出版社 : 岩波書店
圭さんと碌さんの軽妙な会話を軸に、漱石の阿蘇山旅行に基づき書かれた『二百十日』。若き二人の文学士と文筆に生きる男が、流動する社会に向き合う姿を多面的に切り取った『野分』。先鋭な社会批評が鮮烈な二篇。改版。
ドン・キホーテが読みふけり、正気を失う原因となった「世界一」の騎士道小説。騎士ティラン・ロ・ブランの地中海を巡る冒険と、絶世の美姫との愛の日々が、絢爛豪華な宮廷生活を背景に活写される。バルガス=リョサによる日本語版への序文を付す。
よい本と出会うことが子どもにとっていかに大切か、よい本を選び出す基準とはどのようなものか。子どもの本の多様なジャンルの特質に即して、よい本の評価基準を詳しく説き明かす本書は、長年にわたり児童文学や児童図書館に関わる人々の厚い信頼を得てきた。日本を代表する三人の児童文学者が訳した名著が文庫版で甦る。
カリブ海の朝七時、試合が始まったー。季節外れの豪奢なバカンスが、ロシアン・マフィアを巻き込んだ、疑惑と欲望の渦巻く取引の場に。どうして私たちなのか、恋人は何を知っているのか、このゲームに身を投げ出す価値はどこにあるのか?政治と金、愛と信頼を賭けたフェアプレイが壮大なスケールでいま、始まる!サスペンス小説の巨匠、ル・カレ極上のエンターテインメント。
第七編 1 ヤギに秘密を打ち明ける危険 2 聖職者と哲学者とは赤の他人 3 鐘 4 宿命 5 黒い服をまとった二人の男 6 家の外で呪いのことばを七つどなったら…… 7 修道服をまとった怪しい男 8 河に面した窓が役に立つ 第八編 1 金貨が枯れ葉に変わる 2 金貨が枯れ葉に変わる(つづき) 3 金貨が枯れ葉に変わる(結末) 4 「すべての望みをすてよ」 5 母親 6 三人三様の心 第九編 1 狂乱 2 不自由な身体 3 不自由な耳 4 素焼きと水晶 5 赤門の鍵 6 赤門の鍵(つづき) 第十編 1 グランゴワール、ベルナルダン通りでいろいろな謀りごとをめぐらす 2 宿なしになってしまえ 3 ばんざい、ばんざい! 4 まぬけな味方 5 ルイ・ド・フランス殿下がお祈りをされた奥の間 6 ポケットの短剣 7 シャトーペール、救援に現われる! 第十一編 1 小さな靴 2 「白い服をまとった美しい者」(ダンテ) 3 フェビュスの結婚 4 カジモドの結婚 解説 (辻 昶)
フランス・ロマン主義を代表する作家ユゴー(1802-1885)が、1482年のパリを舞台に中世の社会と民衆の風俗を生き生きと描く。醜い鐘番のカジモド、美しい踊り子エスメラルダ、陰鬱な司教補佐クロード・フロロ。“宿命”によって翻弄される登場人物たちが、愛や情熱や嫉妬といった感情のドラマを繰りひろげる。
尾崎士郎は長篇小説『人生劇場』で知られるが、短篇小説こそ人と作品が渾然一体となった作家の特質が最も良く表現されている。「大逆事件」を取り上げた小説、戦時下の従軍文学、内省的な抒情小説、哀感と情熱溢れる自伝的作品から、多彩な尾崎文学の真価を示す小説16作を精選する。
現代中国を代表する作家・巴金(1904-2005)。その到達点を示す長編小説。病に冒され、ゆきづまった生活を送る無力なインテリ。その妻と母親の間には嫁姑の対立がある。誰が悪いわけでもない。だが各人にはどうすることもできない自我とこだわりがある。そこから生まれてしまう感情のせめぎ合い。苛烈な人生のドラマが胸を打つ。
凡 例 主な登場人物 地 図 アメリカ合衆国 南部連合の一一州 ジョージア州 南北戦争主要戦闘地 アトランタ周辺図 第五巻のあらすじ 第五〇章 第五一章 第五二章 第五三章 第五四章 第五五章 第五六章 第五七章 第五八章 第五九章 第六〇章 第六一章 第六二章 第六三章 訳者解説㈥ アメリカン・サーガ──永遠の歴史ロマン『風と共に去りぬ』 『風と共に去りぬ』関連略年表(ジョージア州と南北戦争) 注
現世では死者となって社会から身を隠し純愛を貫く物語「墓地展望亭」「湖畔」、人間心理の深奥に迫る名作「ハムレット」、巧みな語りにサスペンスが湛えられた掌篇「骨仏」など、“小説の魔術師”久生十蘭(1902-57)の、彫琢につぐ彫琢によって磨きぬかれた掌篇、短篇あるいは中篇を精選。「生霊」「雲の小径」「虹の橋」「妖婦アリス芸談」を併収。
凡 例 主な登場人物 地 図 アメリカ合衆国 南部連合の一一州 ジョージア州 南北戦争主要戦闘地 アトランタ周辺図 第四巻のあらすじ 第三九章 第四〇章 第四一章 第四二章 第四三章 第四四章 第四五章 第四六章 第四七章 第五部 第四八章 第四九章 訳者解説㈤ マーガレット・ミッチェルとその時代 マーガレット・ミッチェル年譜 『風と共に去りぬ』関連略年表(ジョージア州と南北戦争) 注
これまで金融機関や商社での勤務経験を生かしてスケールの大きいベストセラー経済小説を発表してきた著者が新たに挑んだ社会派巨編司法小説。昭和四十年代から始まった人権派裁判官粛清人事=青法協問題(ブルー・パージ)と原発差止め訴訟の二つを軸に、戦後の裁判所の歴史を内側から明らかにする。正義と保身のあいだに揺れる生身の裁判官の人間ドラマ。
歪んだ裁判官人事行政のツケで、首相私邸への偽電話事件、女性被告人との情交、当事者からの収賄といった不祥事が噴出する。津崎守は、最高裁調査官、東京地裁の裁判長と順調に出世の階段を上がるが、突然、「招かれざる被告人」が姿を現す。やがて能登の日本海原発二号機訴訟が金沢地裁で結審し、村木健吾裁判長が「世紀の判決」を言い渡すー。
凡 例 主な登場人物 地 図 アメリカ合衆国 南部連合の一一州 ジョージア州 南北戦争主要戦闘地 アトランタ周辺図 第三巻のあらすじ 第二九章 第三〇章 第四部 第三一章 第三二章 第三三章 第三四章 第三五章 第三六章 第三七章 第三八章 訳者解説㈣ 南北戦争とホーム・フロント(銃後)の女たち 『風と共に去りぬ』関連略年表(ジョージア州と南北戦争) 注
ヴェルデュラン夫妻が借りた海を見下ろす別荘と、そこへ向かう小鉄道で展開される一夏の人間喜劇。美貌の青年モレルに寄せるシャルリュス氏の恋心はうわさを呼び、「私」の恋人アルベルチーヌをめぐる同性愛の疑惑は思わぬ展開を見せる。
殺、掠、姦ー一九三七年、南京を占領した日本軍は暴虐のかぎりを尽した。破壊された家屋、横行する掠奪と凌辱、積み重なる屍体の山。この人倫の崩壊した時間のなかで人は何を考え、何をなすことができるのか。南京事件を中国人知識人の視点から手記のかたちで語り、歴史と人間存在の本質を問うた戦後文学の金字塔。