2001年発売
一九七四年。地方都市で暮らす十五歳の少年、山県龍二は、剣道部のキャプテンであり、全国大会ベスト4の実力者だった。ところが、卒業を間近にむかえたころ、クラスメートの重松正人が、いじめの対象になっていたことに気づいたことから、龍二の人生は狂い始めてしまう。正人の自殺、そして親友川辺の謎の死。腐敗した街の権力抗争に巻き込まれ、龍二は殺人犯の汚名を着せられることになり、故郷を捨てる決意をするのだが…。
故郷を捨て東京へ逃れた龍二は、そこで己の運命を変える、様々な人々と出会い、そして死とともに別れていった。如月やさち、朴たちの復讐を誓った龍二は、横浜黒龍会の周辺を調べまわる。そして龍二に心酔する木村たちによって「龍の会」が結成された。殺されたもの、殺したものの怨念や慟哭の中で、龍二は自分の背中に墓標となる龍の入れ墨をほり、やくざになることを決意する。龍二の運命の行方は果たして…。
会社社長の一人娘・仙道千紘は、ある日、見知らぬ女性から、父の会社が出したという奇妙な秘書募集広告を手渡された。まるで誰かを捜しているかのような文面に、父への不信感を募らせる千紘。だがその矢先、父が何者かによって殺害されてしまう。さらに、莫大な遺産を巡り、父の再婚相手と名乗る女性が現れて…。警察庁広域捜査官・宮之原警部が難事件に挑む、長篇旅情ミステリー。
福岡県甘木市の公園で、男が殺されているとの通報が入った。現場に駆け付けた捜査員たちが目にしたものは、男の胸に置かれた梅の枝と、胸元に狭まれていた短冊だった。その短冊には、謎めいた和歌が書かれていた。所持品から、被害者は暮れに倒産した月丘建設の常務であることが判明。警察庁広域捜査官の宮之原警部は、この事件の解決に乗り出すが…。傑作長篇ミステリー。
服飾デザイナーとして、女帝とも言われる鳥飼多佳子の家の前で、生後間もない乳児が捨てられる事件が起きた。その一週間後、熱海の錦ヶ浦で女性の絞殺死体が発見され、新宿のホステス・村瀬美奈であることが判明。彼女が捨て子の母親であったのだ。多佳子と美奈に何の繋がりがあるのか?警察庁広域捜査官の宮之原警部は、二人の関係を探るうち、美奈の出生に秘密があることを掴むが…。傑作旅情ミステリー。
旧知の新聞記者・今西の依頼により、“神隠し”と騒がれる女子大生蒸発事件を追って、警察庁の宮之原警部は、横浜を訪れた。今西の情報に従い、かつて世話になった広告会社の近野を訪問すると、そこの女子社員が、例の女子大生の友人だと判明。さらに宮之原は、近野から事件の鍵と思われる、最近地元で起きたトラブルを聞き出す。だがその晩、近野が急死し、事件は意外な方向へ…。宮之原が思い出の地で活躍する傑作ミステリー。
検事・風巻やよいが再び京都地検宇治支部へ着任、その直後、残酷な暴行殺人事件が起きた。被害者は大手化粧品会社に勤める女性で、石橋警部補・夏川警部らは婚約者に容疑をかける。彼の母親は「白骨夫人」と呼ばれるやり手のオーナー社長で、被害者はその有能な部下でもあった。夫人はDNA検査を拒む息子をかばい、大弁護団をたてに検察と対峙するのだが…。
真の指導者の条件とは-「支配欲、権勢欲、名誉欲に恬淡としていること」「ひとりでも立つという気概」「死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬ」「必要なことは必ずする、不必要なことは決してしない」-高杉晋作はすべての条件をそなえていた。いま最注目の政治家が放つ「警世」「回復」の書。
十数年前。高校時代。恋人の死。「喪失感」から始まる魂の彷徨の物語。落ち葉の匂いのするファーストキスではじまり、死を予感させる無菌状態の中でのキスで終わる。
「千里眼」岬美由紀と「催眠」嵯峨敏也が挑む友里佐知子との“最終決戦”。社会派サイコ・サスペンスと冒険小説の醍醐味を掛けあわせ、エンターテインメント文学に新たな金字塔を打ちたてた超ベストセラー・シリーズ、読者の圧倒的支持に応えて贈る最新作。
(もはや開戦は避けられん。こんな時に、山本が逝ってしまうなんて)永野修身軍令部総長はため息をついた。一昨日未明にもたらされた訃報。山本五十六連合艦隊司令長官の突然の死に、永野は頭の整理がつかない。ハワイ作戦のような投機的なプランに軍令部はじめ反対意見も多かったが、永野個人としては山本に賭けてみよう、と思っていた矢先だった。未曾有の対米戦争を戦い抜くには、豪胆さと強い信念をあわせた持った男がリーダーでなければとても無理な話である。(及川は反対しているが、やはりあいつしかいない)「車を用意してくれ。そうだな、三時間、いや四時間ほど留守にする」一時間後、永野を乗せた武蔵野航空工業と書かれた看板の前にいた。「戦争はビジネスだ」-新たなる発想の架空戦記。待望のシリーズ開幕。
北カリフォルニアでのカルト教団の集団自殺から逃れたクリスティンが、風俗店ひしめく歌舞伎町のホテル・リュウで行なう「メモリー嬢」という仕事とは?地下鉄サリン事件や、ロックスターの暗殺などカオス的な事件の日付から成る「アポカリプスのカレンダー」。その作成にとり憑かれた「居住者」の過去とは?現代アメリカ文学の鬼才が放つ最新作。
30歳を前に商社を辞めて転職した。やくざまがいの探偵稼業。それまでの自分は投げだした。なぜこんなことを始めたかも、考えないようにしていた。そして、汚れた都会の罅の間から聞こえてくる人々の呻きに耳を傾け、その声を胸底に深く沈めてきた。女に言われた。街に詩を書いている。人の心が綴る詩を書いている。探偵、浅生。32歳。哀切で情感あふれる北方ハードボイルドの名編。
中学生の息子が同級生に殺された! しかし犯人は少年法で“守られて"いる。やり場のない怒り、長男の死の衝撃で崩壊した家庭…。被害者と加害者の家族の苦悩と、再生を描く力作。(解説・藤田昌司)
売れない漫才師コンビ、田代誠と袋金太は自転車に二人乗りしていてダンプに衝突。気がつくと時代は1945年の夏、場所は鹿屋航空隊基地。二人は事故のショックで実在の特攻隊員に生まれ変わってしまっていた。
風俗店が並び立つ横浜黄金町。14歳の少年は、中学を登校拒否してドラッグに浸っている。父親は、自宅の地下に金塊を隠し持つパチンコ店“ベガス”の経営者。別居中の母、知的障害を持つ兄、援助交際に溺れる姉など、家庭崩壊の中、何でも金で解決しようとする父に対し、少年が起した行動とは…。生きることはゲームだと思っていた少年が、信じるという心を取り戻すまでを描く感動的長編。