著者 : 夢枕獏
十二世紀末。鎌倉に追われる九郎坊と大和坊は、奥州の山中で妖麗な女が独居する藁屋に一夜の宿を請う。黒蜜と名乗る女は奥の間を覗かぬことを条件に逗留を許す。十九世紀、奥州山中の荒屋に宿を請うた男は、生首となって生きる九郎坊を奥の間に見る。さらに時代は流れ…九郎坊は高層ビルから廃墟と化した都市を見下ろしていた。永遠の命を生きる異形の者の、時空を超えて展開する愛憎と闘い。
平安京の暗闇に蠢く魑魅魍魎に、若き陰陽師・安倍晴明と朋友の源博雅が敢然と立ち向かう大好評シリーズ第四弾。今回は、晴明が好敵手でもある蘆屋道満と、帝の招きにより宮中で方術比べをすることになった一件を描く「晴明、道満と覆物の中身を占うこと」や、これまた道満が絡む「泰山府君祭」他五篇。
花巻の明光寺に居候していた竹智完のもとに、朱雀会の追っ手として久我重明があらわれた。同日、羽柴彦六もまた竹智を訪ねようとしていた…。闘いの行方は!?半年ほど後。鳴海塾で鍛錬を続ける芥菊千代、フジプロレスに入門した室戸武志、武林館で技を磨く加倉文平、久我重明に弟子入りした志村礼二、そして竹智完。若き獅子たちが一堂に集う武林館トーナメントが開催を迎える!超絶格闘ロマン、待望の第四弾!長編スーパー・バイオレンス小説。
丑の刻、貴船神社に夜毎現われる白装束の女が鬼となって、自分を捨てた男を取り殺そうとする。そんな男の窮地を救うため、安倍晴明と源博雅が目にしたものは!?女の悲しい性を描いた「鉄輪」他、全七篇。百鬼夜行の平安時代。魍魎たちに立ち向かう若き晴明と博雅の胸のすく活躍、魅惑の伝奇ロマンシリーズ第三弾。
羽生丈二。単独登頂家。死なせたパートナーへの罪障感に悩む男。伝説の男が前人未到のエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑む。なぜ人は山に登るのか? 永遠の問に応える畢生の大作!(解説・北上次郎)
「童子のあやかしが出没し、悪さを働いているようだな、博雅」「よし。では、ゆくか晴明よ」。われらが都を魔物から守れ。百鬼が群れる平安京の闇の果て、幻術、風水術、占星術を駆使し、難敵に立ち向う希代の陰陽師・安倍晴明、笛の名手・源博雅。名コンビの活躍、すがすがしくて、いと、おかし。
あらゆるものを螺旋として捉え、それを集め求める螺旋蒐集家は、新宿のとあるビルに、現実には存在しない螺旋階段を幻視した。肺を病む岩手の詩人は、北上高地の斜面に、彼にしか見えない巨大なオウム貝の幻を見た。それぞれの螺旋にひきこまれたふたりは、混沌の中でおのれの修羅と対峙する…ベストセラー作家、夢枕獏が仏教の宇宙観をもとに進化と宇宙の謎を解き明かした空前絶後の物語。第10回日本SF大賞受賞作。
人は、幸福せになれるのですか。野に咲く花は幸福せであろうか。-螺旋蒐集家と岩手の詩人、ふたつの孤独な魂から成る人間、アシュヴィンは、いくつもの問を胸に、果てしなく高い山を登りつづけていた。長い修羅の旅を経て、彼がその答にたどりついたとき、世界を驚嘆させるなにかが起きる…進化とは。宇宙とは。人間とは。究極の問に対する答を破天荒な構成と筆致で描きあげた、これは、天についての物語である。
黄金の勃起仏と一枚の地図ー。アフリカ奥地の一大黄金郷に通じる二つの“鍵”。しかし、黄金仏を持ち帰った探険隊のメンバーは、アフリカの呪術師の怪異な術で次々と消されてしまう。事件に巻きこまれた地虫平八郎は、必殺の拳法で呪術師に立ち向かう。地虫は渋谷区最強から史上最強への道を歩み始める。
五人の日本人が、アフリカ奥地ナラザニアを探検して莫大な秘密を密かに持ち帰った。しかし、彼らはブードゥーの呪術で次々に殺されていった。所持していた黄金仏と一枚の地図は果して何を意味するのか?呪術師と死闘を繰り返し事件の核心に肉迫した地虫平八郎に魔手が迫る。伝奇スーパーアクション第二弾。
欲望と人混みの街・新宿ー。アフリカ人の戦士が現れ、いきなり槍で中年男を刺し殺す。通りかかった都内最強の男・地虫平八郎の腕の中で息絶えた男は奇妙な黄金の勃起仏と地図を持っていた。さらに地虫の前にブードゥーの呪術師が立ちふさがる。地虫は拳法で銀髪の呪術師を迎え撃つ。黄金宮シリーズ第1弾。
蛇魔像を追って、アゴン一行はヒマラヤ山中にいた。だが、逃走するアガシャたちの策略と罠は熾烈を極めた。幻力使い夢龍が引き起こした雪崩によって、シッダールタ(後の仏陀)はザラ国跳人兵士の手に落ち、難を逃れたアゴンたちには、再び夢龍の待ち伏せが…。一方、アガシャによって35年ぶりに蛇魔像が戻ったザラ国は、混乱と緊張の度合を深めていた。国の支配権を握る三巴の暗闘が続いていたのである。果たして35年前に、蛇魔像を巡り何があったのか?話題騒然の〈巻の壱〉に続いて放つ人気巨編の第2弾!
古代インド。神々が住むという雪山へ旅立った若き王子・アーモンと従者・ヴァシタは、雨宿りに立寄った石小屋で、士族とおぼしき四人組の男たちに出会う。突然、何者かに追われて駆けこんできた男から、連中はラ・ホーの情報を得ようとやっきになっていた。永遠の腐老樹を手にするため、その国に潜りこもうと企んでいるようなのだ。そこから無事に戻った者は、かつていなかった。長篇怪奇冒険譚。
一本多い手の話、手に映ったサムライの顔の話、何度も雪に埋めた死体の話、手で歩いてきた女の子の話、逆さ悟空、暗い優しいあな、せつなくん、異形戦士、輪廻譚、ヒトニタケ、ふりんのみち…等々、奇才夢枕獏の最初にして最後の怪異に満ちた掌編小説集。読み始めたら、一人でトイレに行かれなくなる。
一体の金の勃起仏と一枚の地図-それは、アフリカの奥地の一大黄金郷に通じる“鍵”だった!しかし、黄金仏を持ち帰った探検隊のメンバーは、追いかけて来た呪術師の怪異な術で次々と消されていく…。事件に巻きこまれた街の男・地虫平八郎が得意の拳法と度胸で巨大な謎と呪者に立ち向かう現代伝奇長編。