1992年12月発売
冷えびえと冴えわたる月光が、人間の隠された本性を暴き出す!ルナティックの魔力にとりつかれた人間の変わり果てた姿はー荒野をさまよう狼。月の光は、人間社会をあまねく照らしだす。未来の超メガロポリスも、18世紀ヨーロッパの一寒村も、犯罪うずまく都市の裏側もー。そして、そこには今しも獣に変わろうとする哀れな人間の姿があるのだ。次に人狼と化すのは誰だ?サイコ・スリラーからパロディ、SFに至るまで、気鋭の作家陣によるアンソロジー第5弾。
その後の歩と龍彦は、あいかわらず男の歩と女の歩が入れ代わってそれぞれの恋人の龍彦を誤解させるだけ。受験勉強最中も大学生活最中もトラブルが絶えない…。異性交遊も同性交遊も思い違ったり行き違ったり、やっぱり恋愛は難しい。いったい誰が悪い!!2人の歩とそれぞれの龍彦の恋愛の行方はどうなったか?…貴方だけに教えます。冬城蒼生が貴方に贈る、すごく変わったラヴストーリィ。
男は奇跡的に墜落事故から助かった。しかしそれ以来、彼の周りで奇怪な人身事故が連続して起きる。いつも間一髪で危機を逃れた彼は次第に、実は自分が狙われているのではと考える…。まとわりつく恐怖に息もつかせぬ展開。主人公を待ち受ける意外な結末とは。「フィアー」に続き、L.ロン・ハバードがおくる日本語版サスペンス第二弾。
江戸幕府の始祖・徳川家康の継嗣・秀忠と浅井長政の娘・江与の間に生まれた千姫は、政略により幼くして豊臣秀頼に嫁いだ。しかし18の春、ついに家康は大坂城に総攻撃をかけ、千姫は速水甲斐守の娘・三帆とともに逃れた。千姫の第2の人生の始まりであったー。動乱の戦国時代に生を享け、数奇な運命に翻弄されながらも、徳川揺籃期の後見として天寿を全うした千姫の情熱にあふれる生涯を描く、長編時代小説。
溌刺と欲望のおもむくままに生きてきたウサギも、すでに中年。胴回りの太さが気になりだし、鏡を覗くこともついぞなくなった。だが、ウサギは今や金持なのだ。『帰ってきたウサギ』では、ウサギはライノタイプの印刷工として働いていたが、その業種が不振になった時期に、うまい具合に義父が死んでくれ、義父の自動車販売業を受け継ぎ、ちゃっかりそこの経営者におさまってしまう。自動車業界は、第一次石油危機に見舞われ、燃費の悪い大きなアメリカ車が敬遠され、日本の車が順調な売れ行きを示している。ウサギは金持なのだ。
ある日、ケント大学に通っている息子のネルソンが、女友達メラニーを連れて家に帰ってくる。彼女を家に泊めるかどうかで一悶着が起こる。古い世代のウサギには、二人の関係がうまく理解できない。やがて、ネルソンの子を身ごもったプルーという女性が出現する。ウサギも結婚以前に妻のジャニスを妊娠させた過去を持つ。ネルソンは親の通った道を確実にたどりつつある。ウサギは完全に枯れきってはいないが、行動よりイマジネーションの世界に生きることが多くなり、死への予感をおぼろげに感じだす年代になったのだ…。
境界線上のことば、溶解する意識-。30年代NY伝説のギャング、ダッチ・シュルツことアーサー・フレゲンハイマーの最期のことばを元に書き下ろしたバロウズの「映画シナリオ形式の小説」。
胸に赤いAの文字を付け、罪の子を抱いて処刑のさらし台に立つ女。告白と悔悛を説く青年牧師の苦悩…。厳格な規律に縛られた17世紀ボストンの清教徒社会に起こった姦通事件を題材として人間心理の陰翳に鋭いメスを入れながら、自由とは、罪とは何かを追求した傑作。有名な序文「税関」を加え、待望の新訳で送る完全版。
これまでに出逢ったどんな娼婦とも違うマダム・エドワルダ。彼女に導かれ、陶酔と死とが絡み合った美の瞬間が繰り広げられる……エロティシズムの極限を描く啓示的な一夜の物語。