2014年発売
江戸中期、宝暦の京と江戸に怪異が生じた。数珠屋の隠居が夜ごと憑かれたように東山に向かい、白花の下で自害。紀州藩江戸屋敷では、不思議な蓮が咲くたび人が自死した。はぐれ公家の庭田重奈雄は、この世に災厄をもたらす異界の妖草を刈る妖草師である。隠居も元紀州藩士であることに気づいた重奈雄は、紀州徳川家への恐るべき怨念の存在を知ることにー。新鋭が放つ時代伝奇書下し!
かつて御小人目付として剣と隠密探索の達人だった九十九九十郎。だがある事情で職を辞し、今は「仕舞屋」と称してもみ消し屋を営んでいる。そんな九十郎の家を、ある朝七と名乗る童女が賄いの職を求めて訪れた。父母を失ったという七は断っても出て行かず、父仕込みの料理で九十郎を唸らせる。「侍」のもとで働きたいという七の真の目的とは?九十郎の情と剣が、事件と心の綾を解く!時代小説・書下し。
文化二年、お盆の頃。摂津尼崎藩江戸家老・塩谷隼人は胸に虚しい思いを抱えていた。それは、還暦を過ぎた今となっても父の仇討ちを果たせていない悔恨からきている。そんな折、両国広小路で暴漢たちに絡まれていた一人の武士を助けた。松崎と名乗るその武士は、聞けば四十年の間、親の仇を追う身であり、奇しくも隼人と同い年であった。因縁を感じた隼人は、助太刀を決意するが…。
たびかさなる刺客の襲来。霞幻十郎は見えざる敵の意図をはかりかねていた。叔父の南町奉行池田長恵の失脚が狙いなのか。未然に防いだ岡山池田家への強請を仕掛けたものの遺恨なのか。さらには、黒狐一味らしき押込み強盗についての助勢を、南町奉行所の面々に求められる。剣客にして名君の血をひく霞幻十郎が、鞍馬流の剣で刺客を斃し、謎を解く痛快時代小説。
西国に武者修行の旅に出た半兵衛は、舟の中で出会った鴻乃森兵馬という浪人者に、長州へ行こうと誘われる。勤王や佐幕という思想に興味を持たない半兵衛は断ろうとしたが、長州に伝説の鬼無剣を遣う幻の剣聖がいると聞き、興味を持った。その時、同じ舟に乗り合わせていた旅芸人と知り合った半兵衛は、お妙という美しい娘に一目惚れする。だが、その旅芸人達には、ある秘密が隠されていた。
両国広小路で色っぽくお客の相手をする矢場娘の美咲。実は定町廻り同心の間垣弥十郎の配下の娘岡っ引きで、大店の呉服問屋・島津屋の一人娘でもあった!!日本橋小町と言われる美咲だが、間垣の弱みを握って親の力で岡っ引きになったというほどの捕物好き。矢場娘の連続手籠め事件に、生娘の美咲は女中の朋代に助けられながら挑むが、果たして無事に解決しその貞操は守られるのか!?娯楽時代作家が放つ破天荒のじゃじゃ馬娘捕物帖!!
殺人事件の犯人にあと一歩と迫ったとき、刑事は県警幹部の重大な犯罪を知ってしまった。幹部の犯罪を見逃せば、殺人犯をとり逃がすことになる。幹部の犯罪を追及すれば、県警自体が瓦解しかねない。守るべきは、正義か組織か!?苦渋の決断を迫られた刑事は…。話題騒然!法廷ミステリーの名手が描く、異色の警察小説がついに文庫化!
「思いきって、やったらどうなの」「何をだ」「わたしを殺すのよ」-社の常務の姪と不倫した挙げ句、妊娠させ、結婚を迫られてしまった夫。“玉の輿”を目論む夫に、妻は離婚を絶対拒否することで対抗する。はたして、夫婦の運命は…(「霧」)、ほか、全編会話だけで構成された異色の短編を6篇収録。
大学院生の大森直人は、同じ研究室の後輩で性に奔放な佐山利香と付き合っていたが、キャンパス近くの弁当屋で働く人妻杉村裕美を一目見て以来、叶わぬ恋に胸焦がす日々を送っていた。一方、控えめな直人の視線に気付いていた裕美も、満たされぬ夫婦生活に悩み悶々とする毎日。互いに惹かれあう二人の距離は次第に近づいていき…。抑えきれない男女の欲望が迸る長編ふとももエロス。
川止めで途方に暮れている若侍、伊東七十郎。藩で一番の臆病者と言われる彼が命じられたのは、派閥争いの渦中にある家老の暗殺。家老が江戸から国に入る前を討つ。相手はすでに対岸まで来ているはずだ。木賃宿に逗留し川明けを待つ間、相部屋となったのは一癖も二癖もある連中ばかりで油断がならない。さらには降って湧いたような災難までつづき、気弱な七十郎の心は千々に乱れる。そして、その時がやってきたー。武士として生きることの覚悟と矜持が胸を打つ、涙と笑いの傑作時代小説。
特集「警察小説を捜索せよ」では、多くの読者の支持を集める警察小説の魅力と読みどころに迫ります。今野敏と佐々木讓による熱い対談も実現。新連載には今野敏、堂場瞬一、柚月裕子のほか、葉室麟が登場。
中学二年生の春、友人・春来から「唯一、彼女の名前を呼べる権利」をプレゼントされた赤音。その特別な権利によって友情を深めた二人だが、学校の中心的存在・舞によって仲を引き裂かれてしまう。以来、孤独な日々を送るように見えた赤音だが、彼女には秘密があった…。少女たちの愛憎と友情が行き着いた、驚愕の結末とは?思春期の痛みと成長を繊細な筆致で描いた傑作ミステリ。
ダヴェドの大公プウィスは、狩りに訪れた森で冥界の王アラウンに出会い、彼にかわって冥界のもうひとりの王と戦ってほしいと頼まれる。だがそのためには互いの身体を交換して相手の領地に行かねばならない。プウィスはアラウンの身体を借り、冥界に乗りこむが…。世界幻想文学大賞で生涯功労賞をうけたファンタジー界の重鎮が描く、神話ファンタジーマビノギオン物語第一話。
「いつもいっしょ…」「こっそりと…」「もし二人が恋仲にでもなったら…」彼女は視線をゆっくり上げ、わたしたちは互いにみつめあった…。みずみずしい描写で語られる愛と友情、波瀾万丈の物語。小説史上まれにみる魅力的なヒロインが、こんなところに隠れていた。美少女と美少年、美しくせつない「恋」と「疑惑」の物語…偏屈卿と呼ばれた男の、数奇な?自叙伝?ブラジル文学の頂点。ブラジル文学第2弾!
ただ独りで音もなく犯罪者に食らいつくーー。「新宿鮫」と怖れられる新宿署刑事・鮫島。歌舞伎町を中心に、警官が連続して射殺された。犯人逮捕に躍起になる署員たちをよそに、鮫島は銃密造の天才・木津を執拗に追う。突き止めた工房には、巧妙な罠が鮫島を待ち受けていた! 絶体絶命の危機を救うのは……。超人気シリーズの 輝ける第一作が新装版で登場!!
ーー私は、ここにいる。それは間違いなく、たしかな現実だわ 小説家である主人公が、ネットワークを使った コミュニケーション・システム「ELIS」をめぐって起こる さまざまな事件を目の当たりにし、調査を進めていく……。 情報ネットワーク社会に潜む闇とは? 『妹がスーパー戦隊に就職しました』(スマッシュ文庫)、 『ライトノベルは好きですか?』(雷鳥社)の著者がはなつ、 ライトノベル最新刊! 【あらすじ】 冬のはじめ、一人の少女が変死体で発見された。 ネットワーク上やマスメディアでは、彼女の名前が桜坂恵理朱だ という情報が、さかんに流れていた。その日、小説家をしている 葉山秀司(はやま・しゅうじ)が使っているネットワーク・システム 「ELIS」のアカウントに、1通のメッセージが届いていた。 そこには動画が添付されており、死亡が伝えられている少女の 凄惨な死体の様子が映し出されていた。そのメッセージの送り主は、 「13番目の魔女」を名乗る人物である。 しかもそのメッセージは、秀司の友人である田上梨愛(たうえ・りあ) のところにも、ほとんど同じものが送られていたらしい。 田上梨愛から相談を受け、事件の真相が「13番目の魔女」から 送られてきた秘密めいたメッセージに隠されていると考えた秀司は、 それ以来、自分の担当編集者である赤城知佳(あかぎ・ちか)の 手を借りて調査をはじめるが……。 次々と「魔女」たちが死んでいく中で、明らかになっていなかった 「12番目の魔女」、その正体とは……。
洋々たるミシシッピーの流れに乗って筏の旅を続ける陽気な浮浪児ハックと逃亡奴隷ジム。辺境時代のアメリカの雄大な自然と活力溢れる社会をバックに、何ものにもとらわれずに生きようとする少年と、必死に自由の境涯を求める黒人の姿をユーモラスに描く。