制作・出演 : 山下和仁
伝統を誇るレーベルが擁する歴史的名演から最新の話題盤まで、名曲名演を厳選した“RCAレッド・シール★ザ・ベスト”の1枚。完璧な編曲と大胆な演奏でギターに新たな地平を開拓。今聴いてもその表現意欲に圧倒される。
21世紀に入ってからも、きわめて質の高いアルバムを出している山下の久しぶりの録音。どんな小品といえども、作品の持つ美しさと魅力を徹底的に引き出す山下の演奏は、多くの音楽ファンを魅了するだろう。
理論的には分かっていても、ヴァイオリン一本でバッハの意図した響きを感じさせる演奏に出会う確率は少ない。しかしギターだとそれが実に明快に聴き取れる。もちろん山下の技術・耳・音楽性あってのことだが。傾聴を誘う落ち着いた表現だ。
色彩感あふれるオーケストレーションで知られる「シェエラザード」を、山下和仁&尚子兄妹がドラマティックかつ情熱的に再現した85年のライヴ録音が復活。彼らの繊細にして絢爛な演奏に、ギター2本でこれほど多彩な表現が可能なのかと驚嘆させられる。★
実は存在を失念していた録音であり、CD再発の有難味を実感した。レパートリーとしても貴重なテデスコの協奏曲集であり、演奏も堅実・美麗。山下兄妹のソロとスラットキン指揮LPOの丁寧なバックアップが見事にバランスしていて、録音もきれいだ。
ゴールウェイと山下のデュオが最高。何という豊穣さだろう。比較的地味な曲なのに、そんなことをまったく感じさせない音色の魅力。フルートを引き立て、しかもギターの存在感を主張する山下の力量。ヴァイオリンとのデュオも華やかで聴き映えがする。
山下70年代の快演。一発勝負録音のゆえか時代のゆえか、作品の均整の枠を突き抜け、ギターの響きにナマな情動がのってグイと迫ってくる。なかでもソルは、脇目も振らぬ熱さとスピード感が懐かしいほどのかっこよさ。ブリテンでの音色に対する耳の働きも鋭敏だ。
弱冠18歳の山下和仁が、セカンド・アルバムとして録音した二つの名協奏曲の初CD化。どちらも後年に再録音しているが、この初々しく溌剌とした演奏の魅力は格別だ。日本を代表する天才ギタリストのデビュー当時の活躍ぶりを伝えてくれる貴重な一枚である。
山下和仁は我が国が生んだ世界の逸材である。驚異的テクニックでオーケストラ曲の編曲をギター1本で弾き、大向こうを唸らせたりもするが、これはギタリストの心を綴った珠玉の小品集。ビニャスの「独創的幻想曲」など、静かに爪弾く山下の繊細な表現が心に染み渡る。
藤家のギター作品集の第2弾。調性的に書けばギターの鳴りは良い。藤家はその旨みを心得ている。ドイツ・ロマン派の詩人ノヴァーリスの「青い花」に題材を得て、曲調はロマン派のギター曲を思わせる陰影と優美さをたたえる。山下の独壇場である。
ゴールウェイの還暦を祝って発売された60曲のマスターピースが、国内盤として登場。第4巻は唯一の1枚もので、タイトルから想像できるとおり、軽快な作品が並ぶが「しぼめる花」での弾むようなパッセージ、山下和仁との絶妙な音楽的対話と、聴きどころ多し。★
ヴィルトゥオーゾ・ギタリストとして知られる山下の最新盤である。確かに山下にしかできない多声部の絶妙な音色の弾き分けや響かせ方など飽くことがなく聴き入らせる。しかしそれ以上にバッハ音楽の持つ深遠さや普遍的で人間的な温もりがヒシヒシと伝わってくる演奏だ。★
今回も初録音など広く紹介されるのは初めてという作曲家や作品など、資料として一級の価値を持っている。同時に、聴いて面白いアルバムになっている。さすがは山下である。誤解を恐れずに言えば、演奏によって各作品はぐんと面白さが増したと言っていい。★