2014年発売
雨漏りのする屋根の修繕にやってきた工務店の男は永瀬といった。木訥な大男で、仕事ぶりは堅実。彼は妻の死から神経を病み、その治療として夢日記を付けている。永瀬屋根屋によれば、トレーニングによって、誰でも自在に夢を見ることができるという。「奥さんが上手に夢を見ることが出来るごとなったら、私がそのうち素晴らしか所に案内ばしましょう」。以来、二人は夢の中で、法隆寺やフランスの大聖堂へと出かけるのだった。
マンションも買った。車も買った。足らないものは男だけ。桃沢桜子42歳。立志館大学准教授。出世争いには巻き込まないで的な、食事は売れ残り弁当でOK的な合理主義な女。ある朝、田崎教授が大学の玄関ロビーで死んでいた。前日に教授と言い争っていたのを目撃された桜子は警察に事情を聞かれる。一癖も二癖もある教授たちと大人になりきれない学生たち。魑魅魍魎が跋扈する大学内ミステリー。
時は7世紀。唐の皇帝・李世民の姪である翠蘭は、訳あって商家で育てられていた。だが突然の皇帝の命により、唐の公主として吐蕃(チベット)王に嫁ぐことになる。戸惑いながらもその命を受け入れ、翠蘭は吐蕃へと旅立つ。しかし、道中を何者かに奇襲され、翠蘭はリジムと名乗る吐蕃の男とともに降嫁の隊列からはぐれてしまい…。遙かなる大地で、彼女を待ち受けていた運命とは。大河歴史ロマン。
気さくな性格で暢気な高等遊民生活をおくる長野家の次男・二郎。対照的に兄で学者の一郎は常に張りつめた神経を持ち、妻・直と二郎の仲を邪推するまでに精神が追い詰められていた。あるとき彼は二郎に、直の貞操を試すため一夜を共にしてくれないかと言い出す。人を信じ、伸びやかに生きたいと願いながら、出口のない迷宮を巡り続けるひとりの知識人の心理状況を克明に描いた、『こころ』へとつながる「後期3部作」第2弾!写真で見る漱石・用語の注釈・年表・解説文・鑑賞文付き。
大晦日、ロンドンの飛び降り自殺の名所、トッパーズ・ハウスの屋上で、人生に別れを告げようとして上った失意の男女4人が鉢合わせをする。互いの身の上を語り合ううちに、期間を決めて、もう少し生きてみようかという話になり…。全く違うタイプの男女4人が次第に奇妙な友情をはぐくみ、もう一度人生と向き合おうとする姿を、個性豊かな各々の独白でユーモアたっぷりに描く。
ジェイスは、妹ミアと親友ゲイブの婚約パーティーで見かけたケータリングの臨時雇いの女性、ベサニーに心を奪われる。ジェイスには特異な性癖があった。ベッドをともにする女をつねに親友アッシュと共有するのだ。だが、今回ばかりは、アッシュがベサニーに手を触れるのさえ嫌だった。彼女はおれだけのものだ…。愛を交わした翌朝、ベサニーは姿を消す。彼女にも悲しい秘密があった…。全米大ヒット・シリーズ第二弾。
ジェイスはベサニーを妹ミアの開いたクリスマスパーティーに連れて行く。家族の温もりを知らないベサニーを、自分の家族に迎え入れたかったのだ。だが、直情的なジェイスの言動が、「自分はジェイスに信頼されていない、彼にふさわしい女ではない」というベサニーの思いをなかなか溶かさない。ようやく互いの真情が通い合ったとき、ベサニーの“兄”ジャックが危険な厄介ごとを運んできた…。怒濤のラブ・ストーリー。
失業中の青年クレイが、ふとしたきっかけから働くことになった“ミスター・ペナンブラの二十四時間書店”は変わった店だった。まったく繁盛していないのに店名どおり24時間営業で、梯子付きの高い高い棚には、存在しないはずの本(Google検索にもひっかからない!)がぎっしり詰まっているのだ。どうやら暗号で書かれているらしいそれらの本の解読に、クレイは友人たちの力を借りて挑むが、それは500年越しの謎を解き明かす旅の始まりだったーすべての本好き、読書好きに贈る冒険と友情、その他もろもろ盛りだくさんの物語。全米図書館協会アレックス賞受賞作。
相変わらず学校内に住んでいる裏染天馬のもとに持ち込まれる様々な謎。学食の食品をめぐる不可思議な出来事、吹奏楽部内でのトラブル、お祭りの屋台のお釣りにまつわる謎ほかに、裏染の妹の華麗な謎解きを加えた、全五編+「おまけ」つきの痛快推理連作集。『体育館の殺人』『水族館の殺人』につづくシリーズ第三弾。なな、なんと“平成のエラリー・クイーン”が、日常の謎に挑戦。
復活祭まであと少し。教会に眠る聖人のお墓が、考古学研究のため開かれようとしているところ。その発掘現場に居合わせたフレーヴィアは、地下霊廟で失踪したオルガン奏者のおかしな死体を発見してしまう。元気に調べはじめたけれど、とうとう我が家が売り出されることになってしまって…。世界中で大人気の少女探偵フレーヴィア・シリーズ、驚きの展開が待ち受ける第五弾!
水中探査船沈没事件の手がかりを得たIHAのエディ・ワイルドは中国へと飛ぶ。上海の実業家ユエンが、奪われた機密ファイルを所持しているという情報が寄せられたのだ。一方、ニーナは『ヘルモクラテス』の原典をじかに調べる機会に恵まれる。そこで、ヘラクレスの墓の地図らしきものを見つけるが、敵の襲撃を受け、本の一部を奪われてしまう。奪われたページを取り戻すため、ボツワナへと乗り込むが…。上海、ボツワナ、ロンドン、スイス、バハマ、NYを舞台に、スピーディに展開する、ノンストップ・アクション!
「コブラ」の異名を持つ元CIA局員ポール・デヴロー。冷戦や対テロ戦争に従事した男に、米大統領からコカイン産業撲滅指令が下る。コロンビアの麻薬組織を目標に「プロジェクト・コブラ」が幕を開ける!
新たなテロと認定されたコカイン汚染。米大統領指令を受け、巨大麻薬組織殲滅の「プロジェクト・コブラ」が始動。「コブラ」ことポール・デヴローは諜報網を張り巡らせ、鉄壁の組織を崩壊させてゆくが!?
小学3年生の勇翔の夢は、プロのサッカー選手。ただ、本人は自分のレベルがよくわかっていない様子。そんな息子に歯がゆさを覚えている、かつて同じ夢を抱いた父の拓也はある行動を起こす。勇翔はその日をきっかけに、「サッカーノート」を書きはじめるのだが…。プロのサッカー選手になりたい。-それはいったい、だれの夢?共に悩みながら、歩んでいく、親と子の成長物語。
妻が出張先のホテルで死んだ。じつは男との浮気旅行だった。冷凍庫には妻から送られたカニが遺された。残された夫は、妻の本心を探るため浮気相手に会いにいくが…芥川賞作家の新たな名作!
団子屋の看板娘・おひのがかどわかされた。夫である桶屋の波津彦とともに姿を消してから十日。七緒は二人の探索を引き受ける。一方、北町奉行所同心・和倉信兵衛は、両目がくり抜かれた死体と対峙していた。かつての繁盛が嘘のように閑古鳥の鳴く団子屋。おひのの明るい呼び声は戻ってくるのか。文庫書き下ろし。シリーズ第二弾!