2012年10月発売
ジャーナリストの広瀬隆二は、代議士の今井から娘の香奈の行方を捜してほしいと依頼される。彼女の足跡を追ううちに明らかになる男たちの影と、隠された真実とは。警察小説の旗手が描く、社会派サスペンス!
「大陸一の売れっ子女郎になる」夢を抱いて哈爾濱にやってきた少女フミ。妓楼・酔芙蓉の下働きとなった彼女は、天性の愛嬌と舞の才能を買われ、芸妓の道を歩むことになった。夢を共有する美少女タエ、妖艶な千代や薄幸の蘭花ら各々の業を抱えた姉女郎達、そして運命の男・大陸浪人の山村と華族出身の実業家黒谷…煌めく星々のような出会いは、彼女を何処へ導くのか!?…女が惚れ、男は眩む、大河女子道小説ここに開幕。
八神森司は、幽霊が「見えてしまう」体質の大学生。片想いの美少女こよみのために、仕方なくオカルト研究会に属している。ある日オカ研に、女の顔の形の染みが、壁に浮き出るという悩みが寄せられ……。
一つのエピソードでは物足りない方へ、そしてシリーズ初読の貴方へ送る傑作群! 第1話 凜田莉子登場/第2話 水晶に秘めし詭計/第3話 バスケットの長い旅/第4話 絵画泥棒と添乗員/第5話 長いお別れ。
1冊の本との出会いが、「それまで」と「それから」をまるで違うものにしてしまうことがあります。今号では、そんな「特別な1冊」を、個性あふれる44人の方々に語っていただきました。そして、新人による短編6作品もお送りします。どうぞお楽しみください。 ■特集(1) 44人の「わたしの1冊」 杏 池田進吾 いしいしんじ 石崎洋司 石津ちひろ 伊藤有壱 今江祥智 岩崎俊一 植田 真 魚住直子 江國香織 大木幸二 大久保雨咲 岡田 淳 角野栄子 川島 誠 川本真琴 小池昌代 小森香折 斉藤 洋 新沢としひこ スズキコージ 千住真理子 ミヒャエル・ゾーヴァ 大道珠貴 高尾素子 高畠 純 富安陽子 長嶋 有 中村 航 那須田 淳 二宮由紀子 長谷川 朗 濱野京子 ひこ・田中 平岡あみ 三浦しをん 三角 綾 三井淳平 茂木健一郎 山崎直子 山下明生 吉田戦車 寮 美千子 ■特集(2) 新人短編競作 「絵のなか」伊藤美香 「夏休みのぬけがら」昼田弥子 「not Cycle, Nostalgy(ノット サイクル、 ノスタルジー)」日吉仔郎 「オオカミさん、おはいんなさい」山本プーリー 「母のワンピース」庭野 雫 「俺を殺す方法」くぼひでき
病弱な占い師のパパ、薬草茶作りの達人のママ、パパを愛するパパ2。三人の親の魂を受けつぐ片岡ノニは、石の力を引き出せる娘だった。ノニは光あふれるミコノス島で、運命の出会いをした。その相手は“猫の王国の女王様”と死に別れた哀しみの家来・キノだった…。ランサロテ、そして天草。海風吹く美しい島々を舞台に、生命の奇跡を謳うライフワーク長編『王国』、それからの物語。
戦後最年少でノーベル文学賞を受賞したカミュは1960年、突然の交通事故により46歳で世を去った。友人が運転していた車が引き起こした不可解な事故の現場には、愛用の革鞄が残されていた。中からは筆跡も生々しい大学ノートが。そこに記されていたのは、50年代半ばから構想され、ついに未完に終わった自伝的小説だったーー。綿密な原稿閲読によって甦った天才の遺作。補遺、注を付す。
家庭があり、知識も分別もある中年作家の竹中時雄は、平凡な日々の生活に鬱屈とした心情をつのらせていたが、 ある日横山芳子という女学生を弟子にとることにする。 はじめのほうこそは仲睦まじい師弟であったふたりだが…。 作者の実体験をもとに現実を赤裸々に描いた自然主義文学の代表作『蒲団』他、 『一兵卒』『ネギ一束』『少女病』を漫画化。
若く可憐な男子妻・夏海は、超ハンサムリーマンの旦那様・恭彦と新婚生活真っ最中。平凡だが甘く幸せな日々。そんな夏海には、旦那様にも秘密の顔がある。警視総監直属の特命捜査官。潜入捜査のプロだ。新婚の身には辛い、新たな任務ー闇オークションの実態を探るため、資産家の屋敷に住み込みメイドとして潜入する夏海。愛しい旦那様に逢えない淋しさに耐え、辿り着いた事実は意外にも…。激甘新婚ラブコメ。
『アポロンの島』が日本の文学界に衝撃を与えようとしていた前夜、煉獄のごとき逼塞感のさ中で推敲を重ねられた作品群には、未来の小川文学の全貌につながる世界のすべてが、ほとばしるように芽吹いていた。作家修錬時代の未発表作品集。
母と娘。二種類の女性。美しい家。暗闇の中で求めていた、無償の愛、温もり。ないけれどある、あるけれどない。私は母の分身なのだから。母の願いだったから。心を込めて。私は愛能う限り、娘を大切に育ててきましたー。そしてその日、起こったことー。
ワロージャは戦地へ赴き、恋人のサーシャは故郷に残る。手紙には、別離の悲しみ、初めて結ばれた夏の思い出、子供時代の記憶や家族のことが綴られる。だが、二人はそれぞれ別の時代を生きているのだ。サーシャは現代のモスクワに住み、ワロージャは1900年の中国でロシア兵として義和団事件の鎮圧に参加している。そして彼の戦死の知らせを受け取った後もなお、時代も場所も超えた二人の文通は続く。サーシャは失恋や結婚や流産、母の死など様々な困難を乗り越えて長い人生を歩み、ワロージャは戦場での苛酷な体験や少年の日の思い出やサーシャへの変わらぬ愛を綴る、二人が再び出会う日まで。