2011年発売
1920年代のニューヨーク。裏通りの小さな博物館“BAM”の収蔵品は一風変わったものばかり。そこでは、物に触れると未来を予知できる不思議な少女フェイとワケあり個性派揃いのキュレーターが、悲劇を防ぐべく日夜活躍しているのだ。ジャズエイジの世界へ貴方を誘います。文庫版ボーナストラック「ドラキュラのマント」収録。
愛する妹・菊路の恋人が突如行方不明と聞かされ、早乙女主水之介の「退屈の虫」が鳴きだした!時は元禄、春の宵の色里吉原仲之町、旗本退屈男の異名をもつ主水之介が「この眉間の三日月が承知せぬわ」と大暴れする第一話を含め、東は仙台、西は京を舞台に全十一話を収録。時代小説、幻の代表作が待望の復刊。
財務大臣が刺殺された。犯人は完全黙秘。身元不明のまま起訴される。特命の極秘捜査にあたる警視庁公安部警部・青山望が突き当たったのは、政治家と暴力団、芸能界が絡み合う壮大な「戦後の闇」だった。捜査手法、情報戦の実態など公安出身者にしか書けない圧倒的なリアリティで描く、インテリジェンス警察小説の新シリーズ。
茗荷谷の一軒家で絵を描きあぐねる文枝。庭の物置には猫の親子が棲みついた。摩訶不思議な表題作はじめ、染井吉野を造った植木職人の悲話「染井の桜」、世にも稀なる効能を持つ黒焼を生み出さんとする若者の呻吟「黒焼道話」など、幕末から昭和にかけ、各々の生を燃焼させた名もなき人々の痕跡を掬う名篇9作。
チュニジアの首都チュニス。穏やかな兄ヤーシーンと、怒りんぼの妹アーイダ。それぞれの日々と、アーイダの恋を軸として描かれる現代の、そして古き良き時代の、人びとの生活や街の風景…。「幸せのかたち」が静かに、鮮やかに浮かび上がる。
二十七歳の時に南米の無人島に漂着した主人公が、自己との対話を重ねながら、工夫をこらして農耕や牧畜を営んでいく。近代的人間の原型として、多様なジャンルに影響を与えた古典的名作を読みやすい新訳で。
七〇年代、八〇年代は世界史の転換期であった。「愚哲」が組織を離れたそのときの秘密がいまはじめて開示される。「ぼく」に接近する謎の革命家・宋東奎(ソンドンギュ)。はたして北朝鮮の武装革命路線は正しいのか。その反省から新しい民主主義を探求し、「自生的社会主義」思想が生まれようとしていた。 七〇年代、八〇年代は世界史の転換期であった。「愚哲」が組織を離れたそのときの秘密がいまはじめて開示される。「ぼく」に接近する謎の革命家・宋東奎(ソンドンギュ)。はたして北朝鮮の武装革命路線は正しいのか。その反省から新しい民主主義を探求し、「自生的社会主義」思想が生まれようとしていた。とはいえ、その時期、韓国では金大中事件、大統領狙撃事件、光州抗争、拉致疑惑などが相次いで起こっていた。隠された歴史的事件の真相は、いままさに白日の下に晒されようとしている。その歴史の亀裂は、日本と南北朝鮮そして在日の間にも波紋を引き起こす。サハリン朝鮮人(カレイスキー)の抑留はどこまで続くのか。北朝鮮に帰国した趙一族の崩壊、それは小さいこととはいえ、埋もれた民衆史の一つの暗喩たりうるだろう。愚哲はドン・キホーテよろしく挫折しては起き上がろうとする……。
気鋭のジャーナリストと型破りな女性調査員が、少女失踪事件の謎に挑む。全世界で6000万部を売った驚異のミステリ三部作第一部。
ミカエルはハリエット失踪事件に関する膨大な資料を調べる一方、ヘンリックの一族のいわくありげな人々の中に分け入っていく。だが謎は深まるばかりで、助手が必要と感じた彼は、背中にドラゴンのタトゥーを入れた女性調査員リスベットの存在を知り、彼女の協力を得ることに成功する。二人の調査で明かされる忌まわしい事実とは?幾重にも張りめぐらされた謎、愛と復讐。全世界を魅了した壮大なミステリ三部作の第一部。
世界一寿命が短い国、アフガニスタン。母は10歳のエナヤットを連れて隣国へ逃れた。だがその母も姿を消した時、5つの国境を越える少年の孤独で遥かな旅が始まった──イタリア発、実話に基づくベストセラー
南中を平定し成都に還った孔明は、劉禅を擁し中原の地をうかがうが、戦況はかばかしからず病も重い。弟子に自分の亡き跡を細かく指示して息絶える。それを知った司馬懿は進軍する。だが車に孔明の木像が端座しているのを見、仰天して逃げ出してしまうのだった。
米国統治下の沖縄で日本人、沖縄人、中国人、米国人の四人が繰り広げる親善パーティー。そのとき米兵による高校生レイプ事件が起こり、国際親善の欺瞞が暴露されていくー。沖縄初の芥川賞受賞の表題作のほか、「亀甲墓」「棒兵隊」「ニライカナイの街」そして日本語版未発表の「戯曲 カクテル・パーティー」をふくむ傑作短編全五編を収録。
くまにさそわれて散歩に出る。「あのこと」以来、初めてーー。 1993年に書かれたデビュー作「神様」が、2011年の福島原発事故を受け、新たに生まれ変わったーー。「群像」発表時より注目を集める話題の書! 2011年。わたしはあらためて、「神様2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。--<「あとがき」より>
大人気“ぼんくら”シリーズ第三弾 あの愉快な仲間たちを存分に使い、前代未聞の構成で著者が挑む新境地。 断ち切らない因縁が、さらなる悲劇を呼び寄せる。 出会えてよかった? 日本人の強さと優しさがぎゅっと詰まった贅沢な大長編 痒み止め薬「王疹膏」を売り出し中の瓶屋の主人、新兵衛が斬り殺された。本所深川の“ぼんくら”同心・井筒平四郎は、将来を期待される同心・間島信之輔(残念ながら醜男)と調べに乗り出す。その斬り口は、少し前にあがった身元不明の亡骸と同じだった。両者をつなぐ、隠され続けた二十年前の罪。さらなる亡骸……。瓶屋に遣された美しすぎる母娘は事件の鍵を握るのか。