2007年8月発売
軍靴の音が忍び寄る昭和9年。かすかな地響きをあげ、数多の自転車が中山道を疾走する。国策に反して高い賞金の懸けられた本州横断大日本サイクルレースには、企業チームやドイツからの海外チーム、個人参加の選手たちがひしめいていた。ある決意を胸に秘める響木健吾は、有望な個人選手を集めて即席チームを組む。素姓も目的も不明な彼らが力を合わせたとき予想外の事態が!すべての走る男たちに捧げる自転車冒険小説。
わたしは21歳まで男性に触れられたことがなかった。処女だった。一生ずっと、喜びも痛みも経験できない気がしていた。身体が疼いていた。でも、わたしは醜い。わたしの醜さは、まさに悲劇だ。ある時、わたしはモデル募集の奇妙な新聞広告を見つけた。醜さは「特徴」なんだろうか?でも、もし採用されれば、生まれて初めてだれかの強い視線を浴びられる。心を決めて、わたしは受話器を手に取った。こうして、わたしは40歳前後のカメラマン、ジョアキム・ケレルマンと出会った。彼の背は低く、肌は疲れ、髪は薄くなり始めている。それでも、わたしは彼を愛するように…。
自称・Bワン探偵の私が事務所兼自宅マンションで目にしたのは、新宿のピンクサロンで知り合った加奈子の死体だった。頚から下の皮を剥かれた遺体を部屋へ運び込んだのは誰か?自称・Bワン探偵の直感は、私をマンションの管理人へと導く。だが、自称・Bワン探偵にとっても遺体の処理は問題だった。私は、物言わぬ彼女の熱い想いに応えてやることにした。剥きたての桃にまぶされる自称・Bワン探偵の精液。私は彼女をユニットバスで洗い清めてあげることにした。立ちこめる蒸気の中、茹だった彼女の肉。自称・Bワン探偵の私の手には、包丁の白銀の輝き。それは地獄の始まり。
ベストセラー『クロスロード』『クロスオーバー』の最強コンビが贈る心の奥に潜む小さな闇を照らし出す心理ミステリー。他人のココロがよく見える、コミュニケーションがうまくなる、初めての推理小説。
性への好奇心から、年上の女性に手ほどきを受けた一矢だったが、それを母の彩花に知られてしまった。当然非難されると思いきや、母は一矢の指を自らの体に導いて…。それを機に、母を女として意識し始める一矢。母の寝室に忍び込んだ彼を待っていた意外な光景、そして母の思わぬ告白。ついに彼は一線を越えた…。禁断ノベルの名作がここに甦る。
世界的コングロマリット「ワーナー・パーク」の日本法人に経理本部長としてヘッドハンティングされた池田岑行。メーンバンクの変更、経理部門の再編、公私混同著しい上司との対決…停滞していた社内に次々と改革を施す。だが、池田を待ち受けていたのは、ライバルたちの卑劣な罠だったー。相次ぐCEOの解任、一瞬の隙も許さぬ人事抗争。非情の「外資」をその卓越した財務戦略で生き抜いた唯一無二の日本人。著者渾身の国際経済小説。
製薬会社の買収、東証上場ー次々と降りかかる難題に直面しながらも、池田は日本ワーナー・パークをグループ内屈指の地位に引き上げていく。しかし、米国本部は新CEOの失策を機に、史上最大級のTOBを仕掛けられるという未曾有の危機に直面していた。巨大外資の存亡を賭けた闘いがいま、始まる。画期的な高脂血症治療薬の独占を狙い世界最大の製薬会社が敵対的買収を仕掛けてきた。メディアを巻き込んだ法廷闘争の幕が上がる。外資による相次ぐTOBにのたうつ日本の現在を予見した会心の経済巨編。
舞踏家の父と暮らす12歳の少女、野宮朔。夢は、作家になること。一歩一歩、大人に近づいていく彼女を襲った、突然の暴力。そして、少女が選んだたった一つの復讐のかたち。
大示と真帆子の関係は新たな展開を見せる。そんな中、真帆子の父・河井雄之進から自らの軌跡をあかす手紙が次々と届く。七〇年代、革命党派の非合法活動家となった河井は激烈な党派闘争に身をおく。その中で大示の友人たちも命を失っていった。だが悲劇はそこにとどまることはなかった。深い闇に生きる魂たちの物語、戦慄の第五部。
兵庫県丹波に生を享け、母ひとりの荒んだ家庭で育った森沢康平は、運命に翻弄され、過酷な境遇に苛め抜かれる。村の有力者の息子で同じ歳の柳本治夫との宿命的な葛藤を断ち切るべく故郷を出奔した康平は、奇妙な縁から愛知県尾西市の染色工場で働き始めた。だが、中小企業で必死に働く康平を待っていたのは、治夫が勤める大銀行との熾烈で過酷な戦いだった!好況といわれる愛知県を舞台に交錯する人生の光と影!昭和-平成を生き抜いた名もなき者たちへ贈る著者渾身の感動大河ロマン。
VIP専門のボディガード派遣会社R.C.S.のエージェント、祥人はイタリアの大富豪リカルドから、お忍び旅行中つきっきりで警護してほしいという指名を受ける。貴族の家柄に生まれ、まさに中世の騎士のような威厳と美貌を兼ね備えたリカルド。美しい花は摘まずにおれないと嘯く、そんな艶男に口説かれ振り回されるなか、じわじわと身辺に危機が迫りだし…。華麗で不埓なエクスタシー。
小学6年生の二郎にとって、悩みの種は父の一郎だ。自称作家というが、仕事もしないでいつも家にいる。ふとしたことから父が警察にマークされていることを知り、二郎は普通じゃない家族の秘密に気づく……。