2019年7月12日発売
「平壌放送の乱数表が複雑化している」米朝の苛烈なせめぎ合いで危うい変化が起きている。「同胞の協力関係を活かせ」という北朝鮮の世界規模の侵攻とどう戦うか。札幌、秋葉原、そしてシリコンバレー。一貫した哲学で他を圧する調査官・黒田純一が攻める!不透明ないまを生き抜くためのエンターテインメント。
不動産販売の営業マンだった黒葛原涼(つづらはら・すずむ)は、会社の倒産後、ひょんなことから東京の下町・町良(まちら)で、探偵事務所を開業。ハーバード大卒、犯罪マニアの押しかけ美女ネジ子さんを相棒に、町で起きた怪事件に挑む! 〈あらすじ〉 第1話 都電の町と鉄仮面 東京の下町・町良に移り住んだスズムはピカピカ光る鉄仮面が夜な夜な徘徊すると聞き…… 第2話 ネジ子さんが来た 神出鬼没の連続ひったくり犯“カマイタチ”を捕まえてほしいという依頼を受ける 第3話 セカイは知らんぷり 公園で虐待された野良猫を助けたスズムが調べを進めると、意外にも犯人は…… 第4話 守り神は失踪中 “信号揚げ”が名物、タツ子が営むてんぷら屋から大事な守り神が消えた 第5話 スキマ男のレモン 町のあちこちで空き缶と一緒に置かれたレモンが見つかった。それは怪しい暗号なのか? 第6話 まぼろし楽隊(ジンタ) 正式につづらはら探偵事務所を立ち上げたスズムは、いきなり謎の“怪人”から挑戦を受ける
金と愛と日本と神が、ひとつに交わるこの宴 狂乱の神前結婚パーティーが、いま始まる! 神社の披露宴会場で働く18歳のフリーター・浜野。披露宴の「茶番」を演じるうち、神社のまつる神が明治日本の〈軍神〉であることを知り……。 結婚、家族、そして日本という壮大な「茶番」を鮮やかに切り裂く、最注目の俊英による今年度最大の問題作! ■早くも話題、絶賛の声続々! 披露宴会場の仕事の細部を本物の現場感覚で見事に描きだし、結婚とは何かという普遍的な事柄とともに、神社や宗教を絡めてテーマを広げ、全部をうまく溶け込ませている。橋本治『草薙の剣』とも共通する、時代との独特の接し方。 ーー佐伯一麦(「群像」創作合評) 立ち位置なんて、決めたくない! 強い意志をもつ主人公浜野。相棒は、熱血青年の梶。正義を背負って参戦する、神道女子の倉地。 登場人物の葛藤が、なんともチャーミングな痛快作。古谷田奈月さんは、華燭の典の楽屋の壮絶な闘いをすべて書きつくされた。 ?-石田千(「群像」創作合評) 従来の結婚式小説とは違い、神道それ自体を描き出し相当奥行きのある作品に仕上がっている。震災やオリンピック会場の建設などの時事的な事柄をも主人公の経験に沿って語る、一種の平成史小説。 ?-陣野俊史(「群像」創作合評) 軽妙な語り口ですがすがしい読み心地。神社政治のメカニズムの扱いにも慣れた彼が、ライバル関係をうまくやり過ごし実現させるのは、全く新しいお一人様での結婚式。荒唐無稽のようでいて、意外と切なく、締まった結末。 ?-阿部公彦(「共同通信」) 軍神も神社も架空のものだが、いかにもなリアリティがあり、ワリの良い仕事だからと軽い気持ちで働き始めた主人公を通して、読者は「天皇制」の「日本」の「社会」と「家族」の不可思議に対峙させられる。力作である。 ?-佐々木敦(「東京新聞」) 右寄りの思想の空無な状態を戯画化し、それだけでなく、彼らの寄る辺なさに哀切を漂わせている。さらに現代の婚礼における差別主義をも暴く射程の広い物語。紛れもなく著者の代表作。 ?-長瀬海(「週刊読書人」)
試験的にAIロボットを導入した第七明和銀行。高田通り支店の庶務行員・多加賀主水は、AIに負けじと雑用をこなしていた。ところがある日、主水は友人の木村刑事に放火の疑いをかけられ、署に連行される。聞けば“高田町稲荷の遣い”を騙り、町内の嫌われ者の自宅に「天誅」と称して放火する輩が出没しているらしい。潔白を訴える主水は、町を脅かす巨悪と対峙する!テレビドラマ化された痛快銀行小説シリーズ第4弾。
暴力団排除条例の下、壊滅した旧鳴龍会の残党は困窮していた。ヤクザから足を洗っても世間の偏見からは免れられない。彼らの現状を憂慮した鳴海署の刑事佐脇は何とかしようと乗り出すが、旧鳴龍会を目の敵にして潰そうとする怪しげな警備会社の職員が、武装して乗り込んでくる。裏で糸を引いているのは誰か?やがて関西の巨大暴力団を巻き込んで、一大抗争が勃発する!
元女優の母、元叔父さんの父、反抗期の妹、そしてヒッチコック好きのぼく。訳ありそうに見えるけれど、ぼくら安井家は平穏で普通のはずだった。それなのにある夜、母が突然、ぼくらの知らない男の人を看とると宣言した瞬間、歯車が狂い始める。母の恩人だというその人に、ぼくは会いに行く決意をしたけれど…。揺れ動く家族と少年の心を瑞々しく描ききる、成長の物語。
突然失踪した経営者を追い、六本木のホストクラブへ単独潜入を試みた“悪女刑事”こと警視庁組対部の黒須路子。だが、客が店に放火し、ロケットランチャーがぶっ放されて、九死に一生、逃げ出した。自分を亡き者にしようとする上司の富沢を疑うが、やり方があまりに粗暴すぎる。そんななか伝説のやくざの帰還が伝えられて…。向かうところ敵なしの女刑事、大暴走!
京の淀藩常火消・野条弾馬は、己が目を疑った。大火の折に生まれ激甚な災禍をもたらす炎の旋風“緋鼬”が大坂の町を蹂躙していた。続発する緋鼬に、それを操る何者かの影を見た弾馬は、新庄藩火消頭取・松永源吾に協力を頼む。源吾は、天文学者でもある風読みの加持星十郎らを連れ大坂へ。しかし、ぼろ鳶組は、炎の怪物を眼前にすると大きな挫折を味わうことに…。長編時代小説、書下ろし。
優れた探索力と圧巻の剣技で数々の難事件を解決に導く、北町奉行所与力・水川秋之進。最近つとに名を上げ、南町の風烈廻り与力・青柳剣一郎と並び称されるほど。剣一郎は後進が育つことを喜んでいた。そんな折、南町が自殺とした事件を水川が掘り起こし、殺しと断定。すると、剣一郎を貶める蜚語が飛び交い始め…。剣一郎は、脚光を浴びる英雄の怪しい動きを追う!長編時代小説、書下ろし。
義賊となるー薬料も満足に払えず、若くして逝った配下を看取り、明屋敷番伊賀者望月十郎太は心を決めた。困窮する伊賀者の生計を助けるため罪を重ねるも、次第に大胆になりゆく己を止められず、仲間をも手にかけてしまう。臨時廻り同心鷲津軍兵衛は、長い針状の得物“伊賀の縫い針”で屠られた亡骸を目にし、背景を探るが、黒装束に身を包む忍びの襲撃を受ける!
表向きは評判の髪結い。その裏稼業は、巧みな化粧で人を他人そっくりに仕立て上げ、機知と騙りで悪を退治する「替え玉屋」-お武家嫌いの町人慎三は、ある小藩の窮状を聞き、渋々腰を上げる。筆頭家老一派による米横流しの絡繰りを暴いて糾弾すべく、死んだはずの男の替え玉を国許に向かわせ…。慎三の仕掛ける二重三重の罠が悪を追いつめる、痛快時代小説!書下ろし。
生活のために必死で働く23歳のアビーは愛も恋も知らない。空想でつくりあげた“完璧な婚約者”との恋愛話を憧れのまま周りに話していると、思いがけず慈善舞踏会へ招かれることに。婚約者の同伴は必須…困ったわ、どうすればいいの?ふとアビーの脳裏に、親友の兄で富豪のルークの姿が浮かんだ。慈善の目的だと彼に頼みこみ、練習のためキスを試してみると、アビーの体に熱い震えが走った。いったいこれはなに?陶然とする彼女をよそにルークは涼しい顔で念を押した。「今夜一夜かぎり、2時間が過ぎたら終わりだぞ、シンデレラ」
“愛は毒だ”とはねつけられても、 わたしは彼の愛がほしい。 ダンテがはるばるロンドンからわたしに会いに来たというの? アリシャは胸にざわめきが広がるのを感じた。 今や富豪となった彼は幼いころ、彼女の父のお気に入りだった。 父は実の娘よりダンテをかわいがり、亡きあとは会社を託した。 彼への嫉妬と恋心を封印して、遠い地へ逃れてきたのに……。 「破綻寸前の君の慈善事業を守りたければ、僕と結婚するんだ」 ダンテの真の狙いは、彼女が持つ亡父の遺産の株だと知りつつ、 アリシャの心は揺れた。母の遺志である事業を潰したくはない。 でも、愛されない花嫁になるのはあまりに哀しすぎる……。 人気急上昇中の作家タラ・パミーが描く、愛を信じない富豪ヒーローと孤独なヒロインとのせつない結婚の物語をお贈りします。亡父の会社を継いだヒーローとの結婚はただの取り引き──どんなにそう自分に言い聞かせても、ヒロインの心は晴れることなく……。
仕事中毒の富豪の2週間の休暇先は、 貧乏を苦とも思わぬ、心優しき乙女の家。 巨大複合企業CEOアルトゥーロは、ローズを見て面食らった。 古びた服を着た、この地味な女性が弁護士? 身分を隠してここを訪ねたのは、手こずる再開発事業に 業を煮やしたからだがーー。彼は内心ほくそえんだ。面白い。 デート相手には不向きでも、ぼくに落とせない女などいない。 ローズは、冷酷な開発業者へのデモに参加したいと現れた アルトと名乗る男性に目を奪われた。端整な顔に、見事な体格。 優雅な様子は活動家らしくないけれど、ローズは快く受け入れ、 部屋数だけはあるぼろぼろの家に、アルトを泊めることにした。 実は富豪の彼から誘惑の魔手が伸びるとは、つゆほども疑わず。 まさか彼こそが当の非情な開発会社のCEOと知らぬまま、ひとつ屋根の下で過ごすことになったローズ。しかも彼は、女性なら誰もが夢中になるような魅惑のプレイボーイ億万長者で……。
迷子の天使がくれた、初めての恋。 孤独だった彼女は喜びと涙を知った。 手元の食料はしわしわのじゃがいもだけ。赤ん坊のミルクもあと少し。 クレアは妹の遺児を引き取って育てていたが、限界が近づいていた。 仕事も辞めている今、もう赤ん坊の父親にすがるしかない。 しかし、最後の頼みの綱だった富豪パトリックは、妹との関係を否定した。 クレアはタクシー代を渡され、けんもほろろに追い払われてしまう。 万策尽きて途方にくれていると、今度はパトリックが彼女を訪ねてきた。 「赤ん坊は亡き兄の子だと思うから、いっしょに育てたい」と言って。 ほほえむ彼を、クレアは出会った中でいちばんすてきな男性だと思った。 でも子どもを育てるなら、パトリックに恋をして関係を複雑にはできない。 裕福な彼は貧しいわたしを哀れんでいるだけ。誤解してはだめよ……。 穏やかでやさしい時間が流れる、C・アンダーソンの物語の世界へ読者のみなさまをご案内します。ぜひ今作では、ヒーローとヒロインが飼っている犬にもご注目ください。自分に素直な動物は、実は飼い主が胸に秘めた恋心をかわりに伝えているのかもしれません。
まるで道端に捨てられた青い果実。 そんな私が、拾ってもらえるの……? 伯爵領の使用人の娘ホリーは、女として未熟だと恋人に捨てられた。 心沈む彼女のもとに、ある日、亡き伯爵からの遺言状が届く。 〈ふたりのうち先に結婚し、婚姻関係を1年続けたほうに地所を譲る〉 うまくいけば、父が大切に守ってきた土地を、父に贈ることができる。 問題は、もうひとりの相続人候補、大富豪のステファンーー8年前、 国を追われて英国へ渡り、世界的な不動産王になった人物だ。 いざ対面したとき、ホリーはステファンの凛々しさに息をのんだ。 ほだされちゃだめ、男手一つで育ててくれた父に恩返しするのだから。 一方、母国復帰の思惑を胸に秘めたステファンは、 思いがけない台詞で彼女を翻弄した! 「僕と結婚してくれ」 幼くして母親に見捨てられ、不実な恋人からも理不尽に捨てられたホリー。そんな彼女を拾うかのごとく求婚したのは、なんと真剣な恋や純真な愛を拒む大富豪で……。切ないシンデレラ・ストーリー。『さよならを言わせて』『妃になれないシンデレラ』の関連作です。
わたしにとっては初めての宝物でも、 彼にとっては、すぐに消える戯れのキス。 裕福なジェナー家の家政婦の娘ソフィアは、御曹司エリックを慕っていた。 彼が全寮制の名門高校へ入るためにニューヨークへ旅立ったとき、 ソフィアはまだ13歳で、心にぽっかり穴があいたようだった。 それ以来会うこともなく15年が過ぎた今、ソフィアは職を求めて、 不動産帝国の王者となったエリックのもとへ足を運んだ。 1年前に病を得て、前の仕事を続けられなくなってしまったが、 女手一つで1歳の双子を育てるには、どうしても働く必要があるのだ。 面接の結果、みごと雇われることになって喜んだソフィアの脳裏に、 かつてエリックにされた初めてのキスが甦り、彼女は自らを戒めたーー 忘れなさい。あれは彼が覚えてさえいない、ほんの戯れだったのだから。 ロマンス界の頂点とも言うべきRITA賞に輝いた経歴を持つサラ・M・アンダーソンによる、情熱と瑞々しさを併せ持ったシンデレラ・ストーリーをお贈りします。少女時代の恋心が疼くソフィアですが、エリックは“社員は決して口説かない”と心に決めていて……。
情熱と戸惑いの口づけは、 もどかしい愛の萌芽……。 サブリナが働く巨大企業の新社長フリンは、彼女とは旧知の仲。 彼が結婚してしまってからは疎遠になっていたが、 昔は一緒に街を歩いたり、身の回りの世話を焼いたりしたものだった。 それが恋心だと、サブリナは自分でも気づいていなかったけれど。 今、トップに君臨する重圧で、かつては屈託がなかったフリンが 非情な仕事人間に変わっていくのを、彼女は見ていられなかった。 そんな折、重役の提案でフリンが休暇をとることになり、 彼が仕事をしないよう、サブリナが見張り役を命じられる。 迎えた休暇初日、青天の霹靂ともいうべき事態が起こるーー ふだん黒縁眼鏡に隠れている彼女の美しさに気づいたフリンが、 初めて見る熱っぽい表情で、唇に迫ってきて……。 フリンが悪妻との離婚を経て、学生時代に親友と交わした“独身の誓い”を最近復活させたばかりだと知るサブリナ。たとえ彼と過ごす時間がめくるめくものになろうと、それは休暇が明ければ消えるうたかたの恋……。ニューヨーク編集部絶賛の新進作家が魅せます。
名家で働く使用人の娘レベッカは、御曹司ジェイにかわいがられて育った。 16歳の夏、ジェイへの憧れは愛となってついに身も心も捧げたが、 小さな命を宿したとわかったとき、親たちの反応は厳しかった。 ジェイの父は、息子は認知しないと言っていると主張し、こう告げた。 「金をやるから、今すぐここから出ていって、処分しろ! ぐずぐずしていたら、おまえの母親を首にしてやる」 レベッカは信じられない言葉の数々に傷つき、打ちのめされ、 母を残したまま、身重の体で故郷をあとにしたのだった……。 あのとき授かった子を、独りで育てるレベッカのもとに、 10年後、悲痛な知らせが届く。“母危篤、連絡乞う。ジェイ” 大スター作家リン・グレアムと同じ時期にロマンス小説家となり、ともにトップを走ってきたミシェル・リードの、日本デビュー作をリバイバル。十代の頃のつらい仕打ちを、忘れたくても忘れられぬまま時を重ね、いま再び……。珠玉のシークレットベビー物語!
冷たい親に育てられた18歳のヘイリーにとって、恋人マックが心の支え。だがドライブ中に不幸な事故が起き、マックだけが重傷を負ってしまう。彼の家族から面会すら拒絶され、失意のヘイリーは彼に別れを告げることなく故郷を去った。それから10年後ー(『初恋を取り戻して』)。18歳のシルヴィは、外国から帰国中の伯爵クリスチャンと出会って恋に落ち、身も心も捧げた。遠方へ戻っていった彼からの連絡を待ったが、手紙1通届かない。気づけば、お腹の中で彼の子が育っていた…。月日は流れ、いま再び、目の前にクリスチャンが現れる(『伯爵との消えない初恋』)。女手一つで育ててくれた母を病で亡くしたセイディ。数カ月前に引っ越してきた彼女は、隣に住む魅力的な独身貴族のバックに想いを寄せているが、彼にパーティへ誘われても、内気なためにいつも断っていた。だがあるとき、とうとうバックと二人きりになり…(『セクシーな隣人』)。天涯孤独のベアトリスは手紙で弁護士事務所に呼びだされた。そこにいたのは、さる国の次期君主タリク。弟と別れてほしいと多額の手切れ金を提示され、寝耳に水の話に驚く。人違いよ、彼の弟なんて知らないもの。ベアトリスは小切手を拒んだが…(『シークと乙女』)。