2017年7月発売
ヴェネツィアに降り立って双子の妹の婚約者マルチェロを見たとたん、古くさい中年男性と聞いていたのとはまるで違う精悍で魅惑的な大富豪の姿に、ジュリアは色を失った。旅行中に彼と出会ってすぐ衝動的に婚約した妹は、帰国後に交通違反がもとで出国禁止になったため、妹になりかわって彼と母親に挨拶しに行くようジュリアに強いたのだ。こんなにすてきな人に対して、偽りの婚約者を演じろだなんて…。無事に役目を終えられますようにというジュリアの願いも空しく、ふたりきりになるやいなやマルチェロの黒い瞳に射すくめられ、激しく唇を奪われて、彼女の心は千々に乱れた。
富と美貌に恵まれた彼がなぜ、 白鳥になれない私を選んだの? 「僕と結婚してほしい」大富豪のラファエルから突然求婚され、 彼の経営するホテルで働くコーラは我が耳を疑った。 頼みたい新しい仕事があるからとスペインへ連れてこられたけれど、 鷲を思わせる、危ういほど美しい彼からまさか妻に指名されるとは……。 彼は土地買収の必要条件として便宜的に結婚したいのだと言い、 せいぜい数週間で結婚は解消され、莫大な報酬も約束されるらしい。 兄や姉と違い、どじで美しくもないコーラは両親に愛されずに育ち、 先日も大事な家宝を他人に騙し盗られて叱責されたばかりだった。 その損失を補って両親に認めてもらいたい一心で彼女は申し出を受ける。 心の隅で、なぜ醜いあひるの子の自分が選ばれたのか、いぶかりながら。 美しい姉や才能ある兄の陰に隠れるように生きてきたコーラですが、大人になった今なお両親に愛されようとけなげに頑張ります。一方、公爵家の血を引きながら一族の禍根に懊悩するラファエルは、ある目的を胸に彼女に近づいて……。最後に感動が待ち受ける珠玉作!
愛する人と暮らす夢はかなった。 残酷な、期限付きの結婚として。 ラナは密かに恋をしていた。相手は職場のボスーーホテル王のカル。 長身を高級スーツに包んだ黒髪の彼は、独身主義で有名だ。 愛する人と温かい家庭を築くというラナの夢はかないそうもなかった。 貧しい家の出のわたしなんて、大富豪の彼にはふさわしくないわ。 部下なのに友人のように接してくれる今の関係で満足しなければ……。 そんなとき、ラナは誤解から逮捕された姉の赤ん坊を預かることに。 だが正式な夫婦でない男女ではだめだと知り、困り果ててカルに相談する。 「では、ぼくと結婚しよう……赤ん坊を預かるあいだだけ」 この結婚はかりそめのもの。いくらそう自分に言い聞かせても、 海辺の結婚式で誓いのキスを交わすと、ラナの胸は高鳴って……。 D-1743『億万長者と秘密の愛し子』も大好評だった、ディザイアの人気作家アンドレア・ローレンスの、常夏の国ハワイはマウイ島が舞台の作品です。バカンス気分を存分にお楽しみください。
妊娠した私をほうり出しておいて、 今度はこの子が欲しいですって? メグは自分の目を疑ったーーなぜジャックがここに? 彼からはもう長いこと連絡がなかったのに。 名門出身のジャックは 5年前、メグと激しい情熱で結ばれたあと、 必ず連絡するという約束も守らず、彼女を捨て、 その後もプレイボーイの名をほしいままにしていた。 その彼がなぜ今、よりによって夫の葬儀に現れたの? メグは娘とつないだ手に力を込めた。 まさか、この子の本当の父親が誰だか知っているのだろうか。 すべて承知で結婚してくれた幼なじみの夫以外、知らないはずなのに……。 様々な時代の選りすぐりのディザイアの話題作をお贈りする“ハーレクイン・ディザイア傑作選”。今作は、大人気のシークレットベビーがテーマの物語です。傲慢で自信に満ち溢れたヒーロー像が魅力の、2000年に大好評を博した傑作をお楽しみください。
『償いの花嫁』-好きでもない年上の婚約者との結婚式を目前に控えたエマは、エキゾチックな容貌の富豪ミゲルに窮地を救われ、心を奪われた。そして愛なき結婚の前に最初で最後の自由を味わいたくて、ミゲルとのデートに。だが、それを知った婚約者の差し金で彼は大怪我をさせられてしまった。激怒したミゲルに脅され、エマは形だけの花嫁になる。『誘惑のローマ』-“情熱のないお堅い女”-元夫に与えられたそんな汚名を返上しようと、ベサニーは傷心旅行でローマへの一人旅を敢行した。現地でアンドレというハンサムな銀行の理事長と知り合い、急速に彼に惹かれていく。しかし情熱を分かち合った直後、なんの説明もなく彼は姿を消した。そんなとき、ベサニーは妊娠に気づいて…。『プリンスにさらわれて』-ある晩、帰宅したプルーはハンサムな侵入者に遭遇する。彼の名はカリム。行方不明の妹の手がかりを求めて彼女に会いに来た、アラブの国のプリンスだった。困惑する彼女を彼は尊大な口調で脅した。「いっしょに来なければ、君は後悔することになる」
テイラーは、姉の婚約者の兄であるイタリア人大富豪、ダンテに初めて出会ったときからひそかに憧れていた。数年後、彼女は思いがけない形で彼に再会する。姉夫婦が事故で亡くなり、テイラーは幼い甥を引き取ったが、それについてダンテが異議を申し立てたのだ。彼は自分にも後見人としての責任があると主張して譲らず、テイラーと甥に彼の大邸宅で一緒に暮らすよう迫った。彼の傍らで想いを抑えながら良い叔母を演じるなんて無理よ。でも、かわいい甥を一方的に奪われてしまうのは耐えられない。テイラーにはダンテの要求をのむよりほか、選択肢はなくて…。
家政婦のマロンは土砂降りの雨の中を一人で歩いていた。雇い主から暴力を振るわれそうになり、逃げだしてきたのだ。恐ろしさと寒さに震えるマロンの前に、一台の高級車がとまった。ハリスと名乗る男性は彼女を車に乗せると、親切にも屋敷に招き、ここで住みこみの管理人として働いてみてはどうかと声をかけた。会社の経営者だそうだが、以前の雇い主と違ってよい人のようだ。だが働きだしてすぐに、思いがけない事件が起きた。階段の踊り場でつまずいたマロンはハリスと折り重なって倒れ、あろうことか唇を重ね合わせてしまったのだ。皮肉にもマロンはそのとき悟ったー彼に惹かれ始めていることを。
仕事でブラジルを訪れたイザベルは、ディナーの席で仕事相手から 義理の息子を紹介されて凍りついた。アレジャンドロ! 彼とは3年前、運命的に出会い、燃えるような一夜をともにした。 だが翌朝、彼は緊急の用件でブラジルへ帰国してしまったのだ── かならず戻ってくるという言葉だけを残して。 巨大企業を経営しているというアレジャンドロは、 片足が不自由になり、すっかり気難しい人物に変貌していた。 いったいこの3年でアレジャンドロに何が起きたというの? さらに彼女を怯えさせたのは、彼が秘密を知っていたことだ。 あの一夜で授かった、かわいい娘がいるということを。 ベテラン作家アン・メイザーの2010年刊行の人気作をお届けします。彼女に憧れてロマンス作家になったという新人作家が多いのもうなずける、ドラマティックなシークレットベビーの傑作です。
ヨークシャーに壮大な館キャヴェンドン・ホールを構える伯爵家インガム一族と、代々仕えてきたスワン一族。両家の固い絆は、時に忍ぶ愛をも生んできた。セシリー・スワンもその一人で、幼いころ伯爵家の嫡男マイルスと将来を誓い合ったが、身分差という壁に阻まれ、結婚は叶わなかった。以降心を閉ざし、ロンドンで仕事ひとすじに生きてきたセシリーに、キャヴェンドンから思いがけない依頼が舞い込む。マイルスと二人で、ある催しを取り仕切れというのだ。それは、当代伯爵とセシリーの大叔母の、許されるはずのない結婚式だった。壮大なヒストリカル・サーガ第2弾。
英国に恐慌の不穏な空気が忍びより、没落する貴族も出始めた。時代は変わり、インガム家でも史上初めて身分差を超えた婚姻が結ばれた。セシリーの大叔母は変わらぬ忠誠心と深い愛で夫となった伯爵を支え、伯爵の娘たちもそれぞれに真実の愛を見つけ、束の間キャヴェンドンは婚約披露や結婚式に花が咲いた。輝くばかりの婚礼衣装はすべてセシリーの手によるものだった。花嫁のヴェールを直してやりながら、セシリーは涙を押し隠した。マイルスへの想いは変わらないが、彼との結婚は叶わないーセシリーの愛だけは、不毛なままなのだった。
憧れの街ニューヨークで働くペイジは、順調なキャリアから一転、突然クビを言いわたされた。落ち込み、途方に暮れる彼女の前に現れたのは、もっとも弱みを見せたくない相手ー兄の親友で、かつてペイジの幼い恋心を踏みにじったジェイク・ロマノだった。「それなら、自分で会社を作ればいいじゃないか」世界的企業のオーナーであり、セクシーな辣腕実業家でもある彼の助言を拒む理由はなかった。だが、アドバイザーとして何くれとなく世話を焼く彼が側にいると、忘れたはずのペイジの想いは、否応なくかき立てられてしまい…。
サフランはさる富豪女性の専属ビューティ・セラピストとして、エーゲ海クルーズのツアー旅行に随行することになった。青い海と空に囲まれ、開放的な気分を楽しんでいたある日、雇い主の息子でギリシア人実業家のアレックスが港に現れた。突然母親が姿を消したので、居所を突き止めて追ってきたらしい。彼はあろうことかサフランを誘拐犯扱いして侮辱したうえ、無理やり自分のクルーザーに乗り換えさせたーこうして、激しい怒りと熱い欲望を瞳にたぎらせる男との、決して逃げだせない牢獄のような旅が始まった。
幼稚園教師として働くナタリーの家に、 ある夜、十代の頃から恋い焦がれてきたピアスが不意に現れた。 ピアスは、母が使用人として働いていた名家の御曹司で、 どこかの美しい令嬢と婚約したばかりだ。 彼がどうしてここに? しかも、なぜひどく憔悴しているの? 問いただすと、ピアスは婚約を破棄されたのだと打ち明け、 ナタリーは慰めたい一心で彼を家に泊め、愛を交わしてしまう。 ただ一度の、忘れられない思い出で終わるはずだったーー 一カ月後、妊娠という現実が襲いかかってくるまでは。
「べーーべべべ」 「べ?」 首を傾げるフォロンの顔を指差しながらコーティカルテは叫ぶ様に言った。 「べ、べつに、あなたとなんかいっしょにしょくじがしたいわけじゃないんだからねっ!」 「えっと。その…………ひょっとして、熱でもある?」 「たわけええええええええええッ!!」 ある平和な昼の時間。ツゲ神曲楽士派遣事務所でその事件は起こった。 コーティカルテがおかしなことを言い出したのだ。それも明らかに間違った方向で。 だが、その言動の裏には、コーティカルテの深いふかぁ~~い思惑があったりなかったり。 「ツンデレなんかもう旧いんです! きっと先輩が好きなのは……」な「パフォーマンス・クリムゾン」をはじめ、 脱力からチェイス、レンバルトの過去話、とどこから読んでも楽しめる珠玉の6本が入ったクリムゾンシリーズ第8弾。
あるところに旅する魔女がいました。名前はイレイナ。 まだ見ぬ景色、偶然のめぐり逢わせを求め、ひたすらに旅を続けます。 今回出会うのは、ポンコツな女スパイ、懐かしい黒髪の少女、 毒林檎を食べた女性、名探偵、美食家と読書家、自称・美少女歴史家、 水没した街の魔法使い、飛竜、氷の街の怪物、「薔薇の魔女」。 そして、眠るごとに全ての記憶を失う、謎の少女アムネシア。 イレイナは、この少女が目指す「ある国」まで同行する事になります。 「泣き止んだら、旅の続きをしましょう?」 唯一の手掛かりはアムネシアの日記帳だけ。 この二人旅の終焉にはいったい何が待っているのでしょうか。 「私も忘れません。あなた達のこと」 第一章:忘却の都 第二章:虚構の魔女 第三章:好き嫌い 第四章:林檎殺人事件 第五章:とるにたらない物語 第六章:水没街区 第七章:忘却紀行のアムネシア 弟八章:勇者と飛竜と生贄と 第九章:街は氷に覆われて 第十章:忘却帰郷のアムネシア
なんとか無事童貞喪失のピンチを乗り越えた(?)、ごくごく普通の高校生カゼハヤ・ソータ。バブみがある人魚姫・レミスまでゲットして、相変わらず異世界アーテルハイドで自由な生活を謳歌していたソータの下に、ついに魔王復活の報がもたらされた!…が。小説家になろう発!大人気モンスター育成ファンタジー第5弾!
「この職業は、覇王として振る舞えば振る舞うほど、俺の力を強化するー!」成人すると神託によって職業が与えられる聖獅子王国。ところが、弱小領主の弟であるアルスロッドが与えられた職業はーなんと“オダノブナガ”!?“剣士”や“パン職人”といったよくある職業とは全く異なる、職業かすらも定かではない謎の言葉。だがそれは、異世界の覇王・織田信長の経験を共有し、しかも戦でも自身や軍隊を強化できるチート職業だった!覇道を運命づけられた少年が圧倒的な力と軍略で成り上がる!
サハラ砂漠に不時着した孤独な飛行士と、“ほんとうのこと”しか知りたがらない純粋な星の王子さまとのふれあいを描いた永遠の名作。一九五三年以来、半世紀を超えて、日本じゅうの読者を魅了してきた、内藤濯氏による歴史的名訳。『星の王子さま』のスタンダード。
ドラゴン討伐を終えた日下部虎次。新たに仲間になった剣崎円花と共に、オーガス勇国の中心地レメアルへ上陸する。到着後、虎次達は図書館での調査班と街中での情報収集班に分かれて行動する。普段は冷静沈着な円花だったが、蔵書の山を見ると目の色が変わる。あまりの変貌ぶりに驚きと呆れを抑えきれない虎次と莉依。やがて探している日本人、八重樫愛果が城にいるという情報が入る。そんな中、レメアルのオーガス城で、勇王ロメルの演説が始まる。それはオーガス全域において催される勇王祭の開催演説だった。虎次達には関係のないことだった、その時までは。勇王ロメルの傍らには、ある日本人が立っていたのだー。