ジャンル : ミステリー・サスペンス
推理小説界の巨匠・江戸川乱歩が、戦後、昭和30年に書き下ろしで発表した野心的大作「十字路」。伊勢商事社長の伊勢省吾は、日輪教の狂信的信者である妻・友子を嫌い、若い女秘書・沖晴美と恋愛関係にあった。晴美のアパートのへやに押しかけてきた友子を省吾は絞殺した。友子の死体をどこへ運ぶか。晴美とドライブした藤瀬ダムの古井戸が省吾の頭にひらめいた。キャディラックのトランクに死体を隠し、藤瀬へ向かう省吾は、新宿ガード下の十字路で突発事故に遭う。そのすきに車内にもう一体の男の死体が出現していた。次々に発生する奇怪な事件のナゾは?
九州の西岸にあるS市の旧家大牟田家のあるじ、子爵の敏清は、当時18歳の美女瑠璃子を妻とし、親友川村義雄と三人でしあわせな日をおくっていた。しかし、川村と瑠璃子の邪恋の犠牲となり、敏清は地獄岩から落とされた。しかし敏清は墓所の穴蔵に入れられた棺の中で息をふき返したのであった。暗黒の世界にとじこめられた恐怖は、敏清の黒髪をしらがに変えてしまった…。姦夫姦婦のために家庭を奪われ、財産を奪われた男の戦慄すべき復讐の物語!
二〇世紀前半にロンドンの大銀行の貸し金庫に預けられた謎の回想録。執筆者はセバスチャン・モラン大佐ーージョワキ戦役の英雄で賭博狂の大物ハンター、そして犯罪王モリアーティの右腕として活躍した男だった。犯罪商会の首魁として様々な悪事のコンサルティングをこなすジェイムズ・モリアーティが相対してきた個性豊かな犯罪者たちと怪事件を、大胆な発想と魅力的なキャラクターをもって描く。〈ドラキュラ紀元〉クロニクルで熱狂的支持を受ける博覧強記の著者による最高のホームズ・パスティーシュ!
怪人物モリアーティとモラン大佐、犯罪商会の面々の暗躍は留まるところを知らない。ある日モリアーティは、ネパールの偶像から抉り出された呪いの宝玉にまつわる謀略のため、あと五つ、曰くつきの宝物を四十八時間以内に揃えるという 難題をモランに課す。ロンドンが秘密結社の血で血を洗う大抗争の舞台となる「六つの呪い」、長男のジェイムズ教授、次男のジェイムズ大佐、そして三男のジェイムズ駅長が田舎駅に現れた巨大なワームの謎に各々の陰謀を巡らせる「ギリシャ蛟竜」、そして“あの名探偵”とのライヘンバッハの滝における死闘の真相を明かす「最後の冒険の事件」を収める。
〈黒後家蜘蛛の会〉での謎解きの宵は、名給仕にして名探偵であるヘンリーのもてなしさながら、読む者に心地よいひと時をもたらす。著者自身が誰よりも楽しんで書いた連作ミステリは、ほかでは得がたい魅力に満ちている。第5巻には、万単位の蔵書から愛書家が遺贈した一冊の本の書名を当てる「三重の悪魔」、アシモフの実体験をそのまま作品化した「待てど暮らせど」、いっぷう変わった密室の謎に挑戦した「秘伝」など全12編を収録。
名匠・連城三紀彦が紡いだ数多の短編群から選り抜いた傑作集第二巻。直木賞受賞以降、著者の小説的技巧と人間への眼差しにはより深みが加わり、ミステリと恋愛小説に新生面を切り開く。文庫初収録作品を含む本巻では、著者の到達点と呼ぶべき比類なき連作『落日の門』全編を中心に、円熟を極めた名品十六編を収める。著者の全貌が把握できるとともに新たな視座を提示する全二巻。
ジャクリーンとジリアンは双子の姉妹。ジャクリーンは母親の希望どおりの可愛い少女に、ジリアンは父親の期待を背負い活発な少女に育った。だが実のところ、二人とも両親から押しつけられた役割にうんざりしていた。そんなある日、双子は空き部屋のトランクの中に階段を発見する。冒険心に突き動かされて階段を下ったふたりが見たのは、赤い月に照らされた荒野が広がる、奇怪な世界だった。ヒューゴー賞などの三賞受賞シリーズ第二弾。
早朝にひっそり営業するスープ屋「しずく」。シェフ・麻野がこしらえるスープにかかれば、お客の心と不思議な謎があっという間にとかされる。女の子の母親に幽霊が乗り移った?ジビエにまつわる記憶が抜け落ちたのはなぜ?亡き大叔父が家に隠したお宝はどこ?そして変化を迫られる理恵の進路は?絶品スープに浮かび上がる滋味豊かな人間模様。お腹と心を温めて、元気を注いでくれる全5皿。
伝統とモダンが、新たな市民文化を花開かせる帝都。ドイツ人の母を持つ華族の青年・千崎理人は、職を得ようと訪れたサロンで、謎の美少年と出逢う。少年は、理人の望みー職と住まいを用意する代わりに、グリム童話に擬えた『名前当て』の賭けを持ち掛け…。さらに「自分が事件を解決するから、『探偵』として表に立ってほしい」と頼むのだった。華やかな昭和の初めを舞台に、理人は「少年助手を従えた美貌の探偵」として、様々な事件に巻き込まれていく。第6回ネット小説大賞グランプリ受賞作。
慶応三年、新政府と旧幕府の対立に揺れる幕末の京都で、若き尾張藩士・鹿野師光は一人の男と邂逅する。名は江藤新平ーー後に初代司法卿となり、近代日本の司法制度の礎を築く人物である。二人の前には、時代の転換点ゆえに起きる事件が次々に待ち受ける。維新志士の怪死、密室状況で発見される刺殺体、処刑直前に毒殺された囚人ーー動乱期の陰で生まれた不可解な謎から論理の糸が手繰り寄せる、名もなき人々の悲哀を活写した五つの物語。破格の評価をもって迎えられた第十二回ミステリーズ!新人賞受賞作「監獄舎の殺人」に連なる時代本格推理、堂々登場。
この結社の会員となるための絶対的な条件は、生計を立てる商売が「まったく新しい商売」であることだ。既存の商売の単なる応用や変種は認めず、かつ純然たる商業的収入源である必要があるーー突発的狂気に陥ったとみなされ、隠棲生活を送る元判事バジル・グラントが解き明かす六つの類まれなる謎。チェスタトンがブラウン神父シリーズに先駆けて発表した傑作短編集を新訳で贈る。
アルプス山麓の大学町で発見された惨殺死体。解決にパリ警察から派遣された敏腕だが荒技で知られる刑事。別の町で起きた謎の墓荒らしと小学校の盗難事件を調べる孤児院出身の若き刑事。この二人の捜査の道が一つになったときに、驚愕の真実が明らかになる。〈我らは緋色の川(クリムゾン・リバー)を制す〉というメッセージが意味するものは? 仏ミステリを大きく変え、今や同ミステリ界の帝王ともいえる存在グランジェの傑作を新版で。グランジェはやはり面白い!
9.11テロで妹を失ったことをきっかけにして、空港保安警備の道に進んだケネディ。卓越したコンサルタントとして、世界各地を年中飛び回る多忙な彼だが、ある日CIAから対テロ対策チームへの誘いがかかる。米国の存在をも揺るがす史上最悪のテロが目前に迫っている事実に気づいた彼は、軍事兵器のスペシャリストや特殊部隊員など、海千山千のメンバーを率いてその謀略を阻止できるのか? 面白さ無類のエンターテインメント登場!
江戸は中期。浅草川に浮かぶ島、日本橋の箱崎。ここは海水と淡水が入りまじり、先にある中州で水の流れが三つに分かれるので、別名『別れの淵』ともいう。川辺の小さな船宿を切り盛りする女将は、情に厚く面倒見の良いお涼だ。彼女の人柄からか、はたまた色々なモノが流れ集まる土地柄なのか、若狭屋にはちょっとさみしい魂がふらりとやって来る。それは人間もあやかしも隔てなくーー。狐憑きと呼ばれる花魁や川に消えた子供、息子を捜す山姥……。あちらとこちらの世界をつなぐ不思議な船宿で女将が出会う、愛おしくてあたたかい、八つのあやかし話。
星のふる晩、青年刑事ショーンは川に身を投げようとしている娘を救った。事情を尋ねると、彼女は悲嘆にくれた理由を語る。正確きわまりない予言をしてきた謎の人物に、信じがたい状況で父親が死ぬと宣告されたというのだ。実業家の父親を狙った犯罪を疑うショーンの要請で、警察は予言者の捜査を始める。予言に翻弄される人々を映し出す巧みな心理描写と、途切れることのない圧倒的な緊迫感。サスペンスの巨匠の真骨頂を示す不朽の名作!
実験的にはじめた稀覯本のオンラインショップや、新設したコーヒー・バーなどが順調で、それなりに繁盛しているニューヨークの書店。オーナーのダーラは、書き入れどきの感謝祭を目の前にして張り切っていた。一方で、書店のマスコットの黒猫ハムレットは、相変わらず気ままに昼寝をしたり、シャーシャーと威嚇したり。そんな充実した日々を送っていたが、近所でとんでもない事件が発生して……。大人気の黒猫名探偵シリーズ完結編!