2023年6月発売
戦争の時代をたくましく生きる!昭和19年、国民学校4年生の稔は父を亡くし、母・妹と福岡市から立石村へと疎開する。なれない田舎の生活と学校でのいじめに苦しむなか、やがて起こる大刀洗空襲。悲しみといじめをのりこえ、強く生きる稔の姿を描く。
[商品について] ー哲学×ミステリー×私小説ー 或る夏の日、春に医学部精神科を卒業して、病院で実際の診療に携わり始めたばかりの砧は、叔母の嫁ぎ先である蓮沼家の別荘に滞在するためにある高原の駅に降り立った。小高い丘の上にある英国チューダー王朝風の様式を模倣した白い瀟洒な館で幼馴染の従妹・美果との久しぶりの再会を楽しんだ砧は、美果の押しかけ婚約者で小説家志望の氷室に頼まれて、幼いころに美果が患った神経症の治療の詳細を知るために、彼女をを治療した砧の恩師・藤波教授に氷室を紹介することになる。それが悲劇の始まりになることも知らずにーー信仰、哲学、秘学、そして人間の業が交錯する人間の実存を問う物語。 [目次] 第一部 蓮沼家の降霊祭 第二部 蛭間神父の犯罪 [担当からのコメント] 本書は、おそらく読んだ人の数だけ読後感のある特異な性質をもった物語であるといえます。そして人とは異なる自分だけが持つその読後感は、きっとこの物語を読んだことの正しい答えとなるのだろうと思います。この読後感を味わいたい方は、ぜひご一読ください。 [著者略歴] 成澤 昭徳 昭和17年 生まれ 昭和38年 詩集≪処女≫思潮社刊 昭和45年 詩集≪神秘≫青土社刊 平成30年 小説『飛鳥(あすか)伝説』文芸社刊 令和2年 戯曲『背教者』文芸社刊 令和3年 小説『暗い館』22世紀アート社刊
私の職業は小説家である。ベストセラーとは無縁だが、一応、生活はできている。そして出版業界に長年関わっていると、様々な小説家に出会う。そして彼らは、奇人変人であることが多く、またトラブルに巻き込まれる者も多い。そして私は幸福な作家というものにも出会ったことがない──。 そんな「私」が告発する、世にも不思議な小説家の世界。
2022年のあいだに各媒体に発表された全短篇のうち12作品を厳選。コロナと戦争の不安下にある社会と人間の姿を凝視した作家の眼。 解説 金原ひとみ らっきょうとクロッカス 桜木 紫乃 キャンプ 井戸川 射子 二千回飲みに行ったあとに 津村 記久子 文士と夜警 筒井 康隆 砂漠の検問所 池澤 夏樹 パーミション 岡崎 祥久 ママと戦う 西 加奈子 私の労働 町屋 良平 霊たち 三国 美千子 スメラミシング 小川 哲 偶然の本質 辻原 登 家畜人ヤプ子 山田 詠美
片田舎の少年たちが、世界を相手に挑むゲリラ戦 武器は“知恵”と“友情”、報酬は“自由” SF小説の旗手による青春ハック小説 2024年、鹿児島。県立南郷高校に通うマモルは、男子寮の次期寮長に指名される。下級生の指導や揉め事の解決など、マモルの負う役割は大きいが、なかでも、学生VR全国大会出場に向けてチームをまとめるのか最重要ミッションの一つである。昨年敗れた先輩たちの雪辱を晴らすべく、準備を進めるマモルだったが、大会事務局の対応にある違和感を覚える。同じ頃、アマチュアVRの世界大会「ビヨンド」の存在を知り、自分たちの進むべき新たな道を見出していく。 吉川英治文学新人賞作家による、近未来青春小説
第169回芥川賞受賞。 選考会沸騰の大問題作! 「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」 井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。 両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだすーー。
1945年1月、終戦間近なオランダの夜間外出禁止の夜に鳴り響く6発の銃声。親ナチス警視殺害の報復で家族を失った少年が、戦後に知る衝撃の事実とは何か。暴力に屈する裁判所書記の父、警官のピストルを奪って逃走した兄、慈愛に満ちた母のぬくもり、警察署の独房で遭遇した女性の柔らかい声…戦後、医師として働くアントンのもとに、忌まわしい事実の波紋が押し寄せてくる。対独協力者の父とユダヤ人の母から生を享け、「わたしが第二次大戦だ」と発言した巨匠が、戦争や罪や運命について精緻に織りあげた静かなる傑作、ついに邦訳!!!アカデミー外国語映画賞受賞『追想のかなた』。
「ピカソ、ジョイスら芸術家の特徴が同時代の詩人に凝縮されている」とR・ヤーコブソンによって激賞されたポルトガルの生んだ代表的詩人ペソアの65篇の詩を編む。 現代人の「無力」をその根源まで見抜き、詩に定着させた作品。
社畜生活の末に過労死したカイ。前世での人助けを評価され、女神から「次はスローライフを約束する」と言われていたのに、手違いにより子供の姿で荒涼としたサバンナに転生してしまう。しかし木の精霊ドリアードの少女・リアと出会い、カイは自分が精霊としゃべれることに気付き…!? 「精霊さん、出てきてくださいっ」--カイが呼びかけると水の精霊、金の精霊、土の精霊…など、個性豊かな精霊たちが次々と仲間に! 彼女たちの力を借り、カイは辺境生活を豊かにしていく。さらに、カイには規格外の魔力と魔法を生み出すスキルがあることが判明! 農作物をスピード成長させちゃったり、モンスターを倒しちゃったり、兎耳少女に懐かれちゃったり…と無自覚に超絶チートを発揮してしまい…!? 最強の幼子と賑やかな仲間が送る異世界ライフ、ここに開幕!
仕事まみれの前世を送っていたケイは、目を覚ますと子供の姿で見知らぬ森に放置されていることに気がついた。死んだ祖父が神様の代わりにプレゼントしてくれた異世界転生。ステータスを開くと、【タレント:幸福ポイント】という見慣れない文字が並んでいて…!? 意味がよくわからないスキルに戸惑いつつとにかく森を進んでみると、綺麗な景色を発見!【異世界に来て、初めて綺麗な景色を観ました! 15ptゲット! その調子でこの世界を楽しもう!】異世界を楽しむとポイントがもらえて、スキルや経験値に交換できると知ったケイは、心おきなくスローライフを満喫することを決意する。交換したスキルで難なくモンスターを倒したり、森に迷い込んだ冒険者の少女たちに料理を振る舞ってみたり、なぜか魔族退治に巻き込まれちゃったり!? 素直なお人好し少年と癒し系もふもふ精霊がおくる、お気楽異世界のんびり旅!
関東大震災から100年も経つというのに大虐殺の歴史的事実に無知では済まされない。この無慈悲な蛮行を二度とくり返さないために。明治天皇の父・孝明天皇の亡霊が導く“反帝ドキュメンタリー・ノベル”第3弾!
私は宿命的に放浪者であるーー。 飢えに苦しみながらもあっけらかんとした明るさを失わず、絶望が心を塞いでも世の中に啖呵をきる。林芙美子の自伝的小説『放浪記』には、舞台化により広まったイメージとはまったく異なる魅力が詰まっている。激動の昭和初期を生き抜く女性の姿に、新たな光を当てて読み直す。
男たちの身勝手さを、一行で打ち砕く桐野文学の極北! 夫公認のもと、元恋人と自由な時間を過ごす妻を描いた表題作「もっと悪い妻」など、計六作の短編を収録。 「麻耶は大事だと思っている人が他にいるの?」 「いるよ。男でも親友になれるよ」 「それはそうだろうけれど。困ったな」 (「もっと悪い妻」より) ネット上で〈悪妻〉と批判されることに悩むバンドのヴォーカルの妻を描いた「悪い妻」。 妻と離婚した後、若い女性にしつこく迫る壮年の男性の哀歓を伝える「武蔵野線」など、男と女のカタチを切り取った現代の「悪妻論」。 西加奈子さん(作家)推薦 不幸な「悪い妻」は許されるが、 満たされた「もっと悪い妻」は断罪される。 「妻」という呪いと、 「妻」を理想化する社会へのしたたかなカウンター。
まさか6年もの歳月を経て、 初夜を迎えることになるなんて……。 ミアがメイドとして働くホテルに、突然“夫”が迎えに現れた。 テオ・アエトン。6年前、ギリシア富豪の彼と恋に落ち、 夢のような結婚式を挙げた夜、ミアはどん底に突き落とされた。 結婚の目的は彼女の祖父の財産。愛などなかったと知ったのだ。 すぐに家から飛び出し、そのままテオのもとへは戻らなかった。 だが今、祖父の余命が幾ばくもないと聞かされて、 ミアはギリシアへ戻ることを決めた。病床の祖父の前に進むと、 テオは表情一つ変えず彼女を引き寄せ、驚きのひと言を放った。 「安心してください。ごらんのとおり、僕たちは復縁しました」 18歳で最愛の人の花嫁となったものの、その日の夜に家を出たヒロイン。祖父のため、復縁したかのように振る舞ううち、再び夫に恋をして……。シャロン・ケンドリックらしい、ドラマティックでせつない夫婦愛の物語をお楽しみください。
私が国王の花嫁に? しかも、世継ぎを産むことになるなんて! ああ、なんてこと……。リヤール王妃の侍女アナイスは悲嘆にくれた。 国王夫妻が悲劇的な飛行機事故で亡くなっただなんてーー。 いつ涸れるとも知れぬ涙を流す彼女に、寝耳に水の縁談が舞い込む。 新国王が、堅物で有名なアナイスに白羽の矢を立てたのだ! プレイボーイのジャビド王子が、なぜ? 数年前、フィアンセに裏切られたアナイスは傷心を抱え、 逃げるように、この遠い異国へとやってきたのだが……。 悩んだすえ、彼女は求婚を受け入れた。 まさか、世継ぎをその身に宿すことになるとは夢にも思わず。 私がまだ本当は清い体だなんて、絶対に彼に知られてはだめよ……。 男性嫌いの侍女と放蕩者で鳴らす傲慢な王子は、互いの亡きいとこの祖国のために、10年の期限付きで結婚します。ヒロインは決して彼とベッドは共にしないと、修道女のように固く心に誓ったものの、プレイボーイの魔手から逃げきれるはずもなくーー!?
もしも、あの愛に満ち溢れた日々に、 もう一度戻れるのなら……。 ローラは屋敷の庭で意識を失い、病院に運ばれた。 目覚めると、大富豪で新婚の夫ビショップが傍らにいたが、 どこかよそよそしい。なぜ抱きしめてもくれないの? しかも新妻を怪訝な様子でじっと見つめ、 赤ちゃんの話に顔をしかめるなんて、あんまりだわ……。 まだローラは気づいていなかった──ビショップとの子を流産し、 虚しいすれ違いの果てに、みずから離婚を選択したという、 つらい記憶を失っていることに。 ビショップは、まるで新婚当時のような元妻に戸惑いながらも、 ローラに寄り添い、夫を演じきろうと心に決めるが……。 “このまま元妻の記憶が戻らなければ、二人はやり直せるのでは?”密かにそう願っていたヒーロー。果たして、ほどけた愛の絆は再び結び直せるのでしょうか? 実力派ロビン・グレイディが描く、情感豊かな夫婦の再生ロマンス決定版です!
ステラが赤ん坊のニッキーとふたりで暮らす家に、ある日、端整な顔立ちの男性が現れ、信じ難い事実を告げた。その男性はモンマジョール国王ヴァスコ・モントーヤで、ステラが精子バンクを利用して出産した赤ん坊の父親だという。初めステラは、ニッキーを奪われることを警戒したが、ドナーには親権がないと再確認し、ほっと胸をなでおろす。安堵したのもつかのま、翌日ステラは突然、職を失った。途方にくれているところへ、ヴァスコがふたたび現れ、ステラの窮状を知ると、王宮に来ないかと親切にも誘ってくれた。だが、実は…ヴァスコにはひそかな企みがあったのだ!
愛されたことのない私のおなかに、 愛すべき小さな命が宿った……。 エリアナは疎遠だった父の葬儀のため故郷に戻った。 母は婚外子のエリアナを出産した際に命を落とし、 父は経済的援助をするのみで、彼女は誰からも愛されたことがなかった。 結局、複雑な思いから葬儀には出ずにホテルで過ごしたエリアナは、 バーで官能のオーラを漂わせる絶世の美男子ディエゴと出逢う。 強烈に惹かれ合い、一夜限りと知りつつ熱い時を過ごして別れるが、 1カ月後、エリアナは父の遺した病院を継ぐために再び故郷を訪れた。 するとその病院には、なんとディエゴがいた! 彼は外科医だったのだ! 驚きのさなか、吐き気とめまいに襲われたエリアナは気を失ってしまう。 まさかディエゴによって運ばれた救急外来で妊娠が明らかになるとは……。 自立した女性だけれど、実は誰からも愛されたことのない生い立ちのせいで自分に自信が持てないヒロイン。そしてヒーローもまた、よき父親像を知らずに育ったため、自分が父親になれるのか確信が持てず……。新星ルアナ・ダローザが描く、予期せぬ妊娠物語!