出版社 : ベストセラ-ズ
昭和17年(1942)7月18日未明、マーシャル北方500キロ洋上-。クエゼリン基地から発進した水上機母艦千歳の零式水偵が米艦隊に撃墜された。日本海軍が回避に回避を重ねてきた、日米の衝突がこのとき現実のものとなった。ハワイ攻撃を直前で中止して、日米開戦を回避した山本五十六司令長官も、戦艦大和を旗艦として、急遽、中部太平洋での邀撃作戦のため出撃した。大和は、武蔵・長門・陸奥・伊勢・日向の砲戦部隊を引き連れ、米艦隊に向かった。前方には、金剛・比叡・棒名・霧島の高速戦艦部隊、そしてその左右に、軽巡神通指揮の第2水雷戦隊の駆逐艦16隻が力強く波を崩いて突進していた。駆逐艦には、日本海軍が誇る九三式酸素魚雷264本が装填されていた。山本長官は、飛龍・蒼龍の空母部隊「九七艦攻・九九艦爆・零戦搭載」で、米艦隊を奇襲し、その混乱に乗じて戦艦部隊との砲戦に持ち込もうとした。
敗色迫る昭和一九年五月、突如姿を現わした巨大航空戦艦華厳・雷峰。マリアナ諸島制圧をめざすスプルアンス大将の米高速航空艦隊を、みごとに撤退させるが、依然として戦況は苦しい。はたして、フィリピン奪回に燃えるマッカーサーの大船団が迫りくる。ニューギニア沖ビアク島海上を邁進するマッカーサー艦隊へ、遠州竜一郎長官は、決然と黎明の奇襲を仕かけた。至近距離で激突する烈風とF6F。天山隊は800キロ魚雷を空母群にはなち、彗星隊は250キロ爆弾をかかえ、米戦艦へ突入していく。わき立つ海面に軽巡ナッシュビル艦上でなすすべもなく震えるマッカーサー。退却をはじめた米艦隊に、緒戦は完勝の超機動航空艦隊だが…。フィリピン沖はさらに戦雲がたれこめる-。
はなやかに匂う大輪のボタンがしおれるように、三百年続いた「帝国」の寿命がつきた後の中華世界。国土は千々に分裂し、「律令(法律)」は失われ、悪鬼や化生の跳梁を押さえる道士の禁呪も効をなくした、何でもござれの妖しい時代の物語-。新興国家「迂漢」に反旗をひるがえす革命軍の青年首領、乱凌王は、妖異な母、九連玄女の戒めを受け、か弱い少女に変成させられる。そして、運命の糸がもつれるままに、迂漢の後宮におもむく。そこは、黄泉へとつながる怪異な世界だった。命の理はくずれ、生と死の境界が溶解した、トワイライトゾーンそのものだった。
日米開戦は、ルーズベルト米大統領の陰謀だった。昭和16年の夏、日本を第二次世界大戦に巻き込もうとしていたのは、それぞれの思惑のもと、アメリカだけでなく、イギリス、ドイツの列強国だった。イギリスは、日本参戦によるアメリカの対ドイツ参戦を望み、ドイツは、ドイツ軍正面のソ連軍の満州派遣を望んでいたのである。遂に日本は、右に行こうと、左に行こうと、戦争へのみちしかなくなった。閉ざされた戦争の嵐の中、ひたすら戦争突入を回避しようとしていた山本五十六連合艦隊司令長官も、米海軍の挑発で連合艦隊を出撃させた。しかし、海軍工廠で建造中の超戦艦はまだ完成していない。日米対決の行方を左右する、戦艦大和をはるかにしのぐ50センチ砲搭載の超戦艦の建造が急ピッチで進められていた。書下ろし長編戦記シミュレーション。
ロシア極東地区で発生したクーデターを逃れ、ウラジオストクを脱出した20隻ほどの艦隊が日本の領海をめざした。政府は負傷者を乗せた艦の受け入れを認めたが、新潟西港に接岸した駆逐艦は主砲を回転させ、日本の巡視船をとらえた。上陸を開始したロシア兵は機動隊を掃討、さらに新潟県庁・県警本部・新潟空港を乗っとり、数多くの人間を人質にとった。政府は自衛隊三軍に対して防衛出動を命じ、陸上自衛隊の縮小改編にともなって結成された第一空中機動団が戦場に向け飛び立つ。双方が実戦に突入した頃、柏崎刈羽原発をロシアのヘリが襲い、プルトニウムの奪取に成功。待ち受けていた潜水艦に移され、日本海のいずこへと消えていった。一方、首相官邸では総理が服毒自殺をはかり、政府は責任者不在となり、混迷の度を増していた…。大好評の軍事シミュレーション、いよいよ完結。
世界核戦争から数十年。突然変異により生まれた妖獣が人間を次々と襲撃、人々は都市の回りに防護壁を作って、その攻撃を防いでいた。ソフィアポリス評議会は、妖獣に対抗するため、美少女戦士バイオソルジャーからなる対妖獣特殊警察を組織、妖獣たちの中枢を攻撃して、それを撃破することに成功した。そして妖獣特殊警察は解散となり、隊員達はそれぞれの場所へと散った。そして10カ月後。弱まったはずの妖獣が、また活動を開始した…。
それはふたりだけで歩く、傷心のトレッキングのはずだった。父子は山野に刻まれたトレイルを踏み、人生を語り合う旅を続けてきた。山小屋に着いた彼らの眼前で、予期せぬ出来事が起こった。武装した凶悪な殺人集団に、女子大生が拉致されたのだ。罪なき者の死を許せぬ父は、命がけの追跡を開始する。十六歳の息子にある使命を託して。少年はたったひとり、絶望の森を駆け抜ける。しかし、エスケープルートが崩壊し、救援を呼べないと悟ったとき、想像を絶する大自然の脅威と武装グループに対して、少年は単身立ち向かうしかないことを悟る。それは父子に課せられた大いなる試練だった。
ロシア極東地域で発生したクーデターを逃れ、ウラジオストクを20隻ほどの艦隊が脱出した。日本海に出た艦隊は針路を南に転じ、日本の領海をめざす。日本政府は負傷者を乗せた艦の受け入れを認めたが、新潟西港に接岸した駆逐艦の主砲が、突然回転を始め、埠頭に停泊していた巡視船をとらえる。発射の瞬間をテレビが放送し、およそ1200万人が、事件の開幕を目撃した。ロシア艦の甲板に続々と現われた武装兵士は上陸を開始し、機動隊員を一瞬にして掃討した。さらには、新潟県庁・県警本部、新潟空港の乗っとりに成功。事態を目のあたりにした政府は、ついに自衛隊に対し防衛出動を命じた。悪天候の中、空中機動団は戦場という未知の世界へ向けて飛び立つ。その頃、夕闇迫る原子力発電所近くに、一人の男の影があった…。豪雪におおわれた新潟を舞台に緊迫の攻防を描く、シリーズ第2巻。
敷島英二率いるシャンバラ教団による軍事クーデター勃発から一か月半。戦艦大和を総旗艦とする新設された日本連合艦隊の出撃態勢が整った。作戦は二つの枝作戦で構成されている。ひとつは、首都奪還作戦。もうひとつが、北海道上陸作戦。そして、ハワイ・マウイ島に設置された臨時日本政府の統合作戦本部で、ついに渡辺首相によって作戦実施が命令された。三陸沖をゆく潜水艦隊、その中心には、クーデター軍に乗っとられた最新鋭の攻撃型潜水艦「玄海01」の姉妹艦「玄海02」の姿があった。一方、世界最大の海域制圧艦として生まれ変わった大和は首都奪還をめざし、小笠原諸島沿いに北上する…。果たして、人類の未来を賭けた壮絶なる海戦を制するのは。
湘南で平凡に暮らす楠部大輔には、暗い過去があった。その、彼の過去にまつわる能力を利用しようと、執拗に接近してくる悪徳商事、麻薬シンジケート-。さらに、彼を愛する短大生、栄子をめぐり暴走族との死闘。いま、寡黙な男の闘争本能に火がついた。ダブサンの網鉄の匂いに、汗と血の匂いが混じって鼻を衝き、野獣の咆哮のごとくエンジンが雄叫びをあげる。そして男たちの壮絶な闘いは、海へ、空へ-。大輔の求めてきた、最大最高の武器が彼の手に入った。鉄拳と銃弾が入れ乱れ、炎と硝煙がバトルの舞台に渦を巻く。愛するもののために、不利な闘いに敢然と挑む大輔の運命は-。
嵐の中、義妹と共に山道に迷い込んだシナリオライターがたどりついたのは、山奥の古い洋館だった。世間から遠く離れて暮らす美しい5人の姉妹とメイドだけが住む不思議な館。そしてなぜか次々と姉妹たちが現われては、美しい肢体を使って誘惑してくる。そんな彼女たちやメイドに絶対的な権力を振るう、美しい謎の女…。館の人々の正体とは何か。彼らの目的とは何なのか。名作ゲームをもとに、新たなストーリーを加えてパワーアップした傑作アドベンチャー。
1999年7月-その世紀末の日本において、話題の中心は二つだった。1年ほど先のトータチス飛来と急速に勢力を伸ばすシャンバラ教団。シャンバラ教団とは、現史に生きる“あの敷島英二”が率いる宗教団体だった…。10月23日夜、首相官邸や陸海空軍基地が一斉に制圧された。それは、シャンバラ教団による軍事クーデターだった。クーデターの目的は、トータチス迎撃を阻止し、もう一度時空転移することによって、日本を世界の先導者に育てあげることだった。教団に対する反撃の切り札は帯広実験基地。しかし、北海道沖には乗っとられた最新鋭の攻撃型潜水艦「玄海01」が姿を潜ませていた。はたして、日本は、そして世界は破壊から逃れることはできるのか。クライマックスへ向け、いよいよ最後の戦いの幕が開く。
1998年12月、大統領府へ向けモスクワの町中をリムジンが走り抜ける。国家情報相から大統領に、ロシア極東地域でのクーデターが報告された…。年が明けた、1月9日の日本。北関東地方は断続的に襲ってきた寒波によって山間部は積雪が徐々に増えつつあった。夜明け前の赤城山の北面道路の駐車場に、一機のヘリコプターが舞い降りた。それは陸上自衛隊の縮小改編にともなって結成された第一空中機動団に配備された新型機AH-3Fの訓練飛行だった。その頃、ウラジオストクでは反政府軍の反乱を逃れた巡洋艦・駆逐艦・強襲揚陸艦など20隻ほどの艦隊が流氷に閉ざされた港を脱出。日本海を南下し、日本政府に対し、救援を要請した艦隊は、平和という長い眠りにつく日本を無理やり覚ますべく新潟港を目指す…。
美しく悲しすぎる運命を背負った人びとの群れ-。まさに古代はわれわれが忘れかけた魂のかなでるコンチェルトだった。古代最大の英雄・天武の子として生まれた大津皇子。文武武道に秀で、誰からも皇位継承者と認められていたこのプリンスに待っていた悲劇とは…。大津の義母持統は、黒幕藤原不比等から大津追い落しの秘策を授けられる。ひとりの女人の執念は、やがて飛鳥に血塗られた悲劇をもたらす。うずまく陰謀と野望と怨念-。逃げることのできないカラクリにはめられた大津の死。その裏には、大和を二分する大王家の知られざる宿命が隠されていた。今、闇に葬られた死の真相が、命をかけて愛した山辺皇女によって語られる。
昭和19年6月20日正午、日本帝国は遂に連合国に対し無条件降伏する。2年7カ月に及ぶ太平洋での激闘に終止符が打たれた。しかしこの瞬間、終わらぬ戦いに身を投じた男達がいた。旧日本海軍軍令部直属の第三四三潜水隊を率いた源田実以下約3000の隊員達である。この男達のヤバ島潜水艦隊は、ボルネオの北方の秘密基地に、水中高速潜水艦伊号900型を温存し、新たな戦いに鋭気を養っていた。源田は、終戦の前日に、一早く海軍内部のヤバ島関係資料を焼却し、完全な秘密を保った。そして、源田以下3000名の男達は、日本国より独立を宣言し、今後、第二日本帝国を名乗ることにした。源田を中心にこの男達が計画しているのは、秘密基地と伊900型潜を使い、日本の敗戦とともに始まったアジア各国の独立運動の支援だった。
第二次大戦後の世界に迫る新たな危機、それは1952年7月、天安門広場をつらぬき、南北中国を分断する“北京の壁”で勃発した。ソ連軍は北京をたちまち陥落し、南中国軍は敗走を続ける。一方、科学力に優るはずの日本連合艦隊はソロモン海海戦で、攻撃型潜水艦を駆使したドイツ軍に敗れ、戦艦武蔵をはじめ多くの艦を失い、南太平洋の勢力分布は一気にドイツ帝国に有利となる。53年に入ると、南京を陥落したソ連軍は、なぜか上海の手前で動きを止めてしまった。そこに、蒋介石よりスターリン死亡のニュースがもたらされる。ゲーリングはゲッベルスの勧めに従い、ソ連にヒムラーを送り込む…。統一国連緊急総会でのドイツ制裁決議をうけ、緊張高まる南太平洋に合衆国連合艦隊モンタナ級戦艦が、ついに姿を現わした。
源田実司令の発案ですすめられていた、紫電改を主力とする343空紫電改部隊が遂に編成された。先に始動している901潜以下の伊900型潜水艦部隊と合流することになる。インドネシア、フィリピンの輸送海路の保全のため、秘密基地ヤバ島から、南シナ海、セレベス海…へ、混成部隊が哨戒に出動する。折しも、米国が新型爆弾に成功し、輸送船でインドに輸送するとの情報を入手した源田司令は、三四三空の混成部隊に、この輸送船団の撃沈を指令する。そのころ東京上空は、中国から飛来するB-29の襲撃をうけていた。インド洋上では、米国輸送船団めがけ、空から紫電改部隊が爆弾を、海から901潜以下が魚雷を、集中砲火していた。
天下分け目の関ケ原。この日本を二分する合戦の前夜、豊臣恩顧の一群の大名が密議を凝らしていた。黒田如水を旗頭に、第三の勢力を形勢し、徳川方に挑もうとしたのだった。頼りとするのは、十余年前に伴天連が企てた幻のキリシタン王国の軍資金。十一年後、その時の連判状『祇面音密巻』がふたたび嵐を呼び起こした。それぞれの思惑を密めた七大名が、連判状の回収を始めたのである。関ケ原の合戦で、たまたま連判状の存在を知った旅の武芸者宮本武蔵が、この連判状の回収と南蛮の金銀財宝を求めて立ち上がった。幕府子飼いの裏組織「裏柳生」が、大坂方の忍者集団「甲賀赤蜘党」が、そして大御所家康が直々に選びだした超弩級の刺客が、武蔵の命を狙う。武蔵は、果して七巻の連判状と南蛮財宝を奪取できるのだろうか。
ドイツ帝国連邦、連合国、そしてアジア国家連盟-第二次大戦後の世界に迫る新たなる危機…。それは、1952年7月、天安門広場をつらぬき、南北中国を分断する“北京の壁”で勃発した。ゲーリングの命を受けたソビエト陸軍モンゴル機械化兵団は北京市全域をたちまた陥落し、南中国軍は敗走を続ける。しかし、南中国は統一国連軍に参戦要請をせず、日本は動きたくても動けない。アメリカは後方支援宣言をし、中国戦争への直接介入を避ける。9月、日本はボルネオから人類初の人工衛星“白鳥”の打ち上げに成功し、ドイツがニューカレドニアに打撃機動艦隊を集結させていることが判明した。ソロモン海北上を続けるドイツ艦隊を日本連合艦隊が待ち受ける。一方、南京をも陥落したソ連軍は、そこでなぜか進撃を中止してしまった…。