1989年発売
カリフォルニア州東部を南北に連なるシエラネバダ山脈の山中で発見された墜落機。機内にはメキシコから密輸された2トンものマリファナが積まれていた。山に魅せられ、ザイル一本に生命を託してきたクライマーたちが手にする思わぬ大金。だが、そこに死んだはずのパイロットが現われ、グループのメンバーが次々と不審な死を…。クライマーのメッカ、ヨセミテ国立公園を舞台に、男たちの欲望と破局を描く傑作山岳サスペンス!
「なんですって?ちょっと待ってよ。『売春婦が経済に及ぼす影響』を研究しているあなたがどうして私にインタビューに来たの?」ひょんなことから、ダーシーは売春婦と間違われ、とんだ会社調査の対象にされてしまった。しかし、彼女はこの突然の訪問者に頭にきながらも、心は惹かれてゆくのだった。黒い髪にがっちりした体、社会学の教授だというフィリップ・マニング。奇妙な出逢いが2人のハートに火をつけた。
アマンダは父の遺産のゲストハウスを売り払うために、ウィスコンシンのジュネーブ湖を訪れた。田舎なんか大嫌い。早いところ売り払ってワシントンに戻りたい。彼女は「売り家」の立て礼をにらみながらゲストハウスの扉を開けた。しかし出迎えたのは、管理人でも掃除婦でもなく、洗いざらしのジーンズに白いニットシャツを着た肩幅の広いセクシーな男だった。男の名はリチャード。アーティストにして詩人、そして恋の達人と本人は言うけれど…。
極秘の任務を終えてコーザンに着いたドロゴはロープをつたって家を抜け出そうとしている娘、セクラを手助けすることになった。そして一緒に町に出かけるが、暴動に巻き込まれ、ドロゴはセクラを家に連れ帰った。一夜明け、革命が起きたことを知ったセクラは絶対に家に帰れないと言う。セクラはコーザンの王女だったのだ。
江戸は両国の料亭で、年に1度の刺青競艶会が開かれていた。手長猿の刺青を妖しげに白い裸身に彫った蓬莱橋のお源が1番に選ばれようとしたとき、花川戸のゆき路が現れた。ゆき路の刺青は白粉彫りの緋牡丹絵図であった。その見事さにゆき路が1番に選ばれ、賞金百両を獲得した。ゆき路の供の北八が百両を持っての帰り道、突如出現した怪浪人は恐るべき左腕殺法の剣鬼、“名なしの権兵衛”こと海江田前鬼であった。絶体絶命、危機一髪のゆき路と北八の2人を、危うく救ってくれた白羽二重に朱鞘の若侍は“気まぐれ俊太郎”と名のった。そして、下総香取1万石、菊の間詰めの内田伊勢守正容の屋敷に誘い込まれたゆき路の運命は…?
若き県議鳥原十三郎は代議士への野望に燃え、県政派閥を転々、派閥のボスが急逝するやその地盤を引き継ぎ、念頭の衆院選に打って出た、最激数区にあって、青年層の支持が弱いと知った鳥原は、地元の青年団長池中に手持ちの若い女を抱かせて懐柔、それが効を奏してついに最下位ながら初当選を果たした。意気揚々と国会の赤絨毯を踏んだ鳥原は、選挙中に関係を結んだ美しい人妻静代を愛人兼秘書にして東京生活を始めるが、そこに思わぬ落し穴が待ちかまえていた…。人気絶頂の著者が、自らの政界体験をもとに、権力と美女を追い求める代議士の姿を赤裸々に描く異色政界サスペンスの傑作!
暴力団市富士組組長・市村の女となった光枝は“姐さん”として生きるべく、秘所に蛇の刺青を彫った。それが“凶運の女”の誕生だった。縄張りを狙う新興の堂政一家との血で血を洗う斗い。やがて抗争は全面戦争へ突入した。ヒットマンに仕立てられた男と、掟を破った男と女への凄惨なリンチ…。暴力によってのみ繁殖し、また滅亡する組織とその興亡。女を犠牲にして悪を生きる男たちと、その男を愛してしまった女の凄まじい姿を、綿密な取材をもとに描く著者初のバイオレンス・ロマンの傑作!
桜田門の警視庁前で、警部鳥居快海は、名にしおう孔雀警視こと扇野笙子の撮影会に出くわした。異変はその直後に起こった。凶弾が笙子をかすめ飛び、「事件から手を引かなければ笙子を殺す」と警視庁に脅迫電話がかかってきたのだ。早速、快海が笙子のボディーガード兼捜査助手を仰せつかったが、笙子はライバル快海に挑戦状をたたきつけた。男殺しの艶やかな孔雀警視と、女殺しのマイペース男快海のどちらに軍配が上がるのか…。新展開の“快海”シリーズ第4弾。
事件の発端は青森県の板留温泉だった。ほとんど名も知られていない小さな温泉場だが、年に1度の「火流し」の日だけは見物客で賑わう。後醍醐天皇の霊を慰めるというこの祭りの日に、1人の若者が殺された。死体のあった場所は「火流し」が行われる中野川の河原だった…。南朝伝説の地隠岐、吉野、長野、青森を繋ぐ殺意の罠。事件の鍵を握る“幻の乾坤通宝”。乱歩賞作家の本格推理小説。
「恋はたいせつなもの…永遠だ。人生は、あっというまに過ぎるのに、聞いてごらん。流れる水が教えてくれるのもそのことなんだ…」少年の、月あかりのように淡く幼い愛と時間と死が、幾筋もの虹のように交錯しつつ展開する美しいメルヘン「恋のお守り」、主人公の少年と頭のおかしいオールド・ミスの奇妙な交友を描きつつ人間の宿命を暗示する「ミス・ダヴィーン」など、珠玉の抒情小説10篇。たそがれの詩人デ・ラ・メアによって誘われる、夢と現実のあえかな境界ー。
死刑判決に対する控訴を拒否し、刑の執行を望む村井晋助。監獄医中川らの目から見ると、彼は拘禁ノイローゼによる被害妄想のように思われる。しかし愛人菊江の目にはまた別の姿が…。“死”を欲する彼の真意はどこにあるのか。やがて訪れる主人公の意外な終末。死刑囚と監獄医の葛藤を描いた表題作の他、刑務所を看守の目から描いた「制服」、孤独な死刑囚の独白「夜宴」の2作を収める。
ど、どうしてそうなるんだ。シャンディ教授はうめいた。ホースフォール農場で起こった怪しげな事故死。他殺の線を考えていたら、近所にある冴えない石碑が正真正銘ヴァイキングの遺跡らしいと知れたとたん、事件もその呪イのせいにされてしまったのだ。悪夢のように押しよせる野次馬の群れのなか、果して捜査は行えるのか?好評ユーモア第三弾。
ソビエトが月軌道上に建設した巨大な宇宙島。ソ連政府当局は、これこそ彼らの宇宙計画の平和的目標の象徴であると主張した。しかし、合衆国国防総省の見方は違っていた。この宇宙島には強力なX線レーザーが積み込まれているに違いない。平和目的どころか、これこそ究極の攻撃兵器なのだ。この謎を解くため、二人のエージェントが送り込まれたが…。
監視の目をくぐって監房を抜け出したマッケインたちは、〈テレシコワ〉内部の偵察に乗り出した。だが、武器のたぐいはいっさい発見できない。では、〈テレシコワ〉はソ連のいうとおりに平和目的のスペース・コロニーなのだろうか?しかし、マッケインたちは、それでもどこか心にひっかかるものを感じていた。このコロニーはどこかが狂っている。