出版社 : 実業之日本社
漢武威流闘術を身につけ、九寸五分の鎧通しを武器に死客人稼業を続ける“夜霧のお藍”こと藍三郎は、もともと旅芝居一座の名女形だった。その眉目秀麗な彼が、暗黒街に生きているのには理由があった。幼い頃両親を惨殺した悪党を追い続けているのだ。藍三郎はつぶやく。「親父とお袋の仇敵が討てたら…、あとは、生きてる気もないんだ」-と。世間の悪党を闇から闇に葬る殺し屋“お藍”の阿修羅道を描く。
女性に、友人に、優しくすればするほど抜きさしならない深みにはまりこんでゆく。しかしどうすることもできない…。男と女の心のジレンマを、名手がユーモラスな筆致で描き出す傑作長編小説。
郊外のニュータウンの新築の家、その一階と二階に住む二組の若い夫婦の間にくりひろげられるささやかなドラマが、しだいに悲劇の種をはらんでいく…。気鋭の書き下ろしホーム・サスペンス。
急降下から一転して、機体は上昇を始めた。「ラン」の細身のボディが捩れ、主翼やコクピット周りのフレームが軋んだ。暗視モニターに、チラリと相手機体の下面が映った。最新鋭の「スーパースター」だ。藤原は「スーパースター」の逃げるコースを予測して、上昇から水平に、そして右旋回と「ラン」の機体を思うがままに操った。ローリング・シザースで振り切ろうとする「スーパースター」を冷静に追いつめて行く。藤原はトリガーを引いた。青白い曳光弾が空間に弧を描く…。
電器店店員、引越しヘルパー、証券マンなど、都会で生活する仕事のプロ9人にしかけられた悪意の罠。それは、きっとあなたの傍にも-。気鋭作家のブラック・ミステリー集。
タロット日美子が逗留している建築家の屋敷で、次々と事件が起こる。その第一は、夜中にその家の娘が誘拐されたことだった。しかし奇妙なことに、誰も警察に届け出ようとしない。そしてついに恐るべき殺人事件が発生する。事件の謎に日美子が迫っていくが…。
馬主の青年、彼の家族や恋人、そして調教師、騎手…。頂点を目指しターフを駆ける若きサラブレッドに夢を託す人々の熱い生きざま、鮮烈な恋愛模様を綴る新鋭渾身の書き下ろし競馬ロマン。
山深い過疎の村に、時空を超えて現れた少年と犬。それが騒動の発端だった。山の自然を破壊し村を水没させるダムの建設をめぐって、奇妙な殺人事件が続く。村に住む老人、東京からやってきた若い新聞記者、二人を結ぶ運命の時間流とは-。SFタッチで描くニュー・サスペンス。
早春の小田原城祉公園で美女の刺殺体が発見された。遺留品を手がかりにたどり着いた岩手県の久慈で女の身元を掴んだルポライター浦上伸介の元に、女の母親が同一手口で殺害されたとの報せが入る。しかし、近親者の証言から浮かんだ二つの殺人の容疑者には、強固なアリバイが…。
地主の家に不幸が続き、被葬者の崇りを恐れて発掘が中断されている古墳がある。考古学者のトオルは、新たな発掘許可を得るため地主の古森家を訪ねた。失踪中の当主の妻静花は、許可すべきか悩む。なぜなら、十年前に自分の手で殺した夫と息子の死体を古墳の中に隠しているからで…。
捕縛された隠れ切支丹が囁いた“ガラシア・オラショ”とは何を意味するのか。天童・天草四郎との関係は?細川藩が放った男女の密偵が切支丹一揆の真っ只中に潜入するが…。島原の乱を斬新な発想で描く、書下し長編時代小説。