2008年9月発売
「コップ5杯のビールなら、3杯は税金だ」財務省酒税課に出向中のキャリア警官魚崎は、アルマーニを着る変わり種官僚の根津に、ある秘密パーティへ誘われた。熱気あふれる会場に集う怪しげな紳士淑女。彼らは非合法の麦酒自家醸造家たちであった。魚崎は、自らも密造に手を染めてしまう。だが、これこそ、自称特別捜査官・根津の狙いだった!アンタッチャブルな暴走官僚に翻弄される魚崎。そして、自ビール愛好家たちとの、妄想だらけの闘争!悪夢の脱税取締の行方は!?芳醇なコク、極上のキレ味!傑作エンターテインメント誕生。
その死体を見た途端、葛篭桃之進は「ほう」と嘆声した。左脛がスッパリと斬られていたのだ。無気力な無能者、つまり「のうらく者」と烙印を押され、勘定方から町奉行所へ左遷された桃之進だが、かつては御前試合で優勝したほどの辣腕。そんな桃之進と辻斬り事件をつなぐ奇妙な因縁とは?奉行所の腐敗を目の当たりにした桃之進が、剣客として再び目覚める傑作時代小説。
2年前に死んだはずの兄から届いた手紙。事件の真相は、史上最大の密室・南極大陸に。他殺か事故か。死者からの手紙が、凍てつく大地を呼び覚ますーーカメラマンの矢島拓海のもとに届いた、一葉の絵はがき。差出人は、2年前に南極で死んだはずの兄だった。時を同じくして拓海に、越冬隊への密着撮影の仕事が舞い込んでくる。「死の真相を知りたければ南極に行くといい」。これは偶然なのか、それともあいつが……。冷たく広大な「密室」で、過去の事件が甦る。19年本屋大賞・超発掘本!
星暦229年。宇宙の命運は星間都市連盟を破ったタイタニア一族の手に握られ繁栄を築く。しかし、446年に強大なタイタニア一族のアリアバート卿が、単なる一都市・エウリヤ市に敗れてしまった。時代が再び動き始めたのだ。宇宙の覇者となるのはいったい誰…!?スターファンタジーの傑作ついに文庫化。
父が戦死し、戦後満州から引き揚げてきたどん底の生活の中で母まで亡くした南部次郎は、わずかな葬式費用の形に幼い妹を連れ去ろうとする男を撲殺してしまう。きょうだいは離散し服役中も渦巻く憤怒を抑える術すら知らない次郎は備前焼と出会い、ひたすら土を練ることで、ようやく心が鎮まっていくー。
バンクーバー経由でニューヨークに向かったエドワードは、奇妙なアナウンスとともにカナダの見知らぬ街で足止めされる。繰り返し流れるテロの映像に芭蕉の句がオーバーラップして…。9・11を日本文学として初めて表現したと評価された大佛賞受賞作に、著者の原風景ともいうべき名作「国民のうた」を併録。
鳥に変身した男をめぐる惨劇を描いた文學界新人賞受賞作「いやしい鳥」、絶滅したはずの恐竜に母親を飲み込まれた女性の内面へ踏み込んだ「溶けない」、愛とヴァイオレンスが奇妙に同居する「胡蝶蘭」の三作を収録。
妹は異世界への常習旅行者。ただの良き理解者であり、聞き役であったはずの姉がある日、妹の危機に異世界へ飛び込んで…。若き王の恋人でもある妹の姉として飛び込んだ王宮で、突如現れた姉に向けられた視線は決して優しいものではなく。大人の異世界恋愛ファンタジー。
妹は異世界への常習旅行者。ただの良き理解者であり、聞き役であったはずの姉がある日、妹の危機に異世界へ飛び込んで……。若き王の恋人でもある妹の姉として飛び込んだ王宮で、突如現れた姉に向けられた視線は決して優しいものではなく。大人の異世界恋愛ファンタジー。
モスクワのゴーリキー公園で雪の下から男女三人の射殺体が発見された。いずれも顔面を刃物で削ぎ落とされ、指先も切断されていた。捜査を命じられた民警の主任捜査官レンコは、人類学研究所に被害者の顔の復元を依頼する一方、被害者の遺留品から運命の女性イリーナと出会う。反体制派の彼女に次第に魅かれていくレンコ。そして捜査線上に浮かぶアメリカ人の毛皮商…ソ連社会の暗部をかつてないリアリティで描いた問題作。英国推理作家協会賞受賞作。
ゴーリキー公園の顔と指のない三つの死体ーそれは誰も触れることの許されぬソビエト社会の根深い矛盾を象徴していた。ようやくレンコは殺人犯の正体をつかむが、検事局長から捜査の終了を命じられる。彼はけっして掘り起こしてはならない過去を発見してしまったのだ。主任捜査官の地位さえも奪われたレンコは、メーデーの夜、ついに犯人と対決する。そして彼が海の彼方で見た、驚愕の真実とは?英国推理作家協会賞受賞作。
静かな、静かな、ひとりぼっちの月。ぼくたちは明日から、もう家族じゃない。澄んだ光に満ちた秋が、かけがえのない時間を連れてくるものがたりの歳時記ー「秋」の巻、12編。
平和憲法の制約により“軍隊”ではないわが自衛隊。その現場指揮官には、外敵から攻撃された場合に自分の判断で反撃をする権限は与えられていない。航空自衛隊スクランブル機も同じだ。空自F15は、領空侵犯機に対して警告射撃は出来ても、撃墜することは許されていないのだ。F15(イーグル)を駆る空自の青春群像ドラマ。
長篇小説『人間の絆』『月と六ペンス』の作家サマセット・モーム(一八七四ー一九六五)は、絶妙な語り口と鋭い人間描写で読者を魅了する優れた短篇小説も数多く残している。希代のストーリーテラー・モームの魅力を存分に楽しめる作品を厳選して収録。
お金を盗んだ美少年バジーニが、同級生に罰としていじめられている。傍観していたテルレスは、ある日突然、性的衝動に襲われる…。寄宿学校を舞台に、言葉ではうまく表わしきれない思春期の少年たちの、心理と意識の揺れを描いた、『特性のない男』ムージルの処女作。
19世紀半ばのインドーー 大英帝国の植民地支配に反旗を翻したひとりの王妃がいた。 英国軍司令官は彼女をジャンヌ・ダルクにたとえ、「もっとも勇猛に戦った戦士」と褒め称えた。 インドの独立運動に大きな影響を与えた王妃ラクシュミーを描く歴史物語。 はじめにーー物語の背景 プロローグ 第1章 チャビリー 第2章 お転婆マヌ 第3章 縁談 第4章 結婚式 第5章 騎馬隊の結成 第6章 ジャンシー城 第7章 ヴァラナシー巡礼(1) 第8章 ヴァラナシー巡礼(2) 第9章 王子の誕生 第10章 国王逝く 第11章 王国没収 第12章 金髪のエリス 第13章 ラング弁護士 第14章 ハミルトン特使 第15章 牛の屠殺解禁 第16章 山賊サガール・シン 第17章 モチ・バイの冒険 第18章 不穏な動き 第19章 スケーンの危機 第20章 セポイの反乱 第21章 オルチャの侵攻 第22章 ローズ将軍の作戦 第23章 王妃の決断 第24章 ジャンシー攻防戦 第25章 月夜の脱出 第26章 総攻撃 第27章 作戦会議 第28章 クーンチの戦い 第29章 カルピー城 第30章 退却と転進 第31章 グヮリオール城 第32章 ヒンドスタンの明日の空へ エピローグ 日本の読者の皆さんへ 訳者あとがき 王妃ラクシュミー関連年表 《地図》一八五七年当時のインド/現在のインド 《主な用語解説》/《主な登場人物》 ■(社)日本図書館協会 選定図書 ■書評……井上貴子氏(大東文化大学教授・南アジア地域研究)〔北海道新聞(2008年12月7日)〕