ジャンル : 外国の小説
今年はトーマス・マン生誕150年、昨2024年は『魔の山』が刊行されて100年目の年だった。これを記念してベテラン登山家一人と新進気鋭の登山ガイド四人がタッグを組んで、従来の研究について反省的に考察を深め、『魔の山』100年の彼方を問う論集を企画した。それぞれに複数のルートで登頂したが、未踏の新ルートがあるやも知れず。読者諸賢は今後も自らの新ルートを探し続け、『魔の山』に挑んで欲しい。 はじめに 第1部 登山案内 トーマス・マン略年譜/トーマス・マンについて/『魔の山』成立史/『魔の山』の主要登場人物/『魔の山』の邦訳/日本におけるトーマス・マン受容/文献一覧 第2部 『魔の山』ペーペルコルン・エピソードにおける「愛」と「終末論」/コラム 言葉の英雄/『魔の山』における有機体とフマニテートの関係/コラム 忘却と想起の物語/『魔の山』における耳を聾する音ー雪山、滝、そして戦場/コラム あれって老兵かい?/陶酔と夢の魔法ー『魔の山』の認識論/コラム 結びにかえて/編者・執筆者紹介
事件の始まりから幕引きまで約半日。ヴァルクール警部補の活躍で事件は短期間で解決したかと思われたが……。章題に時刻を記して読者に時間の経過を知らせる捜査小説のような趣向を取り入れた、〈ヴァルクール警部補〉シリーズの第一作を初邦訳! 『時計の殺人』は意外性に継ぐ意外性に驚かされる作品である。英米探偵小説黄金時代における屈指のエンターテインメントと言って良い。(作家・二階堂黎人氏推薦文より) 時計殺人事件 訳者あとがき 解説 二階堂黎人
ネオサイタマに燃える赤熱の炎! ニンジャを殺す者ニンジャスレイヤー、フジキド・ケンジのソウカイ・シンジケートとの戦いがリマスター版として復活! 世界全土を電子ネットワークが覆いつくし、サイバネティック技術が普遍化した未来。宇宙植民など稚気じみた夢。人々は灰色のメガロシティに棲み、夜な夜なサイバースペースへ逃避する。政府よりも力を持つメガコーポ群が、国家を背後から操作する。ここはネオサイタマ。鎖国体制を敷く日本の中心地だ。そしてネオサイタマの闇には、邪悪なニンジャ組織の数々がうごめく……。 ニンジャ抗争に巻き込まれて妻子を失ったサラリマン「フジキド・ケンジ」は、自らも死の淵にあったが、禍々しきナラク・ニンジャのソウルを宿すことで、復讐の戦士「ニンジャスレイヤー」として蘇った。ソウカイ・シンジケートとの熾烈な戦いが、いま幕を開ける。 ネット発のサイバーパンクニンジャ活劇小説『ニンジャスレイヤー』の第1部「ネオサイタマ炎上」編の4冊から、コアストーリーを選出して時系列順に読みやすく並べ直しリマスター。 「フジキド・ケンジ」が復讐の戦士ニンジャスレイヤーとなり、宿敵ソウカイ・シンジケートを打倒するまでの過酷な戦いの数々を、1冊にまとめています。
人の心の弱さと醜さを映す 奇奇怪怪な物語の世界へ NHK朝ドラ「ばけばけ」で話題の小泉八雲の怪談が1話5分で読み切れる短編集。珠玉の名作17篇をその世界観が際立つ現代超訳に。気鋭のアーティスト6名が描く、ずっと眺めていたくなる神秘的なイラストとともにお届けする。 参加アーティスト:カワグチタクヤ/さとま/すり餌/HER/橋賢亀/Minoru 【収録話】 1.鏡と鐘と 2.猫を描いた少年 3.忠五郎のはなし 4.幽霊滝の伝説 5.死霊 6.生霊 7.常識 8.轆轤首 9.食人鬼 10.因果ばなし 11.破られた約束 12.お貞のはなし 13.青柳の話 14.閻魔大王の法廷にて 15.鮫人の恩返し 16.耳なし芳一 17.雪女
奇譚・推し活・ちょっとSF!? デビュー作ながら、韓国で14刷突破! 3か国語で翻訳された、話題の短篇小説集。初の邦訳! 気鋭作家イ・ユリが描く、優しさとユーモアが漂う独特世界。 ある朝、彼氏の手がブロッコリーに…! 日常にひょっこり顔をだす、不思議な出来事。 へこんでいた心をスカッと救う8つの物語。 ★人気作家たちも絶賛! ──────────────────── 「来る途中で拾っただけ」と平然と繰り出される ユーモアとウィットも一級品で、長所を挙げたらきりがない。 ──ク・ビョンモ(小説家 『破果』『破砕』) 幻想的だが現実味があり、ロマンスのようだがそうではない気もする、 数枚のカードを見せられた後、不意に裏返されると、 何だったか見失ってしまう妙な物語。 ──パク・ソルメ(小説家 『未来散歩練習』『影犬は時間の約束を破らない』) ──────────────────── 時につまづき、失い、溺れかけても…… 私たちはゆるやかに助け合って、前を向く。 「一生懸命やってもダメなことってあるよね。 生きてたら必ずある、そういうこと」(本文より) 不思議だけれど、私たちの切実さと繋がる物語。 読めばあなたも語りたくなるはず! ★各篇あらすじ ──────────────────── 「赤い実」……鉢植えから亡き父の声がする 「ぷかぷか」……アイドルを推しすぎて大ピンチ 「ブロッコリーパンチ」……ある朝、彼氏の右手がブロッコリーに 「爪の影」……真夜中に元恋人の霊が現れた 「アオサギクラブ」……絶望の淵を歩いていたらアオサギクラブに誘われて 「チーズの月とビスコッティ」……僕の相棒は石ころ 「平べったい世界」……半透明になった私と継母 「イグアナと私」……イグアナに泳ぎを教えたら ────────────────────
【書評掲載】 ◎産経新聞書評欄で紹介されました。(2025年10月19日付、評者・河原潤子氏) ◎朝日新聞読書面で紹介されました。(2025年11月15日付、評者・吉田伸子氏) ◎クロワッサン「文字から栄養 よりすぐり読書日記」で紹介されました。 (2025年12月10日号、評者・瀧井朝世氏) ========================== 遺産のゆずり先に悩む ひとり暮らしのおばあちゃん。 遺産相続人はペンギン!? 明日を生きる希望に満ちた傑作ペンギン文学! Amazonベストセラー(Kindle & オーディオブック部門)1位 世界16か国以上で翻訳刊行 リチャード&ジュディ・ブッククラブの1冊 BBCラジオ2ブッククラブの1冊 ヴェロニカ・マクリーディは八十五歳の気むずかしいおばあちゃん。スコットランドの大きな屋敷にひとりで暮らし、お茶をしたり動物番組を見たりしながら、自分の遺産をどこへやろうかと考えている。ある日、南極でおこなわれている資金不足のアデリーペンギン研究を知った彼女は、遺産をゆずる相手としてペンギンがふさわしいかを見極めるべく、はるか南の大陸へと一世一代の旅に出た──。世界16か国以上で翻訳刊行、明日を生きる希望に満ちた傑作ペンギン文学!
たとえあなたの顔が見えなくても、 あなたを感じることはできるから。 病気で視力を失ったグレースは、暗闇でもがき苦しみながらも、 一歩ずつ自立を目指し、ようやく念願のソムリエになった。 あるとき、アルゼンチン大富豪からワイン鑑定の仕事を頼まれ、 相棒の盲導犬と共に彼女は現地の大農園へ飛んだ。 驚いたことに、グレースを出迎えたのは親友の兄で憧れの人、 ナチョ・アコスタだった! まさかこんな形で再会するなんて。 彼が“目”となって色を伝え、グレースがワインを口に含む。 共同作業はしだいに熱を帯び、祭りの夜、二人はついに結ばれた。 だが、なぜかナチョはその日を境に彼女を遠ざけるようになる。 あれは一夜の夢よ。傷心のグレースは帰国しようとするが……。 ハンディキャップ・ロマンスの旗手、スーザン・スティーヴンスが描く、心揺さぶる感動の逸作をお贈りします。早くに両親を亡くし、5人きょうだいの長男として、弟妹たちをひとりで守ってきたヒーローには、これまで誰にも話せなかったトラウマがあって……。
名も知らず愛を交わした、かけがえのない記憶。 この娘の瞳にいつも、あの日のあなたがいた。 ニューヨークの高層ビルで働くブリーは、仕事に追われながら、 3歳の娘ソフィアを育てている。ある一夜の美しい記憶を胸に。 4年前、傷心を抱えて訪れたイタリアで、美しい漆黒の瞳の ジャクソンと出会い、ブリーはたちまち惹かれた。 情熱と切なさが入り混じる夜は、まるで夢のように過ぎ去ったーー 彼が何者なのかも知らないままに。 今、4年の時を経て、彼は世界を駆け回るホテル王ジャクソンとして、 ブリーの上司の結婚披露宴に現れたのだ! 彼は幼いソフィアの漆黒の瞳を見つめて言った。 「この子は、僕の娘か?」 その問いに、ブリーの世界は揺れはじめます。この3年間、一人で娘を守ってきたのに、彼はすべてを知るや言ったのですーー「結婚しよう。君たちをイタリアに迎えたい」けれど、父の愛を知らずに育った彼女には、温かい家族のイメージなど到底持てなくて……。
最愛の人に出逢う前から、 運命の子を身ごもっていたなんて。 独身のシェリダンは人工授精を受けた。 不妊に苦しむ大好きな姉のため、代理母になるつもりだった。 だが1週間後、とんでもない事実を知らされて凍りつく。 病院で手違いがあり、義兄とは別人の精子が使われたというのだ。 取り乱すシェリダンのもとに、突然見知らぬ男性が訪ねてきた。 態度こそ傲慢だけれど、なんてハンサムで魅力的な人なの。 陶然とする彼女に彼が言った。「きみが生むことになるのは、僕の 後継ぎだ」驚いたことに、彼の正体は異国の王ラシードだった! おなかの子が未来の国王に? すぐにシェリダンの口はキスで ふさがれ、ラシードは彼女を強引に砂の宮殿へと連れ去った。 ヒーローから過去に妻子を同時に亡くしたと聞かされたヒロインは、彼を慰めたくてベッドを共にすることに。ところが妊娠が確実になったとたん、彼の態度が冷たくなって……。2008年度ゴールデン・ハート賞ファイナリストという実力派作家の代表作です!
“兄”と呼ぶにはまぶしすぎて、 “恋”と呼ぶには近すぎた。 養女のメレディスがようやく見つけた実の母は、 親子の名乗りを上げてほどなく、重い病でこの世を去った。 だが、娘の存在を知らない実の父が健在と知って、 メレディスは自らのルーツをたどるため、素性を伏せたまま 父の住む地に求職広告を出す。やがて、さる屋敷で雇われるが、 そこには心を大きく揺さぶる男性がいた。ガレスーー そう名乗った彼は、血のつながらない兄。義理の兄だった。 ガレスはメレディスの亡き母を嫌い、訃報にほっとしたと言い放つ。 メレディスは人知れず傷つき、そして怒りを覚えた。 けれど同時に、彼のことを憎みきれない自分に、戸惑いも感じていた。 原作刊行はなんと1977年! 〈ハーレクイン・ロマンス・タイムマシン〉で刊行した『捨てられた令嬢』が大反響を呼んだ往年の大作家、エッシー・サマーズ。クラシックな雰囲気漂う、傲慢な義兄と孤独な乙女の恋物語をお楽しみください。
ごみ箱に捨てられた私は、 赤ちゃんを幸せにする。絶対に。 生まれてすぐにごみ箱に捨てられて施設で育ったリアは、 医療の現場で働くことで、家庭への憧れが人一倍強くなった。 子供が欲しいのに自分は妊娠が難しい体質のため、 親友に代理母となってもらい、7カ月後には母になる予定だ。 だから、先日一夜をともにした上司で医師のベンにもそう伝えた。 私はプレイボーイのあなたが興味を持つような女ではない、と。 本当は出逢った瞬間から彼に惹かれ、もっと近づきたいのだけれど……。 一方のベンも、ずっと弟や妹の親代わりをしてきたせいで、 もう二度とあんな責任は負いたくない、子供は欲しくないと話した。 なのに、思わぬ事態がーーリアの身にベンの子が宿っていたのだ! 命の現場を舞台に感動ロマンスを描いて人気急上昇中の英国人作家L・ヒートン。代理出産により母になる予定のヒロインが自らも予期せぬ妊娠をしてしまうという驚きのストーリーが繰り広げられます。父になるつもりのないヒーローはいったいどうするのでしょうか?!
あなたのキスに怒ってみせたのは、 この気持ちを隠したかったから。 天涯孤独のケイトは住みこみで老婦人の話し相手をする仕事を見つけた。 初日、美しい田園の駅にやってきた彼女は列車の車両故障で立ち往生し、 居合わせたニコラスという長身の男性に屋敷まで送ってもらうことに。 「もしかして君、修道院から脱走してきたのか?」 ケイトの質素な服装を見てそう言ったニコラスはいかにも裕福そうだ。 彼女のプライドは傷ついた。彼を密かにすてきだと思っていたのに……。 さらにショックなことに、彼には美しい婚約者がいることを知った。 しかも、偶然にもケイトの雇い主の老婦人はニコラスのおばで、 彼は結婚生活を始めるために、老婦人を屋敷から追い出そうとしていた! そうと知っていたら、ここまで来たりしなかった。彼に恋したりもーー。 偉大な作家シャーロット・ラムの1970年代の秀作を紙書籍限定で再版いたします! ケイトがせっかく見つけた仕事は始まる前に終わったかに思われましたが、ニコラス自らがケイトを雇うと提案しますーー屋敷から出ていくよう老婦人を説得してほしいと言って。
昼は他人のように、 夜は恋人のように。 インテリアデザイナーのレオニーは顧客の会社を訪れ、息をのんだ。 そこで彼女を待っていたのは、新社長のアダム──別居中の夫! レオニーは彼が姉と浮気をしていたと知り、家を飛び出した。 知り合ってすぐに結婚した二人は初めての夜からうまくいかず、 そこから互いの距離が広がっていったのだった。 8カ月ぶりの再会に、レオニーの胸にときめきと切なさが渦巻いた。 アダムは社長室を改装してほしいと仕事を依頼するだけでなく、 完璧なディナーと誘惑で彼女を魅了し、甘い余韻のなか朝を迎えた。 私たちは離婚するはずでしょう。彼はどういうつもりなの……? 断らなくちゃ。アダムの仕事の依頼も、恋人のような誘惑も! 本作の原書は1985年に上梓されるもしばらく未邦訳のままで、2015年にようやく翻訳版が日本に紹介され、大好評を博しました。夫婦の愛の復活物語をご堪能ください。
幼さを脱ぎ捨て、 もう一度、初恋の男性に出逢う。 ベスは父の死を機にヨーロッパから帰郷し、 5年ぶりに初恋の相手フィリップと再会した。 彼はかつて、亡き従姉と婚約していた相手。 5年の間に痩せて美しいレディに変身したベスに驚いた様子で、 舞踏会では、ブラックウッド子爵との仲を冷やかしてきたが、 ベスはといえば、別の令嬢が彼に急接近し、気が気ではない。 その矢先、ベスはほかならぬ子爵とともに誘拐されてしまった! 幸い二人とも無事救出されたが、ベスの名誉を守ろうと求婚したのは、 子爵だけではなくーーなんとフィリップ! どうして? あなたとだけは、絶対に結婚できないのに。 忘れえぬ初恋の男性からの思いがけない求婚に、苦悩するベス。なぜなら従姉の身代わりになっても、彼に愛してもらえる日は永遠にこないから……。根強いファンを持つリージェンシーの名手アン・アシュリーが描く、珠玉の初恋&再会ロマンス!
姿さえ見えない彼に、 こんなにも心を乱されるなんて……。 婚約者が車で事故を起こし、助手席にいたシャノンは失明した。 その彼女に婚約者が突きつけたのは、婚約破棄という非情だった。 失意のどん底で薄暗い部屋に閉じこもるシャノンのもとに、 ある日、元婚約者の異母兄ブレイズと名乗る男性が現れた。 シャノンはそれまで存在すら知らなかった彼に警戒心を抱くが、 彼の深みのある声、手探りで知った長身の輪郭に密かに胸を高鳴らせる。 家にこもる彼女をなんとか外へ引っ張りだそうとするブレイズ。 どうしてこの人は、こんなにも私のことを気にかけてくれるの? シャノンはブレイズの強い説得により、目の手術を受ける決意をする。 包帯が取れて初めて見えるのは彼の顔であってほしい。そう願うが……。 不運な事故で目の見えなくなったヒロインに、ヒーローは生きる希望を与えに来たのか、はたまた悩める恋心を芽生えさせに来たのか。ドラマ性に富んだ物語で大人気を博すサンドラ・フィールドが描く、珠玉のハンディキャップ・ロマンス! 紙書籍限定の再版です。
パラレルワールドから来た元恋人と、彼女の世界にないものを探す「自撮り棒のない世界」、一度使った言葉が次々と消えていく「メソポタミア人の地獄」、世界中の人間一人ひとりに自分だけのソウルメイトを生み出す計画の行方は…「ソロ」、若い経営者とその父の朝の出来事をめぐる「オートコレクト」、地球を訪れる宇宙人をガイドして〈命のつぶ〉を受け取る「ガイドツアー」など。ユニークな想像力とユーモアで見えない真実を浮かびあがらせる短篇集。
『侍女の物語』前夜のアトウッド 世界的作家アトウッドの初期短編集が待望の復刊。キャンパスで繰り広げられる奇妙な追跡劇(「火星から来た男」)、記者が陥る漂流の危機(「旅行記事」)、すれ違いから若い夫婦が深める孤独(「ケツァール」)、悩める医者の卵がある少女に向ける感情(「訓練」)、下宿屋で巻き起こる異文化をめぐる騒ぎ(「ダンシング・ガールズ」)など──アトウッドのぞくぞくするような「巧さ」が詰まった七編を収録。あからさまにではなく、ほんの少しだけ垣間見せるというやり方で、日常に潜む違和や世界の綻びが、複雑と混沌のままに示される。 「ことに「キッチン・ドア」で描かれる、形のない、だがはっきりと肌で感じる破滅の予兆は、のちの『侍女の物語』や〈マッドアダム〉三部作のディストピア世界の前日譚と見ることもでき、世界のあちこちで不穏な狼煙の上がる二〇二五年に読むと、これを訳した当時よりずっと生々しい実感をともなって迫ってくる。およそ五十年前に書かれたにもかかわらず、これらの物語は少しも古びていない、どころか読むたびに「今」の物語として更新されつづける。そのことに何よりも驚きを感じる」(「復刊によせて」より)
恐怖が、再定義される── 『ゲット・アウト』の監督・ジョーダン・ピールが送る 黒人作家たちによる恐怖の最前線 【ローカス賞、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞受賞/世界幻想文学大賞最終候補作】 『ゲット・アウト』『アス』『NOPE/ノープ』で世界に衝撃を与えた映画監督・脚本家ジョーダン・ピールが編集を手がける、全編書き下ろしによるブラック・ホラー短篇集。 本アンソロジーに収録された19の作品では、奴隷制度の記憶、公民権運動のトラウマ、移民としての分断されたアイデンティティ、そして現代社会の見えざる暴力など、超自然の恐怖だけでなく、アメリカ社会に深く根を下ろした不正義や歴史的暴力といった“現実”の〈悪夢〉が描かれる。 作家陣には、N・K・ジェミシン、ンネディ・オコラフォー、レベッカ・ローンホース、タナナリーヴ・ドゥーら国際的に高く評価される作家たちが名を連ね、新進気鋭の書き手も多数参加。また、ジョーダン・ピール自身による序文も収録されている。 ローカス賞、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞を受賞したほか、Esquire、CrimeReads、シカゴ公共図書館の「年間ベストブック」にも選出された。 また、英・ガーディアン紙は「今年最高のアンソロジーであるだけでなく、時代を超えて語り継がれる一冊」と絶賛している。 ブラック・ホラーの最前線を記録する、必読のアンソロジー。 あなたがまだ見ぬ恐怖が、ここにある── 序文 ジョーダン・ピール 01「不躾なまなざし」N・K・ジェミシン(押野素子訳) 02「〈目〉と〈歯〉」レベッカ・ローンホース(ハーン小路恭子訳) 03「彷徨う悪魔」キャドウェル・ターンブル(ハーン小路恭子訳) 04「ベイビー・スナッチャーの侵略」レズリー・ンネカ・アリマー(柴田元幸訳) 05「片割れ」ヴァイオレット・アレン(ハーン小路恭子訳) 06「人魚(ラシレン)」エリン・E・アダムズ(ハーン小路恭子訳) 07「乗ってきた男」タナナリーヴ・ドゥー(柴田元幸訳) 08「芸術愛好家」ジャスティン・C・キー(ハーン小路恭子訳) 09「圧」エズラ・クレイタン・ダニエルズ(今井亮一訳) 10「暗い家」ンネディ・オコラフォー(福間 恵訳) 11「ちらつき」L・D・ルイス(坪野圭介訳) 12「世界一最強の女魔術師(オビア・ウーマン)」ナロ・ホプキンソン(今井亮一訳) 13「ノルウッドの動乱」モーリス・ブローダス(今井亮一訳) 14「死者の嘆き」リオン・アミルカー・スコット(押野素子訳) 15「しるしを刻む木のそばで、一羽の鳥がさえずる」ニコール・D・スコニアーズ(福間 恵訳) 16「あるアメリカの寓話」チェシャ・バーク(坪野圭介訳) 17「あなたの幸せな場所」テレンス・テイラー(福間 恵訳) 18「かくれんぼ」P・ジェリ・クラーク(今井亮一訳) 19「オリジン・ストーリー」トチ・オニェブチ(柴田元幸訳) 訳者解説 『どこかで叫びが』におけるブラック・ホラーの意匠 ハーン小路恭子 著者・編者略歴 訳者略歴