2024年5月発売
「長州五傑」のメンバーとして明治政府草創期の中枢を担った「工学の父」山尾庸三と「初代総理大臣」伊藤博文。ふたりには墓場まで持っていくと誓った秘密があったー。高杉晋作の指揮のもと、英国公使館を焼き討ちし、尊攘の機運高まる長州藩。一味に加わった山尾庸三は、書生部屋で同室の伊藤俊輔とともに、孝明天皇の退位を説く幕府の御用学者・塙次郎を暗殺する。だが断末魔の形相が夜ごとよみがえり、気鬱に陥る山尾。最高幹部の桂小五郎の後押しで、のちに「長州五傑」と呼ばれる五人のひとりとしてイギリスへ藩費留学することに。その中には相棒の伊藤もいた。山尾の任務は『工業立国』の基盤を学ぶこと。だが彼の裡には、己が殺めた塙次郎の遺志である障害者政策があったー。
昆虫好きの優しい青年は、 人の心の痛みに寄り添う名探偵 日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を受賞した 『蝉かえる』に続く、〈魞沢泉〉シリーズ最新作! 昆虫好きの心優しい青年・エリ沢泉(えりさわせん。「エリ」は「魚」偏に「入」)。行く先々で事件に遭遇する彼は、謎を解き明かすとともに、事件関係者の心の痛みに寄り添うのだった……。ハンターたちが狩りをしていた山で起きた、銃撃事件の謎を探る「白が揺れた」。花屋の店主との会話から、一年前に季節外れのポインセチアを欲しがった少女の真意を読み解く「赤の追憶」。ピアニストの遺品から、一枚だけ消えた楽譜の行方を推理する「青い音」など全六編。日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞を受賞した『蝉(せみ)かえる』に続く、〈エリ沢泉〉シリーズ最新作! 著者あとがき=櫻田智也 ■目次 「白が揺れた」 「赤の追憶」 「黒いレプリカ」 「青い音」 「黄色い山」 「緑の再会」
偽りの婚約指輪に、偽りの誓いのキス。 でも、私が欲しいのは真実の愛。 ボスはこのダイヤの婚約指輪を誰に贈るのかしら? 指輪を戯れにはめてみた秘書マレカの胸中は複雑だった。 ボスである大富豪カエタノに頼まれて指輪の選定に来たものの、 彼への密かな憧れは隠せない。そのとき、高級宝石店の店内に 突然火災報知器が鳴り響いた。指輪をはめたままのマレカは、 店に飛びこんできたカエタノに抱きかかえられて救出された。 だが、この写真と共に彼女が婚約者だと誤って報道されてしまう。 呆然とするマレカに、彼は百万ドルの契約結婚をもちかけた。 結婚初夜の一夜限りの関係──偽りの夫婦だったはずが……。 大スター作家シャロン・ケンドリックを思わせる、ボスと秘書の切ないロマンスをスター作家マヤ・ブレイクが描きます。思いがけずヒーローの子を身ごもったヒロイン。ビジネスのための結婚だとわかっていても、やがて虚しさに耐えきれなくなって……。
家庭教師が眼鏡と野暮ったい服に隠す秘密。 それは切なる想いと、おなかで育つ命。 素行の悪い令嬢を更生させるロンドンの私立学校の校長を辞める日、 ベアトリスはイタリア富豪チェーザレに異父妹の家庭教師を頼まれた。 トスカーナの大邸宅へやってきた彼女は、雇い主を見て愕然とした。 私がヴェネツィアで純潔を捧げた人が目の前にいる。 恋いこがれた名も知らぬ男性が、実はチェーザレだったなんて。 だが彼の前まで行ったとき、再会の喜びは吹き飛んだ。 この人は私が誰なのか、まったくわかっていない。 野暮ったい格好のベアトリスを一瞥し、富豪は近々結婚すると告げた。 もちろん、花嫁は彼女ではなかった。彼の子を身ごもっていても。 私は王子さまに選ばれなかったシンデレラ。この胸の想いにも、赤ちゃんにも決して気づいてはもらえない……。大スター作家D・コリンズ同様、卓越したストーリーテリングで読者を楽しませるスター作家C・クルーズ。ハーレクインファン納得の大傑作です!
傲慢で不埒なスペインの伯爵。 でもなぜかその瞳は寂しげで……。 スペインのリゾート地で、キャロラインは父親の豹変を 目の当たりにして凍りついた。まるで取り憑かれたように 賭博に夢中になり、土地や屋敷まで注ぎ込もうとしているのだ。 するとそこへ、思いがけない男性が姿を現した。 7年前、結婚を約束しながら心を踏みにじった大富豪ルイス── 彼はキャロラインの父親に莫大な賭け金の大勝負を申し出る。 お願い、やめて! 懇願するキャロラインをルイスは嘲った。 「ベッドを共にするなら勝負から手を引いてもいい」 さらに、僕の妻になれば父親の借金を棒引きにすると請け合った。 私は受け入れるしかないの? 屈辱の花嫁になる運命を。 大スター作家リン・グレアムの強い影響を感じさせる、スター作家ミシェル・リードのクラシカルな王道ロマンスをお楽しみください。ヒーローとの結婚式直前、彼の父が遺した日記を盗み読んだヒロインは、ヒーローの出生の秘密と真の姿を知ることになり……。
ずっと壁の花だった私が、姉の身代わりで 憧れの彼と結婚ーー!? 結婚式当日、花嫁になるはずのリアの姉が失踪した── 黒髪に黒い瞳のたくましい花婿アイアスは、 リアの幼い頃からの憧れの人。父に目をかけられた彼は、 姉と結婚後、父の会社を引き継ぐはずだった。でないと、 すぐさま会社が他人の手に渡ってしまう事情があるから……。 でも今、私に何ができるというの? 美人で華やかな姉の陰で いつも地味に生きてきた、太めで冴えない私に。 父の会社を守る方法があるとすれば……。 「アイアス、私があなたと結婚するわ」 それはリアにとって、人生で初めての大胆な決意だった。 ドキドキするドラマティックな作風で読者を虜にするメイシー・イエーツ。別名義ミリー・アダムズではハーレクイン・ロマンスのみならずハーレクイン・ヒストリカル・スペシャルでも活躍! 今作は大人気テーマの“身代わり花嫁”をお楽しみください。
「コナーはどこ?コナーにー夫に会わせて」事故に遭い療養中のアリッサがそう頼むと、家族は驚きを露わにした。妻が最愛の夫に会いたいと願うことの何が問題なの?問題は、彼女はもうコナーの妻ではないことだった。7年前、アリッサが憧れのNYでの仕事に就いたとき、一緒に移住する約束をコナーが破り、一方的に離婚届を送ってきた。手ひどく捨てられた当時、深く傷ついたアリッサだったが、事故で頭を打った拍子に、離婚したことを忘れてしまったのだ!家族からコナーとは別れたと聞かされても、どうしても思い出せない。そこで、アリッサは彼の家へ向かったーまだ相思相愛だと信じて。
あなたが変わってしまったから、 小さな命のことは、言えなかった……。 大富豪マックスとケイトは、誰もが羨む理想の夫婦だった。 しかし、尊大で高圧的な父親との不和に悩むマックスが しだいに人が変わったようになり、ケイトは耐えきれず家を出た。 まだ彼に知らせていないお腹の子のために、できるだけ遠くへ。 時が過ぎ、ケイトは入院中の家族を見舞いに訪れた病院で偶然、 マックスと8年ぶりの再会をはたす。 怒られるのではないかとケイトは恐れおののくが、 彼は初めて恋した頃の、穏やかな自信あふれる男性に戻っていた。 でもマックスの魅力に屈してはだめ。だってわたしには秘密が……。 そのときエレベーターの扉が開き、7歳になる娘が走り寄ってきた! 駆け寄ってきた小さな女の子のブルーの瞳を見て、マックスはすぐに自分の子と気づきます。ケイトが隠していたことに怒りをおぼえますが……。夫婦の復活愛とシークレットベビーがテーマの秀逸作。
私を冷たく見捨てた公爵に、 この子を奪われたくないーー ルイーズは祖父母の遺灰を埋葬するため、シチリアを訪れた。 10年前、18歳だった彼女はこの地で忘れえぬ過ちをおかしたーー 1400年続く公爵家の若き当主、シーザー・ファルコナリと。 二人は愛し合っていると信じ、ルイーズは彼に純潔を捧げたが、 翌朝、当主を誘惑したと周囲から断罪され、村を追われたのだった。 彼からの連絡はなく、だからルイーズもその後のことは伝えていない。 もう二度と会うことはないと思っていたのに、まさか、 遺灰の埋葬に彼の許可をもらわないといけないなんて……。 10年ぶりに会うシーザーは、鋭いまなざしと言葉で彼女を凍りつかせた! 「ぼくたちの息子も、連れてきているのか?」 《特選ペニー・ジョーダン》より、ドラマティックなシークレットベビー物語をお贈りします。作者が生涯最後に描いた本作は、ロマンス小説家として駆け抜けた30余年の集大成とも言える傑作です。
顔を知らずとも心はつながっている。 愛を綴り合う二人は、いずこへ向かう……。 若きセリーナは亡くなった夫に莫大な借金を背負わされ、困窮していた。 債権者の男から、借金を返済するか、さもなくば体で払えと迫られ、 家財を売ってなんとか返すので月末まで待ってほしいと願い出る。 男がひとまず帰ると、今度はグレンムーア公爵アレックスが弔問に訪れた。 この公爵こそ、亡き夫から賭けで全財産を巻き上げた張本人。 気品にあふれ、誇り高く、見目麗しい魔王ルシファーそのものだけれど、 絶対に心を奪われてはいけない! セリーナは公爵を追い返した。 気丈に振る舞いつつも本当は心細さを感じていた彼女のもとに、ある日、 見知らぬ紳士“ミスター・アボット”から支援の申し出の手紙が届く。 文通を続けるうち、セリーナはいつしか彼を恋い慕うようになっていた。 愛しのミスター・アボットが、あの憎むべき公爵であるとも知らず。 大ヒット作『疎遠の妻、もしくは秘密の愛人』の作者クリスティン・メリルによるシンデレラ・リージェンシーの傑作! 顔も知らない支援者ミスター・アボットに恋しながらも、セリーナはひょんなことから公爵アレックスと偽りの結婚をしなくてはならなくなり……。
憧れの彼との間に生まれた、 あの小さな命はいま……。 生きて故郷へ帰ってきた勇猛な騎士サイモンの姿に、 二十歳のリネットの胸はいっぱいになった。 4年前のあの夜、わたしは暗闇のなかで彼に純潔を捧げ、 そして……わたしのおなかに新たな命が芽生えた。 一方サイモンもまた、あの夜のことを思い返していた。 酔いつぶれた出征前夜に、夢うつつでかき抱いた薔薇の香りの乙女。 かぐわしい乙女はいまもここで暮らしているのだろうか? もちろんサイモンはまだ知る由もなかったーー 彼が父の愛人と思って軽蔑する女性こそが、 夢にまで見た、あの薔薇の香りの乙女だということを! HQヒストリカルのトップ中のトップとして活躍した作家スザーン・バークレーは、短い作家人生で多くの名作を遺しました。本作は、そんな彼女が最後に書いた感動のシークレットベビー物語です!
ベスト作品コンテスト受賞作をふたたび! 何度読んでも泣ける、切ない愛の物語。 疎遠な双子の妹ナターリャの事故の知らせを受けたナターシャ。 病院に駆けつけると、妹は無事で、婚約者のチェイスが重傷を負っていた。 彼は富豪弁護士だが、体に障害が残る可能性を耳にしたナターリャは 指輪を外し、彼を見捨てて病院から出ていった。 一方、ナターシャは彼を放っておけず、そばで見守った。 「ナターシャ……」意識を取り戻したチェイスがつぶやいた。 ああ、妹はまた私の名を騙ったのね。昔から姉の名を気に入っていたから。 だがチェイスに妹と勘違いされても、ナターシャは否定できなかった。 いつしか彼に恋してしまった自分に気づいて。 間違いを正せぬまま、ナターシャは彼と結婚し、小さな命を宿したーー ファン投票により選ばれた“ベスト作品コンテスト”の受賞作が甦る企画。ご好評につき、《不朽のファン・セレクション》と題してお贈りします。本作は1998年上半期、日本デビュー作にして栄えあるベスト作品賞第2位に輝いた、感涙必至の秀作です!
Between 1330 and 1332 the Buddhist priest Kenkō, having, as he put it, "nothing better to do," turned to his inkstone and brushes. He jotted down his thoughts, observations, and opinions; anecdotes that he found interesting, amusing, or instructive; accounts of customs and ceremonies-everything that seemed to him worthy of preservation. Donald Keene's complete translation admirably presents this extraordinarily influential Japanese classic. 吉田兼好『徒然草』 ドナルド・キーンによる英訳版
双子の兄弟である恵介と良平は12歳の冬、児童養護施設で暮らすことになった。周囲と馴染めないままだったある雪の日、新しい入所者がやってくる。まるでアイドルのように見えた少女は泉美といった。自分たちには確かな絆があると信じ、決して恵まれたとはいえない日々を、三人で寄り添いながら過ごしていた。だが、恵介が養子として引き取られたことで、その絆に翳りが見えはじめ…。誰かの涙に胸を衝かれた記憶を呼び覚ます、センチメンタル巡恋官能小説!
出生の秘密を持つ孤児オリヴァー・トゥイストが、教区吏バンブルによる非人間的扱いや,売られた先の葬儀屋での先輩・同僚によるいじめ,またユダヤ人フェイギン率いる少年窃盗団に無理矢理取り込まれるなど,さまざまの困難に遭いつつも,純粋な心を失わず,やがては亡き父の親友にしてスリに被害者だったブラウンロー氏と幸せに暮らすこととなる,波乱万丈の成長譚。ディケンズの出世作にして,今日もなお映画や演劇に翻案されるなど最も親しまれている作品一つ。