画化された小説が待望の初邦訳。 『ラ・ボエーム』『リゴレット』など、数々のオペラにのせて、軽妙な筆致のなかに欲望と愛憎が渦巻く、異形の冒険譚。 「デビュー作から遺作まで、ケインは一貫してファム・ファタールに翻弄される人間の物語を書いてきた。そして『ハ長調のキャリア』ではその同じ構図が笑いを呼ぶ。だが僕は、この作品でケインがセルフ・パロディを書いたとは思わない。ケインは知っているのである。そもそも「ファム・ファタールに翻弄される人間の物語」というものが、本来的に喜劇を内包しているということを」(藤谷治 本書解説)
雪原の彼方には、なにがあるのか。オオカミ、ムース、ヒグマを殺し、食し、共生するエスキモーの暮らしを生きる、白人一家の魂の物語。いらない「必要」を嫌う特別な画家の父エイブ・ホークリー、原野と外の世界に憧れる兄ジェリー、明るく美しくだれとでも打ちとける姉アイリス、黄色い髪の僕カタック。アラスカでエスキモーと生きる白人一家の苛烈かつ切ない物語。世界でいちばんきれいな初恋の人ドウナ、夜を満たすために物語をかたる狩人エヌーク、お母さんみたいなハグをするジャネットなど、個性的な登場人物が織りなす、21世紀版『野性の呼び声』。
200年前のモンスターが、時代を超えてよみがえる 小説『フランケンシュタイン』は、しばしば「最初の本格的SF」として位置づけられる。科学者が「人間に似たもの」を創り出すというストーリーは、ますます現実味を帯び評価が高まっている。クローンやロボット、生成AIなどが近い将来、さらに人類に近づくとき、我々はどの道を選ぶのか? 共生? 対立? 依存? 排除? 時代を先取りした古典的名作を読み解く。Eテレ「100分de名著」テキストに書き下ろしの特別章・ブックガイドなど大幅に加筆をして書籍化。
クーデター後、カリーナは追われる身となっていた。 マリクは裏切りの罪を抱えつつ、ファリードの弟子としてそばに仕える。 やがて〈大いなる女神〉の警告で、ソーナンディを襲う災厄が「終わりの序章」にすぎないと明らかになる。 カリーナはファリードを倒せるのか? 女王の命を捧げる以外に世界を救う方法はないのか? 命を賭けた旅が始まるーー。
ファリードを討つ力を求め、旅を続けるカリーナ。 その力は本当にあるのか。命を世界に捧げられるのか。さまざまな想いに揺れる。 マリクもまた、守るべき家族と世界、はじめて自分を認めてくれた師・ファリード、そしてカリーナへの想いの間で引き裂かれていた。 運命の定めから、逃れることはできるのか? ふたりが未来のために下した決断とはーー。 シリーズ完結編!!
国内外の児童文化に関する主要な賞の概要と創設以来の受賞情報を掲載した事典。暁烏敏賞、坪田譲治文学賞、フェニックス絵本賞、日本童謡賞、児童福祉文化賞、全国学校給食甲子園など231賞を収録。受賞者名から引ける「受賞者名索引」付き。
ディケンズの代名詞『クリスマスブックス』。1840年代、単行本として次々出版された「クリスマス・キャロル」をはじめ、「鐘の精」「炉端のこおろぎ」「人生の戦い」「憑かれた男」といったクリスマスに因む中篇5作品を収める。
恋も殺しもドラッグも、すべてが熱に焼かれてく。「スペクテイター」誌、「フィナンシャル・タイムズ」紙年間ベストブック選出。世界に衝撃を与えたブラジルの才能による鮮烈デビュー作! ・ 映画『シティ・オブ・ゴッド』以後の最も重要な想像力ーーアイリッシュ・タイムズ ・ いつも何かが壊れるみたいだーー。 マフィアと警察が抗争を繰り広げ、麻薬中毒者たちが路頭をさまようなか、子どもは本物の拳銃で遊び回り、若者たちはビーチで大麻を吸い、恋をする。 ・ ブラジル発、新リアリズム(ノーヴォ・ヘアリズモ)がついに上陸! 世界10カ国で翻訳。 ・ 「ブラジルの大作家ローザに匹敵する」--カエターノ・ヴェローゾ 「人生とはこんなにも容易く狂ってしまう」--ガーディアン 「リオデジャネイロのスラム〈ファベーラ〉生活を、タフで優しい文体で、驚くほど力強く描いた」--カーカス・レビュー
朝ドラ「ばけばけ」で再び注目を集める小泉八雲の名作怪談を、現代の人気イラストレーターが新たな命を吹き込むーーシリーズ〈夜想絵物語〉。 『鎌倉殿の13人』で公式イラストを務めたおく氏の手により『耳なし芳一』がよみがえる!
朝ドラ「ばけばけ」で再び注目を集める小泉八雲の名作怪談を、現代の人気イラストレーターが新たな命を吹き込むーーシリーズ〈夜想絵物語〉。 アプリゲームのイラストなどで人気を博す水溜鳥氏が『雪女』を再解釈!
ヴァイオレットが竜騎手候補生になって一年半、妖術使いとの戦闘が激しさを増すなか、彼女を守ろうとしたゼイデンが闇に墜ちたーー彼を取り戻すことはできるのか? ヴァイオレットは竜たちとともに未知の土地へ旅立ち、愛する人々を救う方策をさぐるが……!?
妖術使いの侵攻から国を護るには、魔法の結界がなければならない。だが、その結界がいままた揺らぎはじめていた。結界を強化するのに必要な竜の棲み処を探すため、ヴァイオレットは仲間とともに旅に出ることに。大陸を飛び立ち、魔法の存在しない、未知の島々へと向かうのだ。そこで待ちかまえていた数々の衝撃の試練。愛する人たちを守り、邪悪に引きこまれようとしているゼイデンを救うため、つちかってきたすべての知識と戦闘能力をかけてヴァイオレットは戦うが…!?〈ニューヨーク・タイムズ〉ベストセラーリストのトップ3位をシリーズ3作が独占!驚異のロマンティック・エンターテインメント〈フォース・ウィング〉シリーズ、待望の最新作。
1917年、戦場で瀕死の重傷を負ったジョンは記憶の断片にすがりながら生還する。やがて北ヨークシャーへ戻り写真館を再開するが、写した像に亡霊が現れ始めーー夢幻的な語りの断片が紡ぎだす四世代にわたる物語。詩的な文体で記憶と愛を描き出す巨匠の最新長篇
巨漢で嫌われ者、友だちもいない会社員のアレは37歳の誕生日、24時間後に死ぬことを決めた。最後の一杯を食べるために行きつけの麺屋に行くも、店主は不在。その後も次々に災難が降りかかり、自殺計画はどうしても実行できない。気が付いたら冤罪で留置所に入れられ、そこでマフィアの親玉に気に入られてその右腕になるが、行き着いたスラム街で様々な人と出会ううちにアレの人生に変化が訪れる……。原書は刊行半年で50刷、13万部以上の発行部数を記録し、インドネシアではまれに見る大ヒットとなったヒーリング小説。 「自分自身を褒めることを忘れないでください。あなたの人生は、すでに難しい。その足を、無理に歩かせ続けないでください。一度くらい休憩してみてください。たまには外に出るのです。人生でやり遂げたことを大切にしてください。それがたとえ、小さな成果だとしても。なぜなら、あなたはそうして当然だからです。疲れているのなら、怒ってもいいし、それを爆発させてもいい。我慢し続けないでください。」(本書より) 装幀:佐野裕哉 装画:小泉理恵
オーストリアの作家ロートによる社会派小説が初邦訳。第一次世界大戦で片脚を失った戦争障害者が、理不尽な社会に対して静かな反逆を企てる。二〇世紀初頭のドイツ語圏における、不安定な社会を背景にした障害者への差別構造を、新即物主義の冷静な文体によって描き出す。障害文学の歴史に残る重要作。 訳者まえがき 反逆ーある戦争障害者の物語 訳者解説
『レス・ザン・ゼロ』の頽廃と青春。 『アメリカン・サイコ』の不穏と冷血。 アメリカ文学の鬼才、畢生の大作。 1981年秋に起きたこと。それを僕はついに書くことにした。 あの恐ろしい出来事を。 ハイスクールの最終学年。裕福な子女ばかりが通うバックリー校で、僕は人気者の子たちと調子を合わせながら、男子たちとセックスに耽り、家では『レス・ザン・ゼロ』という小説を書き進めていた。僕らが享楽の日々を過ごす一方、周囲には奇怪な出来事が頻々として起きていたーー 不法侵入事件の多発。カルト集団の出没。校内のグリフィン像は何者かによって鯉の死骸で冒瀆され、〈曳き網使い〉なるシリアル・キラーが静かに徘徊していた。それがどんな恐ろしいことを引き起こすのか、あのときの僕はまだ知らなかった……。 享楽。虚無。無感覚。何か取り返しのつかないことが起こる予感。 80年代の頽廃をエリスの不穏な声がじわりじわりと綴ってゆく。 13年の沈黙を破って放たれた、米文学の鬼才の集大成的傑作。
80sの頽廃に彩られ、 饒舌な語りがたどりつく病みの奥。 私小説に擬態した 恐るべき畢生の代表作。 この語り手、信じていいのか? 『レス・ザン・ゼロ』の頽廃と、『アメリカン・サイコ』の冷血。 恐ろしい出来事が、ついに起きる。 突如転入してきた美少年ロバート。彼は何かを隠している。彼にはきっと忌まわしい秘密がある。彼こそが〈曳き網使い〉という殺人鬼なのではないか? そんな疑念が僕にとり憑いて離れない。それなのにロバートは、僕の友人たちにどんどん近づいてゆく。やがて僕のセフレだったマットが姿を消し、〈曳き網使い〉に殺された無残な姿で発見される。 パーティー、ドラッグ、ハリウッドの頽廃。夜の闇に蠢く影。恐怖に満ちた録音テープ。音楽、文学、映画。薄っぺらくも快楽的な80sの空気のなかから、恐ろしい出来事がうっそりと頭をもたげはじめるーー 語りは徐々に変調し、転轍し、後戻りのできない闇=病みへと滑り込んでゆく。 ブレット・イーストン・エリスにしか書けない冷たい不安に満ちた、畢生の代表作。
ドイツとの戦闘が続くフランス北部。 本の力を信じて、わたしたちは生きる。 第一次世界大戦中、戦場となった村で 図書館再建を目指す司書がいたーー。 『あの図書館の彼女たち』の著者が描く、 真摯で勇敢な本を愛する女性たちの物語! 1918年、フランス北部。ニューヨーク公共図書館(NYPL)の司書ジェシーは、前線からわずか65キロメートルに位置するブレランクール村に到着した。〈荒廃したフランスのためのアメリカ委員会(CARD)〉のメンバーとして、ドイツ軍との戦いで破壊された図書館の再建を目指すためだ。ジェシーは傷ついた住民に本を届け、兵士に戦地での慰めとなる一冊を紹介し、子どもたちに読み聞かせをおこなっていく。だがドイツ軍が村に迫ってきて……。 1987年、アメリカ。ニューヨーク公共図書館の記憶保管課(リメンバランス)で、収蔵されている資料を保存用に撮影する仕事をしているウェンディーは、1918年に発表された〈荒廃したフランスのためのアメリカ委員会〉の会報に興味を惹かれる。第一次世界大戦中、有志の女性たちが集まって、フランス北部再建のために働いたという団体ーー。そして戦地に渡ったジェシー・カーソンという司書の存在を知り、彼女について調べはじめるが……。 『あの図書館の彼女たち』の著者が贈る傑作長編!