2015年8月発売
88歳のメンフィス署の元殺人課刑事バック・シャッツ。歩行器を手放せない日常にいらだちを募らせる彼のもとを、因縁浅からぬ銀行強盗イライジャが訪ねてきた。何者かに命を狙われていて、助けてほしいという。やつは確実になにかをたくらんでいる。それはなんだ。88歳の伝説の名刑事vs.78歳の史上最強の大泥棒。『もう年はとれない』を超える、最高に格好いいヒーローの活躍!
「価値のないもの、もしくは誰も盗もうとしないもの」を対象に依頼を受ける異色の怪盗ニック・ヴェルヴェット。その全短編を発表順に集成する日本オリジナル短編集第2弾。
山中で交通手段を無くした青年クインは、〈塔〉と呼ばれる新興宗教の施設に助けを求めた。そこで彼は一人の修道女に頼まれ、オゴーマンという人物を捜すことになる。だが彼は五年前、謎の死を遂げていた。平凡で善良な男に何が起きたのか。なぜ外界と隔絶した修道女が彼を捜すのか。私立探偵小説と心理ミステリをかつてない手法で繋ぎ、著者の最高傑作と称される名品が新訳で復活。解説=我孫子武丸
ニューヨーク、ブルックリンの書店を大叔母から相続した、三十代半ばのダーラ。堂々と書棚を徘徊し、緑色の目で冷たく客を睥睨する黒猫ハムレットが店のマスコットだ。ある日、ダーラは近所の工事現場で常連客の死体を発見してしまう。その脇には動物の足跡が。最近、夜に外を出歩いているらしいハムレットのものなのか? 名探偵猫ハムレット登場の、コージー・ミステリ第一弾。訳者あとがき=越智睦
六甲の山中にある、父の旧友の別荘に招かれた14歳の私は、その家の息子で同い年の一彦とともに向かった池のほとりで、不思議な少女・香と出会った。夏休みの宿題のスケッチ、ハイキング、育まれる淡い恋、身近な人物の謎めいた死ー1952年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年ふたりと少女の姿を瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。
かつて最先端機種として期待を集めていた人型ロボット“ピイ・シリーズ”。しかし現在では絵を描くだけの無用の存在として各地を放浪していた。恋人との仲に悩む女性、周囲にとけ込めない中年男性、人生を見失った青年ーピイと出会った人々は、姿だけを同じくする彼らの瞳に何を見るのか。ロボットとの対話を通して揺らぐ人人のこころを柔らかに描く、希望と祈りに満ちた物語。
古代遺跡を探索中、一人、天空浮遊都市へと強制的に転移させられた主人公・エニード。エニードは空に浮かぶ美しい街で人間の美少女にしか見えない魔動人形たちの主人となり、楽園にいるかのような日々を送る。だが、エニードは家族のもとへ帰るという意思を捨て切れなかった。果たして元いた世界に戻ることはできるのか?
VRMMO型ミリタリー系ガンシューティングゲーム“ワールド・バトルグラウンド・オンライン”の上級プレイヤーの渡会狩人が、突如、剣と魔法と鉄火場に満ちた異世界に迷い込んだ。ゲーム開始時の姿となった狩人を待ち受けていたのは、獣人の姉妹と悪意と戦場。生きたくば、守りたくばー手段は選ぶな、引き金を絞れ!剣と魔法の世界を舞台にしたミリタリーファンタジー。「小説家になろう」発モンスター文庫大賞優秀賞受賞作!!
「誕生」「妊娠」「受胎」「愛」を主題に、思いもよらない出来事に遭遇してとまどう人々を温かい筆致で描く。米国で大絶賛の新星による、チャーミングな傑作短篇集!
どうしたら、もっとふつうに彼を愛せるの? 誰かわたしを止めて、お願いーー 美容師として念願の自分の店をもち、専業主夫の夫に支えられ、しあわせな結婚生活を送っていたはずなのに。気づくと愛する夫を傷つけている舞。ある晩、夫を殴打し部屋を飛び出した舞は、帰らぬ彼をひとり待ち続けている希子と出会う。白いマンションのなかで渦巻く孤独、次第にもつれる男女の愛と渇き。息をもつかせぬ渾身長篇。
やわらかな記憶の連なりは、呼び起こすたびにその色合いを変える。東北へのバイク旅行。美術準備室でのできごと。そしてジミヘンのギター。二〇〇一年の秋からいくつかの蛇行を経て二〇一一年の春までをつなぐ、頼りなくもかけがえのない、やわらかな記憶の連なりーー 。人と世界へのあたたかいまなざしと、緻密で大胆な語りが融合した、記憶と時間をめぐる傑作小説。第一五三回芥川賞候補作。
1990年2月11日。光よりも速く世界を移動した、「奇跡」のすべて。誤審と解放。行列と暴力。タイソンとマンデラ。意志と衝動。ブラック企業とドラクエ。野性と理性。42 と1。みんながんばれ。無理せずがんばれ。「2とZ」と「パレード」そして「MとΣ」。小説の可能性を拡張する、力と技、心意気ーー。新しくて、尖ってて、でも不思議と懐かしい。突然現れた才能による第一五三回芥川賞候補作。
川端康成文学賞受賞記念の短篇集。「沖縄の私小説を書いてきた」作家の新境地。沖縄に生きて、その風土を呼吸しながら創作を続けてきた八十九歳の作家の、初の私小説。時の移ろいを生き抜く老年の日常。妻の入院をきっかけに、出会ってきた人々の面影とともに、遠い記憶が鮮明に蘇り、いまを生きる私を、強く激しく揺り動かすーー川端康成文学賞を受賞した表題作と新作『病棟の窓』を収録する、最新作品集。
〈絶海の孤島で暮らす少年たち〉物語の元祖にして最高傑作! 熟読してきたシーナ父娘による新訳決定版刊行。嵐の夜、少年達だけを乗せた船はニュージーランドの港から流されて無人島へと辿り着く。航海経験のある仏国人ブリアン、冷静な米国人ゴードン、優雅で誇り高い英国人ドニファンなど十五人の少年はいかに団結し、仲違いし、生き抜いていくのか? この無類の冒険譚を愛読し、モデルの島まで航海した椎名誠と渡辺葉による父娘共訳!