2009年7月発売
アメリカで生まれ育った若き日系二世。一人はアメリカを「祖国」として選び、一人は日本へ「帰化」をした。戦勝国と敗戦国に引き裂かれた8月15日、二人の悪夢は、その日から始まった-。国を喪い、闇市の中を追い追われる者達に魂の救済はあるか?江戸川乱歩賞受賞作『誘拐児』から1年、戦後闇市の混沌から新たなドラマが生まれた。
13年前に札幌で起きた娼婦殺害事件と、同じ手口で風俗嬢が殺された。心の痛手を癒すため休職中の仙道は、犯人の故郷である北海道の旧炭鉱町へ向かう。犯人と捜査員、二人の傷ついた心が響きあう、そのとき…。感激、感動の連作小説集。
私が殺した過去と過去が殺した私 22歳の作家が、自分の過去を題材に小説を書き始めた。小説は現在から過去へと遡り、15歳の話で終わる。過去は彼女の何を変えたのか。彼女は過去の何を変えたのか。渾身の異色作。(解説/山田詠美)
天才・中島らもの才能が炸裂!! 最後の短編集 中年の小説家「おれ」と若い女との奇妙な密会を描く表題作『君はフィクション』ほか、様々なスタイルの珠玉の短編を収めた最後の作品集。単行本未収録の幻の3作品も同時収録。(解説/坪内祐三)
華鬼が鬼ヶ里に戻った。それを喜ぶ神無は、華鬼が自分にとってかけがえのない存在であることに気づき始める。一方華鬼は、芽吹き始めた神無への気持ちに違和感を覚えながらも彼女と過ごす時間に安らぎを見出していた。穏やかな時間を手に入れたかに見えた二人だったが、それを待ちわびたかのように前鬼頭の息子響が不気味に笑む。さらに、選定委員と名乗る男たちが神無の前に姿を現して……? 鬼と少女の学園伝奇、最終巻。神無の最大の危機に華鬼は──!?
警視庁組織犯罪対策部の刑事・秋川は、自殺とされた旧友の死に不審を覚える。彼の妻から「夫を殺した連中に狙われている」との電話がー。直後、彼女は謎の失踪を遂げた!独自の捜査を始めた秋川の前に立ちはだかる検察の影、背後で暗躍する暴力団組織…。さらに浮かび上がってきた、四年前の殺人事件の真相とは?一刑事が巨悪に迫る、警察小説の新たな傑作。
殺人を犯した者の詳細な運命がつづられる最終巻。ラスコーリニコフをはじめ、母、妹、友人、そして娼婦ソーニャなど、あらゆる「主人公たち」が渦巻きながら生き生きと歩き、涙し、愛を語る。ペテルブルグの暑い夏の狂気は、ここに終わりを告げる…。
明治維新の混乱の最中、桑原藩の下級武士・大枡種吉は友と妹を同時に失ってしまう-。復讐を誓い、血で血を洗う維新戦争を生き抜く種吉に密命がくだる。主君・松平定義の愛娘、夏姫を五稜郭へと送り届けてほしいというのだ。敵に取り囲まれた城をなんとか抜け出し、海路で北を目指す種吉たちの前に、敵の黒船がたちはだかる。『ハンマーセッション!』の棚橋なもしろが彩る本格時代劇ノベルス、威風堂々開幕。
幼い頃に親に捨てられ、古い謎の系図だけが身元の手がかりという女と恋に落ちた蓑浦。その女が密室殺人で死んだ。残した系図を手に死の真相に迫る蓑浦に、想像を絶する恐怖が待ち受けていた……。 〈収録作〉 孤島の鬼
大川端で辻斬りがあった。首を刎ねられ、血を撒き散らしながら舞うようにして殺されたという。惨たらしい殺し方は手練れの仕業に間違いない。その剣法に興味を覚えた素浪人・流想十郎は、事件に関わることに・・・。
校内で暴力沙汰がおきて、その対応に悩む倫太郎とその仲間たち。医者である青ポンの祖父に導かれ、自分を見つめる勇気、劣等感の本性に気づき始める…。著者の没後に見つかったライフワーク『天の瞳』の最終話。大阪のささやかな居酒屋を舞台に、弱き庶民たちがこころを通わせる現代人情物語。本物の味、愛の教え、人のつながりとはなにか。著者の願いが込められた最後の新聞小説。2作品とも未完である。
ひょんなことからやくざ事務所に出入りすることになった亮。時代に取り残され、生きる道を失っていく昔ながらの組の運命を、人生からドロップアウトしかけた青年の目を通して描く、瑞々しい青春極道小説。
携帯電話に残された見知らぬ声からの奇妙な留守電に引き寄せられ出会った少年と少女。拙くも激しい恋に落ちた二人は大人達に背を向け広い世界に飛び立とうとするが……永遠の愛を描く涙の感動長編。
数学しか取り柄がない高校生の健二は、憧れの先輩・夏希に、婚約者のふりをするバイトを依頼される。一緒に向かった先輩の実家は田舎の大家族で!? 新しい家族の絆を描く熱くてやさしい夏の物語。
軍事政権下のミャンマー山岳地帯に、二百万ドルを積んだヘリコプターが墜落した。同じ頃、脱獄した民主化運動の活動家もこの一帯に逃げ込んでいた。情報を得て密林に足を踏み入れたのは、ドルを狙う日本人ビジネスマンと、おのれの保身のために脱走犯殺害をもくろむ刑務所副所長。逃亡と追跡の果てに、それぞれが手に入れたものはー。アジアの深き闇を描く、冒険小説巨編。