小説むすび | 2019年1月発売

2019年1月発売

貧乏お嬢さま、駆け落ちする貧乏お嬢さま、駆け落ちする

行き先も告げられず、婚約者ダーシーの車に乗せられた公爵令嬢ジョージー。なんと向かった先は、グレトナグリーン。駆け落ち結婚が認められる場所だ。 ところが荒野を走る二人の車は吹雪で足止めされてしまい、立ち寄った町で最悪のニュースを耳にする。 アイルランドにいるダーシーの父親が殺人容疑で逮捕されたというのだ。駆け落ちを諦め、ただちに父親の元へ向かったダーシーがジョージーに告げたのは、無情にも別れだった。 ついさっきまで夢見ていた二人の明るい未来が、音をたてて壊れていく。多額の借金を抱えていたダーシーの父キレニー卿は先祖代々の城をアメリカ人の富豪に売り払い、かつて自分の城だった場所で馬の調教師として雇われていた。 ところが、サラブレッドへ薬物投与したとして解雇され、口論となってアメリカ人を撲殺した疑いがかけられていた。 残された証拠と強い動機すべてが、父親が犯人であることを示している。婚約解消はジョージーを守りたいがための苦渋の決断だった。しかし、ジョージーは周囲の反対を押し切り、単身アイルランドのダーシーのもとへ。 未来の義父との初対面は最悪のタイミングになってしまったが、愛する人との未来を信じ、ジョージーは事件の真相究明に乗り出す。

リングトーンリングトーン

出版社

新評論

発売日

2019年1月9日 発売

世の中は、まさにAI(人工知能)ブームである。AIが組み込まれた家電をネット通販店で買えば、通販店サイトのAIが作動して関連商品の宣伝メールが嫌というほど送られてくる時代。便利ではあるが、「鬱陶しい」というのも事実だ。さまざまな二律背反をはらむAIは、人類の味方なのだろうか、それとも敵なのだろうか。  物語の主人公である悠木翔【ゆうきかける】は、科学記者としてAIやロボットといった最先端技術の取材に明け暮れている。AIは労働力不足を補うツールとして期待される反面、人間から仕事を奪うのではと危惧されもするわけだが、悠木はAIの進化が人類を豊かにすると信じている。そんな悠木に、突然、未来から電話がかかってきた。200年先の未来社会では、人間は仕事と生きがいをなくし、希死念慮にとりつかれているという。  一方、悠木の生きる現代社会では、人手不足から過重労働を強いられ、自死を選ぶ労働者が後を絶たない。この危機的状況を改善する手段として、AIによる労働力の代替が期待されているのだ。つまりAIは人類の「救世主」となるはずなのに、なぜーーこのギャップが、悠木を苦しめることになる。  科学技術は予想を超えたスピードで(指数関数的に)進化している。実はその進化のなかに、未来の人間を破壊するウイルスが仕組まれているのだ。21世紀人である悠木は、未来人との接触を通じてAIをめぐる葛藤と闘うが、彼は悲惨な未来社会を垣間見てもなお、はっきりとした答えを見いだすことができない。  アメリカの思想家であり、AI研究者であるレイ・カーツワイルは「シンギュラリティ」(特異点)という概念を用いて、2045年にAIは人知を超えると予言している。問題は、この予言が当たるか否かではない。AIの進化に組み込まれた「破壊因子」に我々はどう対処すべきなのか、そこが問われているのだ。悠木にも、その答えは見つからない。あなたは本書に鳴り響く着信音【リングトーン】をたよりに、その答えを出すことができるだろうか。

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