1990年12月発売
『バイバイ、エンジェル』は、フランスに滞在していた20代の後半に、『テロルの現象学』と並行して書かれた、最初の小説作品である。『バイバイ、エンジェル』は少年の幸福な初恋、『サマー・アポカリプス』はさまざまに屈折した大人の恋愛…。
日本再建同志会「時雨会」の結成。占領軍直接統治が間接統治にどうして変わったか。終戦後なぜ通貨が軍票に切換えられなかったか。天皇戦犯除外作戦の内容。下山国鉄総裁の死の真相。衝撃の実名小説!
本書は、シュティフター晩年の叙事詩的長篇小説で、さまざまな民族が神聖ローマ帝国のもとに統合され、次第に中世封建制度が確立してゆく雄大な乱世、12世紀のボヘミアとモラヴィアの地を舞台に騎手ヴィティコーが森の民とともに戦い、森の領主となり人々に尽し、居城を完成させるまでを、美しい情景描写を交えながら、淡々と、ときには静寂に充ち、ときには反復する旋律の鳴り響きとともに描いてみせる。単線的に発展するという「近代」の歴史観に背を向け、《永遠》を希求した文学作品を本邦初訳で贈る。第1巻は、人生への途上にある若者ヴィティコーが、深いボヘミアの森で少女の歌声を耳にするところから幕を開ける。その響きは、あたかも天より遣わされた天使の歌声のごとく…。
宇宙歴三千年の伝説ともいうべき壮大な物語は「人間、絶滅寸前の動物だ」の一句で始まる。人類の文明と伝統は廃虚の中に跡形もない。16の宇宙を征服した暴虐のサイクロ人に地球は支配された。人間ジョニーは部族が生きのびるため新しい村を探しに出たが、サイクロ人の保安部長に捕えられた。SFの“創建者”による300万部大ベストセラーの初邦訳。ゴールデン・スクローン名誉賞、サターン賞、1984年、グーテンベルグ特別賞、テトラドラマ・ド・オロ賞受賞。
美少女棋士今井香子は新幹線の中で、見知らぬ男から一通の封書を預かった。6日後、男は死体となって発見されたことがニュースで報じられ、数日後、香子もまた何者かに襲われた。彼女の危機を救ったのは、兵庫の山奥から行方知れずの父を探して上京していた江崎秀夫。天才棋士といわれた父の血を引いて、将棋の腕前は、素人とは思えないほど冴えていた。封書の中身は「九段の件ー」と書かれ、将棋連盟理事長、北村のサインのある念書だったのだ。そして、将棋界の大物、柾田圭三九段の家で起きた第二の殺人!謎の念書に秘められた驚くべき事実。本格派の偉才が贈る感動の異色サスペンス。
大きな平らな岩が、川の中に突き出ている。男は不意に、「おや?」と瞳を凝らした。碧い水のよどみのなかに、蝋細工のような人体が浮いていた。でも、それは蝋細工ではなかった。なぜなら白いナイロンのパンティをつけ、その乳房や首筋のあたりに、バラの花弁のようなキス・マークが、滲むように浮き上がっていたからだ…。(「男の階段」より)男の出世の踏台となって無惨に殺された女をはじめ、日常の裏側に潜む愛欲と野望を赤裸に描く、ミステリーの傑作集。
加藤清正の妻を大坂城から脱出させる大木土佐守。落城寸前の伏見城に向けて鉄砲を運ぶ堺の鉄砲鍛冶。清酒〈生諸白〉で名を挙げる鴻池一族の祖、新六。家康の命で大砲〈国崩し〉を鋳造する近江国友鍛冶。裏切りの誘いに心揺れる石田家重臣粟津権之助。石田軍の巨魁・大谷刑部の首を追う藤堂仁右衛門。豊臣秀頼の命を狙うため甦えった初代服部半蔵正成。興るか、滅ぶか。生死を賭けた男たちの野望と決断。
アナ-主人のために仕えることが生きがいの昔気質の奉公人。憧れのレーントマン夫人にも一生懸命尽くすのだが…。メランクサ-上品で美人の混血の黒人娘。青年医師ジェフとの恋に、ひたむきに向かっていくメランクサだったが…。レーナ-おとなしくてなにもかもまわりの言いなりになるドイツ娘。感情もなく、結婚して子供を生んで、それから…。20世紀の巨匠ガートルード・スタイン、感動の処女作!超独特な文体、微妙な心理描写-読むほどに目と耳と、そして心が吸いこまれていくスタインの世界。時代を超えて今、すべての女性たちに贈ります。
雨の朝、雪の夜、ふっと想い出すあのひととのKiss…。20粒のスウィートな恋物語。LOVEが進行中の女の子に、愛ってなーにと悩んでいる少女に、1か月前に失恋したばっかりのあなたに、彼女の気持がよくわからないキミに、この小さな恋の絵本を贈ります。
ゴルフ場建設反対運動のリーダーで老人ホーム所長・由利勝が変死した。事故としか考えられない状況だ。ところが、反対運動を引き継いだ由利の息子・徹までひき逃げされて急死。二人の死に不審を抱いた由利の娘・美香と、四人の老人が独自の捜査を開始する。彼らは由利と対立していた町の有力者・松井と、彼に雇われた暴力団・星野組を必死にマーク。が、彼らの背後には驚くべき黒幕が、そして大胆なトリックが?事件を追う美香は戦慄の真相に迫る。しかし一転!美香は絶体絶命に。そして第三の死が。二重三重の逆転劇、著者得意の本格サスペンス推理が長編書下ろしで登場。