2019年9月発売
単行本刊行前から注目の「オール讀物」新人賞作家が、2人同時デビュー! 「これは2018年恋愛小説短篇のベスト」書評家・杉江松恋 はじめてのことをするたび、彼を思い出すーー 痛々しい自意識過剰、空回る都会への憧れ、思い通りにいかない初恋。 思春期の苦くて甘い心情を鮮やかに描き出す、四篇を収録。 プルースト効果という言葉を教えてくれたのは、同じクラスの男子「小川さん」だった。 「はじめてのキスは想像もつかないところでしよう」小川さんはそう言ったはずなのに。 【収録作】 「プルースト効果の実験と結果」 「春は未完」 「楽譜が読めない」 「ひどい句点」 ※オール讀物新人賞受賞作
寺脇京介が目の前で凶弾に倒れたー自責の念から単独で犯人グループを追うも、ドイツで拉致された明石柊真。からくも脱出に成功し、狙撃手の情報を得た柊真は南米に向かうが…。一方、別ルートで捜査していた藤堂浩志らも南米へ。京介はなぜ殺されねばならなかったのか。謎の組織“クロノス”の正体とは?狙撃手を追い詰めたその時、リベンジャーズに最恐の罠が!
日本最大の指定暴力団「華岡組」が二つに分裂、西日本で抗争を激化させていた。そんな最中、浅草に拠点を置く華岡組傘下団体の組長が射殺され、都下に緊張が走る。組織犯罪対策第三課所属の身辺警戒員・片桐美波は、同時期に襲撃被害に遭った元暴力団員・大隅直樹の警護にあたることに。捜査本部はいずれも対立組織の犯行と見るが、対象者を注視する美波はある違和感を抱き…。
茨城県の牛久沼で、釣り人が沼に引きずり込まれるという事件が起きた。後に発見されたバラバラ死体。いったい、何者の仕業なのか。事件の唯一の目撃者は、河童にやられたと証言するが…。沼には、何かが潜んでいる。宿なしのルポライター有賀雄二郎と、つくば中央署の阿久沢健三は、川漁師の源三、少年太一の協力を得て、河童伝説の残る地で真相究明に乗り出した。
ホテルの殺人現場に残された血文字「こいけてつみち」は、被害者の名前だった。死に際になぜ自分の名を?十津川は「小池鉄道」という駅が銚子にあると知り、現地へ急行。銚子電鉄の駅名愛称命名権販売事業で、終点外川駅の権利を被害者が買っていた。銚子と京都の二重生活を送っていた小池の目的とは?十津川が犬吠で十六年前の事件の存在を掴んだ時、哀切の真相が!
亡き妻の命日に妹まで喪うとはー弁護士、波多野丈二の妹は世間を震撼させる連続猟奇殺人の五番目の犠牲者となった。被害者の遺体には一様に、局部に異物が挿入され、顔や胸に赤い塗料が吹きつけられていた。妻と妹、そして被害女性にある共通点を見つけた波多野は、事件を調べ始める。しかし、そんな彼を嘲笑うように第六、第七の殺人が…。歪な愛を描く長編ミステリー。
戸が静かに叩かれた。大家の美保が訪ねてきたのだ。美しく豊満な淑女は、互いの境遇を憂い、慰め合うことを提案してきた。「筆下ろしは私で構いませんか」漂う甘い匂いに気圧されるように、身を委ねたー。梶沢大悟、二十五歳。元は大名家の勘定方の家柄だったが、ある事件で父が切腹となり、放逐され長屋暮らし。しかし、そこに人妻となった元許嫁が現われて…。
兄龍彦が長崎に留学し、甥の佐一郎や新弟子の伸吉らが頭角を現す岩倉道場で、源太夫の実子幸司は二代目を継ぐ決意をする。しかし、幸司には悩みがあった。それは、偉大な剣客である父の秘剣「蹴殺し」を未だその目で見ていないこと。悩める幸司は父の一番弟子を訪ねるが…(『羽化』)。園瀬の里に移ろう時と、受け継がれる教え。それぞれの成長を描く豊穣の四編。
「次の百物語では必ず怪異が起こるー」時は文政。推当物が評判の女戯作者・鉢野金魚は、武家の女・只野真葛、貧乏戯作者・本能寺無念らとともに、怪異の謎を解き明かすべく、亡魂が現れるという百物語に参加するが…江戸の本屋を舞台に戯作者=作家が謎を解く!人情と謎、嘘と真実、諦め難い切なき恋情ー読み心地抜群の大人気時代小説シリーズ、待望の第五弾!
札幌近郊のホテルで殺人事件が発生した。被害者は東京都内在住の女性。北海道警から捜査協力を要請された警視庁は、被害者宅の捜査をおこなった。そこで亀井刑事がある男性の写真を発見。その男は亀井刑事の姪・典子の恋人で、典子と北海道を旅行している花井だった。事件の容疑者として浮上した花井だったが、鉄壁のアリバイがあった…。
一男一女に恵まれ、平凡ながらも幸せな家庭を築く石坂の生活は、愛猫の毒殺を機に大きく揺らぎ始める。娘の家出、息子の事故死、会社の倒産、離婚、火事…。人生のどん底で聞こえてきたのは亡き母の声。不思議な声に導かれて人生をリセットする方法を試すと、気づけば目の前には2年前の一家団欒がー。幸福の崩壊を阻止するため、石坂は記憶と経験を武器に奔走する。
急逝した娘の交際相手を見つけてほしい。くも膜下出血で倒れた娘・慧子をその男は置き去りにした疑いがあるー元高校教師の父親からの依頼で謎の男を捜し始めた辰巳。だが、慧子の友人たちは一様に言葉を濁す。数少ない手がかりは、慧子の部屋のイーゼルにあった夏の海を描いた絵。高校生時代に友人たちと共に訪ねた思い出の地らしい。15年前、そこで彼らは何を目撃したのか?辰巳は隠されてきた過去と対峙する。(表題作より)漂泊の探偵が出遭った三つの事件を所収。シリーズ第2弾。
アッコさん節、次々とサク裂! 妙に冷めている男性新入社員に、忘年会プロデュースの極意を…(「幹事のアッコちゃん」)。敵意をもつ取材記者に、前向きに仕事に取り組む姿を見せ…(「アンチ・アッコちゃん」)。時間の使い方が下手な“永遠の部下”澤田三智子を、平日の習い事に強制参加させて…(「ケイコのアッコちゃん」)。そしてアッコ女史にも一大転機が!? 大人気シリーズ第3弾待望の文庫化。
思い切ってこの旅に出てよかった。52歳のバツイチシングル、室篤子は5年交際している相手には不信感が芽生え、職場では早期退職を促されている。「この土日はいないから」とだけ相手にメールして、東京から一人で参加した移住ツアー。瀬戸の夕凪が終わった時、自身の長すぎた無風状態も変えられる気がしたー(古民家再生ツアー)。アラフィフ世代の“変化の兆し”を描く上質な5編。著者初の小説、待望の文庫化!
中沢なつきはカルチャースクール通いが趣味の平凡な専業主婦。あらゆる教室に顔を出すため周りから「フルコース夫人」と呼ばれていた。平穏な毎日を送っていたなつきと、中学生の娘・さやかに、映画出演の話が舞い込む。しかし、撮影の裏で夫が女優と浮気していることが発覚。なつき自身も懐かしい人と再会し、さらに殺人事件まで起きてしまい…。ノンストップサスペンス。
殺人事件をめぐる、加害者と被害者それぞれの独白。「殺意」は加害者がいかにして殺人者となったのか、「鬼哭」では被害者がどうして殺されたのかの思索が語られる。事件の当事者の心理に深く潜り込み、それらを圧倒的な描写力で表出させる著者の真骨頂が発揮された傑作。
10年ぶりに再会した太秦萌、小野ミサ、松賀咲。以前、自分たちが住んでいた太秦荘で『太秦探偵ミモザ』という探偵事務所を始めた3人娘だが、最新の依頼は”部屋の掃除”…。炎天下での掃除の最中、ミサがスマホを撮り出しある決意を告げるーー。自分たちを見つける、3人の夏が始まる!