制作・出演 : チャイコフスキー
解説を読むと楽団員や裏方が録音資金を調達したらしい。広上にとってはありがたいことだ。ライヴとはいえ、いたずらに汗を飛び散らせるのではなく、あくまで楽団員の自主性を尊重しつつ、ていねいにバランスよく響くように心を砕いた演奏である。
発売元
キングレコード株式会社「木管と弦がきれいに踊らなきゃ!」と言いたいかのように日フィルが好演。大げさな表現はどこにもないのに、音楽が生き生きして細やかな表情がとてもチャーミングなのだ。さすが劇場で鍛えた西本智実の棒さばき。愉しくて全曲をいっきに聴いてしまった。
ヤンセンは若くて表現欲いっぱいのソリスト。硬軟自在に歌いまくり、大人っぽい色気もたっぷりである。伴奏のハーディングも単なる伴奏の域を超えて立体的で切り込みの鋭い表現を連発。独奏ともども非常に聴きごたえがある。新定番の登場である。
白戸家とは、上戸彩が出ているSoftBankの携帯電話のコマーシャルで、白犬のお父さんがいる一家のことである。そこで流れるクラシックの楽曲を集めたのが、このアルバムである。が、中身はまっとうなものである。お父さんが特に演奏に参加しているわけではない。
ベルリン・ドイツ響とは2枚目のアルバム。ゆったりとしたテンポ、メリハリとダイナミズム、そしてぬめらないロマンティシズムと、非常に引き締まってバランスがとれた演奏だ。音色の移ろいも繊細で、オーケストラの上手さも光っている。これはいい演奏だ。★
潮田益子は66年の第3回チャイコフスキー・コンクールでカガンとともに第2位に入賞した、いわば国際的なヴァイオリニストの先駆的存在。本盤はコンクールで弾いたものと同じ演目の録音(68年)。テクはともかく表現欲の強さには目を見張らせるものがある。
アシュケナージが、イギリスの名門ロイヤル・フィルを率い、約26年ぶりに母国に里帰りしたときの感動のライヴの模様。ピアニストにソ連の俊英ガヴリーロフを起用し、渾身の演奏を繰り広げている。
朝比奈にとってこの曲は、不思議な巡り合わせを持っている。指揮デビューの時と最後の演奏会とで取り上げている。そして関西響と大フィルの定期演奏会で最も多く取り上げた曲が、この第5番だ。まるでドイツ音楽を聴いているようだ。感傷を排して、実に堂々としている。