著者 : 清水由貴子
ブリストルはウェイトレスのアルバイトをしていたとき、精悍でセクシーな男性客クープことララミー・クーパーと恋に落ちた。たった3夜でも、彼と過ごした時間は一生忘れられない思い出となったが、赤ちゃんができたとわかって彼に送った手紙は戻ってきてしまった。彼女が衝撃の事実を耳にしたのは、それからしばらくしてからのこと。クープが任務中に死んだという悲しすぎる知らせだった…。3年後、ブリストルは天国の父にちなんでララミー・クーパーと名づけた幼い息子を育て、母である彼女自身も改姓してクーパーとなっていた。それで問題ないはずだったー死んだはずのクープが現れるまでは。彼は生きていた!そして言った。「きみはなぜ俺の姓を名乗っている?」
ストックホルムで女性の惨殺死体が発見された。容疑者である服役中の交際相手カリムは、事件当夜、仮釈放の身だった。彼の靴から被害者の血液が検出され、警察上層部はカリムの犯行と断定する。だが警部のヴァネッサだけは、狡猾なカリムが血のついた靴のまま刑務所に戻ったことに疑問を抱く。やがてカリムの起訴が間近となった頃、「彼は殺していない」と訴える女性が現れ、事件は単純な怨恨殺人とは全く違う様相を見せはじめ…。全世界のミステリファンを熱狂させた『ミレニアム』の系譜を継ぐ警察小説登場。
グレーシーは19歳のときに一人旅をしたローマで美男マリクと出逢い、彼の滞在する豪華ホテルのスイートでめくるめく初めての夜を過ごした。ところが直後、彼の祖父が部屋に押し入ってきて、みずからを一国の君主と名乗ると、マリクは後継者だと告げた。そのうえグレーシーは低俗な娼婦と蔑まれ、傷つけられ、恋は儚く散ったのだった。彼女のお腹に小さな命を宿して。あれから10年、グレーシーは独りで子育てと仕事に励んできた。貧しいながらも幸せで、息子を授かったことは決して後悔していない。なのに今、なぜあの日のままの美しいマリクが目の前に現れたの?彼女の唯一の宝物である息子が、彼の跡継ぎにされようとしていた…。
7年前、ヴィヴは異国から来たガーリブを一途に愛した。けれど優秀なドクターでありながら一国の皇太子でもあった後は、ヴィヴとの関係を汚らわしい秘密のように周囲にひた隠しにした。そのうえ、泣きすがる彼女を、さよならも言わずに捨て去ったー思いがけず授かった小さな命を彼女の身に残して。彼が知る由もないその贈り物を糧に生きてきたヴィヴは今、ある決意を胸に、ガーリブとの再会に臨もうとしていた。今の彼が真実を知るに値する男性かどうかを見極めるために。それまでは、6歳になる息子のことは隠し続けなければ!息子を奪われ、私だけ追い出されたりしたら、私は生きていけない…。
アラベラは今、ウェストレイ伯爵夫人になりすましていた。新婚早々、夫が亡くなり、その不審な死の真相を突き止めるには、正体を隠して関係者に近づく必要がどうしてもあったのだ。最近、爵位を継いだ新伯爵は海外にいるというから問題ないはずよ。6年ぶりに祖国イギリスの地を踏んだ新伯爵ランドルフは、領地を訪れたとき、使用人の言葉に耳を疑った。「奥様がお留守で…」奥様だと?未婚のぼくに、妻などいるはずがないが?いぶかしんだ彼は、“伯爵夫人”が出かけたという館を訪れ、華やかなドレスに身を包んだ見知らぬ美女アラベラを見つけー
故郷の小さな村を出てロンドン暮らしにも慣れてきたライザは、ある夜、遊びに来た家族と連れ立って流行のバーを訪れた。そこでイタリアの伯爵で実業家のファウストと知り合う。漆黒の髪の彼は遠くからでもわかるほど際立ってセクシーで、まるで世界を所有しているような尊大な雰囲気になぜか惹きつけられた。それなのに、ファウストがライザのことを「平凡で退屈そうだ」と評しているのを漏れ聞いてしまい、彼女はとたんに気落ちした。しかも彼はライザたち家族を“財産目当ての田舎者”と決めつけると、軽蔑の念を隠そうともせず、無表情でいとまを告げて去っていった。失礼な人!でももう会うこともないわ。だが、彼女の予想は外れ…。
子供好きなマーニーは、住み込みで幼児の世話をするナニーとして、弁護士ダニー・マネッリの豪壮なペントハウスで働けることになった。12歳で父に捨てられてから、病の母を支えて貧しさに耐え、苦学してようやく大学を卒業した甲斐があった。将来、ナニーの派遣サービスを始めるという、夢の第一歩。ダニーと2歳の息子ともすぐに仲よくなり、順風満帆に思えた。ところが、このハンサムな雇い主は未婚で妻がおらず、しかも最近、彼の実父が悪名高き大富豪と判明したことを知ると、不安に苛まれる。実はマーニーには、名前を変えてまで隠している悲しい事情があるのだ。世間の注目を浴びれば彼に迷惑がかかると考え、身を引こうとするが…。
父を知らず、やがて母とも別れ別れになったレニは、8歳のときに施設から引き取ってくれた養父母に感謝していた。ウエイトレスをしながら大学に通い、今は卒業したばかりだ。クリスマスが近いある日、レニの働く店に、NYからニック・クラキスという実業家が訪ねてきた。こんなに洗練された人がこの田舎町へ、いったい何をしに?すると彼は、知人だった亡き大富豪がなんとレニの実の父親で、血縁が証明されれば、君は莫大な遺産の相続人になる、と告げた!戸惑うレニだったが、養父の医療費のため、ニックとNYへ飛んだ。美しくも、どこか陰りを帯びた彼の虜になってしまうとも知らず。
放蕩貴族のふりをして、彼は命がけで祖国を守っていたというの?悪名高い遊び人ジェームズの秘密を偶然耳にしたロイナはうろたえた。ロイナが住み込みで働く屋敷に負傷したジェームズが運び込まれ、悪魔のようにハンサムな彼が夜ごと夢に現れだした矢先の出来事だった。話を聞かれたと気づき、ジェームズはロイナの寝室に現れたー人目を忍んで、屋敷じゅうが寝静まった真夜中に。ところが、寄り添って話すふたりの眼下で人影が動き、ジェームズは険しい表情でロイナに告げた。「ぼくのせいで、きみの身にも危険が迫っているらしい。ぼくたちは結婚しなければならないーきみの命を守るためにも」
リディアは1年前、実業家ジェイクとの結婚を拒んで逃げ出した。彼の気持ちもわからないまま結婚などできないと思ったから。挙式直前のリハーサルに臨む段に至ってもなお、ジェイクの口からプロポーズの言葉さえ聞けなかったのだ。リディアは結婚できないと宣言すると、いたたまれず旅に出た。彼の“愛している”のひと言さえあれば、留まっていたかもしれない。でもまさか、妹がジェイクの親友と結婚するとは思ってもみなかった。実現しなかった結婚式の準備に関わるうち、二人は意気投合したという。リディアは皮肉な運命を嘆きつつ、妹の結婚式に出るため帰国した。当然顔を合わせることになる、ジェイクとの再会を覚悟して。
凄惨な事件に遭い、心身ともに傷を負って辞職した元捜査官コロンバ。田舎にひきこもって暮らしていた彼女は、ある夜、敷地内で血まみれの青年を発見する。青年のしぐさには、過去に彼女が捜査した凶悪犯“父親”の影響が感じられた…。コロンバは、パードレの昔の被害者であり、誘拐されて行方の知れないかつての相棒ダンテをふたたび探しはじめる。イタリア発衝撃のサスペンス『パードレはそこにいる』三部作完結篇!
コロンバの自宅付近で国家憲兵が惨殺される。コロンバに疑惑の目が向けられるなか、廃業したクリニックで昏睡状態のダンテが発見された!徐々に回復する彼とコロンバに、政府のテロ対策チームが協力を依頼してくるが…。また惨劇が起きる前に、ふたりはダンテの弟を名乗る男レオを止められるのか?猛々しい捜査官との閉所恐怖症のコンサルタントのコンビが活躍するイタリア発ベストセラー・サスペンス、ついに終幕!
イベントプランナーのジャスミンは仕事と妹の世話に追われてきたが、今は知人の忘れ形見の幼いロージーを引き取り、育児に奮闘中だ。そんなとき、海運王ロイスから慈善パーティの依頼が舞い込んだ。冷徹なまでに仕事を最優先するロイスに反感を覚え、名実ともに心のこもったパーティにするために、彼もすべての打ち合わせに出席するという条件で引き受けることにする。多忙を理由に渋るロイスだったが、預かり手がなくてやむなくロージーを打ち合わせに連れていくと、彼の不機嫌はさらに増した。ところがある日、ジャスミンの家族が緊急で病院に運ばれ、たまたま同行した彼が、むずかるロージーを不器用に抱く姿を目にした。その瞬間、胸に稲妻が走ったーああ、わたし、恋に落ちたみたい…。
これまで、グレーシーは独りで子育てと仕事に励んできた。19歳のときに一人旅したローマで運命的な出会いをはたし、息子を授かったことは今も決して後悔していない。子供の父親のマリクが滞在していた豪華ホテルのスイートで、住む世界の違いに驚きながらも、初めての経験に我を忘れたのだった。ところが直後に、彼の祖父だという老人が部屋に押し入ってきて、みずからを一国の君主と名乗り、マリクは後継者だと告げた。グレーシーは蔑まれ、傷つけられたすえ…はかない恋は、終わった。だが10年後、あの日のままのマリクが、ふたたび目の前に現れるー彼女の唯一の宝物である息子を、自分の跡継ぎに据えるために。
セージは展覧会の初日レセプションに現れたタイスを見て茫然とした。3年前、世界的な名声を得つつあったタイスと出会った瞬間、セージは燃えるような恋に落ち、欲望の赴くまま彼と体を重ねたが、6週間後、濃密な関係に自ら終止符を打ったのだった。幼いころ両親を亡くし、最愛の養父の死に直面したばかりの彼女は、愛する人を失う悲しみをもう味わいたくなかったのだ。それなのに驚愕の再会を果たした夜、セージはタイスに求められるままベッドをともにした。抱き寄せられ、熱いキスを浴びせられたとたん、我を忘れてしまったから。3カ月後ーセージはお腹に小さな命を宿していることに気づく。
両親亡きあと悪辣な弟に騙され、無一文で家を出たケイトは真冬の荒れ果てた避難小屋で危うく命を落としかけ、偶然居合わせた謎めいた旅の紳士に助けられた。グラント・リバーズと名乗るその陰のある美しい男性は、ケイトが婉曲に事情を話すと問題解決としての便宜結婚を申し出た。出会ったばかりの薄汚れた娘に求婚するなんて、この人はいったい…。だが他に生きる術もなく、彼女は朦朧としながら申し出を受け入れた。通りすがりの農民を証人に結婚したあと、新居に案内されたケイトは豪壮な屋敷と使用人の数に驚き、慌てふためいた。「あなたは誰なの?」グラントは平然と答えた。「第4代アランデール伯爵だ」
ローマに到着した急行列車。しかし先頭車両の乗客は、全員死亡していた。イスラム過激派から犯行声明が出されるが、犯人の足跡はたどれない。捜査の方向性をめぐって上層部と衝突した女性捜査官コロンバは、変わり者だが抜群の観察眼を持つ知り合いのコンサルタント、ダンテに、ひそかに犯人捜しを依頼する。ダンテはしぶしぶ引き受けるがー。大ヒット・サスペンス『パードレはそこにいる』に続くシリーズ第二弾登場!
列車の大量殺人事件につながっていた二人の若者が殺された。その裏には、謎めいた女の姿が見え隠れする。ダンテは過去に起きた複数の事件と、その女との関係を疑う。停職を命じられたばかりのコロンバだったが、ダンテと協力して調べ続けることを決め、ドイツへ向かう。コロンバとダンテはさらなる惨劇を止めることができるのか?勇猛果敢な女性捜査官と閉所恐怖症のコンサルタントが活躍するベストセラー・サスペンス。
森で見つかった六本の左腕。それは連続少女誘拐事件の被害者たちのものだった。しかし、判明している被害者は五名。六本目の腕は誰のものなのか?失踪人捜索を専門とするミーラ・ヴァスケス捜査官は、著名な犯罪学者ガヴィラとともに特別捜査班に加わる。だが、懸命の捜査にもかかわらず少女たちの無残な遺体が次々と発見されるーフランス国鉄ミステリ大賞、バンカレッラ賞など多数の賞に輝く傑作サイコ・サスペンス。
出張先のホテルで予約に手違いがあり困っていたルースは、ホテルの経営者で大学時代の同級生、ベンと偶然再会した。ルームメイトの恋人だった彼の変わらぬ姿に、ルースは胸騒ぎを覚えた。8年前、ルームメイトに連れられ、ベンの誕生パーティに出席したが、ホテル王の子息である彼を取り囲む人々はみな派手好きで、居場所のないルースは独り図書室へ逃げこんでやり過ごそうとしていた。そこへベンが現れ、パーティが苦手な彼女に同調したかと思いきや、突然唇を奪ったのだ。お堅くてつまらない私に、なぜキスなんて?しかも彼は友達の恋人…。粋酔なルースは驚きと怖さで逃げ出したのだ。それっきりだったベンと、今夜、彼の豪華ホテルで同室になるとは!