2011年発売
ナポレオン没落後、武勲による立身の望みを失った貧しい青年ジュリアン・ソレルが、僧侶階級に身を投じ、その才智と美貌とで貴族階級に食い入って、野望のためにいかに戦いそして恋したか。率直で力強い性格をもったジュリアンという青年像を創出し、恋愛心理の複雑な葛藤を描ききったフランス心理小説の最高峰。
副題「一八三〇年年代記」が示しているように、この小説は一平民青年ジュリアン・ソレルの野心をとおして、貴族・僧侶・ブルジョアジーの三者がしのぎをけずる七月革命前夜の反動的で陰鬱なフランス政界と社会を、痛烈な諷刺をこめて描き出した社会小説でもある。スタンダール(一七八三ー一八四二)の鋭い歴史感覚は時代の精神をみごとにとらえた。
武 蔵 野 蝴 蝶 い ち ご 姫 笹りんどう 山田美妙大人の小説(内田魯庵) 蝴 蝶(内田魯庵) 近日出色の小説(抄)(内田魯庵) 夏木たち(石橋忍月) 国民之友二小説評(依田学海) 解 説 注(大橋崇行・福井辰彦)
あれは何? なんで見えたの?▼おいちは十六歳。江戸深川の菖蒲長屋で、医師である父の仕事を手伝っている。おいちが他の娘と違うのは、この世に思いを残して死んだ人の姿が見えること。そんなおいちの夢に、必死で助けを求める女が現れる。▼悩みながらも己の力で人生を切り拓き、医者を目指す娘が、自分に宿った不思議な力を生かし、絡み合う因縁の糸を解きほぐしていく青春「時代」ミステリー。
少女を殺したのは、物語に秘められた毒ーー戦時中のミッションスクールでは、少女たちの間で小説の回し書きが流行していた。蔓薔薇模様の囲みの中に『倒立する塔の殺人』とタイトルだけ記されたその美しいノートは、図書館の書架に本に紛れてひっそり置かれていた。ノートを手にした者は続きを書き継ぐ。しかし、一人の少女の死をきっかけに、物語に秘められた恐ろしい企みが明らかになり……物語と現実が絡み合う、万華鏡のように美しいミステリー。
ー本当に生き残れるのだろうか?未だに実感も湧かず、流されるように進められていく殺人ゲーム。高鳴る心臓は異常なまでの緊張感を生み出している。なんとしても生き残らなきゃ。たとえ戦いになってもためらわずに…。俺が真文を守るんだ!閲覧者数1,500万突破の超人気バトル・ファンタジー。
時は大正11年。ミルクホールと探偵小説をこよなく愛する新華族の令嬢・織江は、ある日父から突然、真面目で口うるさい幼馴染・奎吾との婚約話を聞かされる。納得できず、相談相手の伯爵夫人のもとに赴く織江だが、そこで妖美なる青年、清重と出会う。 一方その頃、東京府では令嬢の髪が切られる不可解な事件が続いていた。犯人は、鋭い鉤の手を持つ「鉤男」で、被害に遭った令嬢は3日後に殺されると噂されているのだが……。
このままでは愛する村が滅亡する。未来を悟ったとき、少年さざなみは旅立った。一匹の猫と共に…執拗に続く謎の襲撃、馬を愛する王女・甘橘との遭遇、剣の使い手の美少女・桑折との奇縁。やがて巷に死病が流行した時、さざなみの身体に潜む不思議な力が、人びとの運命を一変させていく。古代中国を舞台に、癒しの極致を描く志怪ファンタジー。第23回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。
書店員さん大注目作家・中田永一最新作! 長崎県五島列島のある中学合唱部が物語の舞台。合唱部顧問の松山先生は産休に入るため、中学時代の同級生で東京の音大に進んだ、元神童で自称ニートの美しすぎる臨時教員・柏木に、1年間の期限付きで合唱部の指導を依頼する。 それまでは、女子合唱部員しかいなかったが、美人の柏木先生に魅せられ、男子生徒が多数入部。ほどなくして練習にまじめに打ち込まない男子部員と女子部員の対立が激化する。夏のNコン(NHK全国学校音楽コンクール)県大会出場に向け、女子は、これまで通りの女子のみでのエントリーを強く望んだが、柏木先生は、男子との混声での出場を決めてしまう。 一方で、柏木先生は、Nコンの課題曲「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課していた。提出は義務づけていなかったこともあり、彼らの書いた手紙には、誰にもいえない、等身大の秘密が綴られていたーー。 【編集担当からのおすすめ情報】 すでに多数の作品を出されているある有名作家の別名義・中田永一氏の最新作になります。中田氏は、08年に「百瀬、こっちを向いて」で、単行本デビューし、各紙誌の年間ベストテンでランキングするなど高い評価を得ています。
不思議な美少女・見崎鳴とともに謎を追う恒一。だが核心に迫れないまま“現象”は続いてゆく。そして夏休み、運命のクラス合宿で待ち受ける真実とは!?ゼロ年代の幕引きを飾った本格ホラー、驚愕の完結編。
夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。同級生で不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げた! この”世界”ではいったい何が起きているのか!?
爆弾が埋め込まれたテディ・ベアの行く先々で事件が起こり、さらに偽テディ・ベアまで現われ、事態はますます複雑な様相を見せ始めた。やがて必死の探索を続ける野木由子にも悲劇の影が忍び寄りーー。衝撃の完結篇!
「探してくれ、熊の人形を。爆弾が入っているんだ」21歳の女子大生、野木由子は、アパートで爆死した友人・中原が最期に遺した言葉を聞き、テディ・ベアの行方を追う。しかし、中原の家から熊を持ち去った少女は殺され、次に手にした主婦は冷酷な夫の仕打ちに耐えかねて自殺を図る…。可愛いぬいぐるみは由子をあざ笑うかのように、手にした人々に不幸をもたらしていく。人間の悲喜劇を描いたユーモアサスペンス。
ねじれた愛、消せない過ち、哀しい嘘、暗い疑惑ーー。心の鬼に捕らわれた6人の「S」が迎える予想外の結末とは。一篇ごとに繰り返される奇想と驚愕。人の心の哀しさと愛おしさを描き出す、著者の真骨頂!
安倍仲麻呂が遺した手紙により、空海たちが知った事実。それは、かつて玄宗皇帝が楊貴妃を処刑せざるを得ない状況に陥った際、道士・黄鶴の提案に従って尸解の法を用い、楊貴妃を仮死状態にして難を逃れようとしたが、あえなく失敗したというものだった。一方、青龍寺の恵果のもとに、妖しい影ー黄鶴の弟子であった白龍が現れる。白龍は順宗皇帝を呪殺し、唐王朝を完全に滅ぼすと予告する。中国伝奇小説の傑作、第3弾。
宦官・高力士が、死の直前に安倍仲麻呂へ遺した手紙には、楊貴妃の出自にまつわる、さらなる驚愕の事実が記されていた。黄鶴、白龍、丹翁…さまざまな人の想いと呪いが交錯した果てに、いま、順宗皇帝は呪法によって瀕死の状態に陥っていた。呪法の正体を暴くよう依頼された空海は、逸勢や白楽天、大勢の楽士や料理人を率い、玄宗皇帝と楊貴妃ゆかりの地ー驪山の華清宮へと向かった。中国伝奇小説の傑作、ついに完結。