出版社 : 講談社
「ここ、どこ? わ、私、残業で職員室戻らないといけないのに! 今日は早く帰れるから家でビールたくさん冷やしてるのに!」 「先生、多分、俺たちこの世界に呼び出されたんじゃないですか」 異世界に召喚された高校生、湊と美人教師、青葉。二人は【盗賊】と【呪術使い】という底辺職と判明し、追放されてしまう! しかし、この異世界が自分のやり込んだゲームによく似ていると気づいた湊は、外れジョブと言われる「盗賊」と「呪術使い」の組み 合わせで最強になれることを知っていたーー。 湊はゲームの知識を活用し、効率よくレベルを上げて先生とともに強くなる。可愛い先生と二人っきりの異世界冒険物語、開幕!
自分が悪魔だということを思い出し、その邪悪な力を振るったあの日から私の生活は一変した……わけでもなく、算数の宿題に苦労する小学生女子としての日常を送っている塔垣柚子です。朧気ながら前世の十五歳までの記憶があるというのにどうしたことでしょう。 そんな私の周囲には相変わらず、”氣”を操る拝み屋の先輩・恩坐くんや転生勇者のクラスメート・勇気くんを始めとする濃いメンツが揃っているのですが、最近ヒロインを自称する痛いツインテール少女・マツリが加わりました。ですが一方で、私という“邪悪”を倒そうとする勢力が近づいていること、そしてその背後にいる《存在》にはまだ気づいていなかったのです。ユールシア、ついに覚醒の第二部[現代編]完結巻!
「俺たちは、面白いから記事を書くわけじゃないですよ。伝える必要があるから記事にするんです」 大手全国紙の整理記者を辞め、実家の印刷所が発行する「地域紙」編集長になった戸倉大介。 部数1万部、編集部員3人、週3回発行、全4ページ。人口25万人の平和な地方都市に事件は少なく、行政発表や街ネタが中心の、刺激に乏しい紙面だ。 そんな中、SNSを駆使する若き市長が自宅前で何者かに襲撃された。これはテロか? その事件が、戸倉の記者魂に火を付けた。 人手も拡散力も速報性もない。それでも、地元で起きたこの事件の真相を誰よりも深く、正確に報道してやる。 裏を取れないことは書かない。特定の人物の主張だけで記事にしない。引用だけのこたつ記事は載せない。 元新聞記者の著者が報道の矜持を問う長編小説
幾千年の時を超えて、あなたと恋をしている奇跡。 生き死にの極限に迫る、著者渾身の恋愛小説。 ひと月前に兄を亡くして天涯孤独の身となったわか子は、週に三日、空き家管理の仕事をすることになった。趣味の和歌を思い浮かべながら、何かが死んでいるような腐敗臭のする家で掃除をしていると、「なびかじな……」という藤原定家の和歌がきっかけとなって不意に景色が反転し、気を失ってしまう。目が覚めると、空き家の持ち主の河原さんと見たことのない青年がわか子を心配そうに見下ろしていた。それは時間のなかを旅してきたような、不思議な感覚でーー。 雲=クラウド=記憶の保存庫 若さを失うことは、少しも寂しいことではないのーー 過去の恋を思い出しながら、わか子は『源氏物語』の朝顔の君に自身を重ねてみる。 前世か先祖か幻か、わか子のなかに眠っていた女たちの記憶が動き出す。 装画:栗田有佳 装幀:大久保伸子 1.Cloud on the 空き家 2.うどの貴人 3.もの言う馬 4.魂ぎれ
「私は犯人を逃がすつもりはないよ。今回も虫たちの協力態勢はばっちりだから」 事件現場の昆虫相から真相を導き出す奇才法医昆虫学者、赤堀涼子。待望のシリーズ最新作! 高級会員制ゴルフ場の雑木林で発見された女性の遺棄死体。 歯を抜かれ、髪を刈られ、顔面や指紋など身元特定に繋がる箇所は全て完膚なきまでに損壊されていた。 ここまで残忍な犯行に及ぶ犯人像とは? 動機は? 三日後、同様に損壊された女性の遺体が、他県の解体スクラップヤード敷地内で発見された。 手口から同一犯であることは間違いない。しかし発見場所は30キロ以上離れており、関係者にも繋がりは見出せない。 例外なく秩序立った行動を取る虫たちが、人間には見えないミッシングリンクを炙り出す。 遺体から発見された昆虫相が意味するものは……? 第一章 OBと紛失球 第二章 前進あるいは後退 第三章 降りしきる雨 第四章 謎解き虫とキノコ 第五章 立ち枯れの森
選考委員瞠目! 第19回小説現代長編新人賞受賞作 今村翔吾さん「執念の如き力を感じた」 塩田武士さん「朝宮さんの『業』に、私は期待している」 中島京子さん「チャレンジングな作品」 凪良ゆうさん「著者にしか書けない光と闇」 宮内悠介さん「シンプルに心を動かされた」 薬丸岳さん「一番に推した」 5人の納棺師たちは全力を尽くす。遺された人々が、最後に顔を見てお別れを言えるように。 「どんなに考えても、探しても、人が死んだ理由なんて絶対に見つからないんだよ」 納棺師、遺品整理士、生花装飾技能士……葬儀関係のプロ集団「株式会社C・F・C」。 とりわけ損傷の激しい遺体を専門に扱う「二課」は、無残な状態から生前の面影を復元するのがミッション。 事故、事件、自殺ーー二課には毎日のように遺体が運ばれてくる。入学式を明後日に控え線路に正座していた少年、ゴミ屋敷で餓死した男性、幼い我が子を残して事故に遭った母親、飛び降りる瞬間を動画配信していた少女ーー 二課の納棺師たちはその手で、失われた生前のおもかげを復元していく。 愛する人が突然この世を去った時、どうすれば立ち上がれるのか。あの人はなぜ命を絶ったのか。遺された者はどう生きればいいのか。 それぞれに「喪失」を抱えた納棺師たちもまた、明日を生きる微かな光を見出していく。 0 有明の月 1 朝未き 2 入相の鐘 3 宵の明星 4 東雲の空
あの「父殺し」を犯したのは、君なのか僕なのか? 完璧美少年ケイと努力優等生シンのトラウマ劇は奈落に墜ちてゆく。崖っぷちの絶望と嫉妬に縛られた、愛と幻想のブラザーフッド! 「ななな、なんなんだー、こ、こ、これは」 とんでもない妄想と現実がかくも複雑怪奇に絡み合った物語に、読み手は囚われ驚愕する。-東雅夫(文芸評論家) 「天国に行っても私とお母様を見守ってください」 今日も幻聴にうなされるーー耳元で囁くのは17才のケイの声だ。十代の頃の懐かしくて香しき、そして忌まわしき記憶が、うらぶれた高校教師・真一郎の意識を支配する。殺しの記憶から怪しい宗教、非合法治療まで、マージナルな想像力で繰り広げられる世にも不思議な脳内アドベンチャー。奇才・芦花公園が鋳造する幻想とリアリティのアマルガム(合金)に、読者は金縛りにされるであろう。
あの家のわらしは、膨れで死ぬぞ。 ーーP集落に暮らす姉を訪ねた「私」が、土地神《べら》を祀る小さな社に毎日お参りをする姉の様子がおかしいことに気づく「べらの社」。山から集落におりてくる”人ならざるもの”を描いた「うず山の猿」「がんべの兄弟」。尊い《まる》の声を聞くためだけに、幼い子供が山の社にひとり閉じ込められる奇妙な因習「まるの童子」。さらに「密室の獣」「天神がえり」「拡散にいたる病」を加えた7編からなる連作短編集。 話題の伏線回収ホラー『撮ってはいけない家』著者の最新作。 今、振り向いてはいけない。
「宇宙人を殺すのはなんの犯罪にもあたらねえんだよ」 人間社会に溶け込み、悪事を働いている宇宙人を駆除すれば一晩で15万円。簡単なお仕事だといわれ、人生に行き詰った三浦馬連と山井考直は宇宙人の隠れ家をタタきに向かう。脱法ドラッグ、裏切りの裏切り……人はみんな思い込みで生まれて、勘違いで死んでいく。 日本語ドーピングの新鋭が描く、この世界の不条理=馬鹿馬鹿しさ。
デビュー作にして、第173回芥川賞候補作! 第68回群像新人文学賞受賞作! 「おれ、死んでもうた。やから殺してくれへん?」彼の胸に耳を当てた。するとたしかに心臓が止まっていたーー。シェアハウスに住まう二人と一羽の文鳥。一つ屋根の下、同居人の蓮見から初瀬にもたらされた、気軽で不穏な頼み事。夢と現、過去と現在、生と死。あちらとこちらを隔てる川を見つめながら、「わたし」が決断するまでの五十五日。
この街の光景を、僕と誰かが見つめていたーー。 失踪した父が残したカメラを手に、僕は横浜の街を歩き始める。幕末の遊女の逃亡譚、焼失した二代目横浜駅、戦後の闇市と再開発……。街の歴史とささやかな生の軌跡が交差する、新鋭作家の飛躍作!
◎第174回直木賞候補作◎ ◎第16回山田風太郎賞受賞◎ この国に「正義」は、まだない。 冤罪で父を奪われた少女と、真実を求めた弁護士と検事。 それは人生を賭した誓い。必ず、真犯人を法廷に引きずり出す。 ************************************ 重厚なリーガルミステリーの中で、女と男たちの人生が息をしている。 作者の才能はタフだ。 ーー朝井まかて 見てきたように景色と人を思い出せる。 物語に押し倒されるというのは、きっとこういうことなんだろう。 ーー桜木紫乃 生きるということは、かくも哀しく美しいものか。 司法の闇、冤罪の虚構、人間の絆。作家の才能に嫉妬する。 ーー堀川惠子 時代を超えて受け継がれる法律家の矜持に心が震えた。 ー五十嵐律人(作家・代表作『法廷遊戯』) わたしはこれ以上のリーガルミステリを知らない。 ー染井為人(作家/代表作『正体』) ************************************ 少女は誓った。「真実」を知る者として、何人にも屈さぬと。 男たちは人生を賭して、約束を繋いだ。 昭和、平成、令和。弁護士として、検事としてーー。 【あらすじ】 昭和18年。戦時下、「神都」と称される伊勢で、弁護士の吾妻太一は苦悩していた。 官憲による人権侵害がはびこり、司法は死んだも同然。 弁護士は正業にあらずと、子どもたちにさえ蔑まれていた。 だが、一人の少女・波子との出会いが、吾妻の運命を変える。 彼女の父は、一家惨殺事件で死刑判決を受けた囚人だった。 「お父ちゃんを助けて」 波子の訴えを受け、吾妻は究極の手段に打って出る。 無罪の証拠を得るため、自らも犯罪者として裁かれる覚悟をしてーー。 だがそれは、長い戦いの始まりに過ぎなかった。
ミステリ読むならこの一冊から! 「2024年ベスト短編ミステリ」集めました! ★★★ 第78回日本推理作家協会賞短編部門受賞作も収録! 久永実木彦「黒い安息の日々」 ★★★ 2024年に発表された短編推理小説の中から、推理作家協会によって選び抜かれた7編を収録。 ・商店街横の古びたビルが高値で売れた理由 ・キャンプ場で起きた事故死 ・記憶をなくした同性の恋人 ・手紙で迫る母の過去 ・合唱部で挑む悪魔召喚 etc. 巻末には昨年のミステリー界の動向を記した「推理小説・二〇二四年」、推理小説関係の文学賞を完全網羅した「受賞作リスト」も収録されています! ミステリ通としても、ミステリの入門書としても読んでおきたい一冊! あなたもこの本を読んで、昨年の短編ミステリを語りませんか? 【収録作】 「黒い安息の日々」久永実木彦 「栴檀秘聞」井上真偽 「とある日常の謎について」今村昌弘 「王手馬取り」貴志祐介 「最高まで行く」斜線堂有紀 「次はあんたの番だよ」法月綸太郎 「あの日、キャンプ場で」水生大海
冒険者チェンバーはアイルと新たな街、ブルドへやってきた。 レベルアップでさらなる高みを目指すためギルドから受けた依頼で、 二人は羊の魔物メイと出会う。 『アングリーシープが仲間になりたそうにこちらを見ている……』 なんとチェンバーの能力で魔物もパーティーに加えることに!? 新たな仲間を得たチェンバーたちは、街の脅威と噂されるワイバーン 討伐に向かう。そこにはまたしても邪神教団の暗躍があった……。 『レベルアップ』で最強を目指すバトルファンタジー第2弾!
妹に婚約者を奪われ、実家からも追放されかけていた 魔法薬師のリーフェ。そんな彼女を、偽装婚約という形で 迎え入れてくれた隣国の皇太子・オリヴェル。 彼の溺愛ぶりは偽装の域を超えていて、リーフェは戸惑う。 しかしこの日々はある秘密によって支えられていた。 リーフェが魔王の禁呪により、オリヴェルと前世で恋人 同士だった記憶を失っていること。 さらにふたりにはもうひとつ前の前世があり、そこでも愛し合っていたということもーー そんな折、妹アリアの『魅了の聖女』の力がリーフェに 移る可能性が浮上してーー?
最高。何度も何度も読んだ。この小説を読み直すためにだけでも、十年先まできっと生きていたい。--斎藤真理子 『続きと始まり』『百年と一日』が話題の柴崎友香による全く新しい「探偵小説」 「世界探偵委員会連盟」に所属する「わたし」は、ある日突然、探偵事務所兼自宅の部屋に帰れなくなった。 急な坂ばかりの街、雨でも傘を差さない街、夜にならない夏の街、太陽と砂の街、雨季の始まりの暑い街、そして「あの街」の空港で……「帰れない探偵」が激動する世界を駆け巡る。
文学は心に残る「問い」との出会い。「いま」を切り取る最前線、ベスト短篇アンソロジー。 【収録作品】 石田夏穂「ヘルスモニター」 李龍徳「反男性」 滝口悠生「煙」 今村夏子「三影電機工業株式会社社員寮しらかば」 山下紘加「わたしは、」 朝比奈 秋「雪の残照」 市川沙央「こんぺいとうを拾う」 金井美恵子「夢の切れはし」 川上未映子「わたしたちのドア」 角田光代「星ひとつ」 小野絵里華「夜のこども」 グレゴリー・ケズナジャット「痼り」 牧田真有子「水くぐりの夜」 くどうれいん「スノードームの捨てかた」 【編纂委員】 磯崎憲一郎 伊藤氏貴(解説) 金原ひとみ 川村湊 島田雅彦 【装幀】 帆足英里子(ライトパブリシティ)
何度も作り直せばいい。器を焼くことは、心に明かりを灯すようなもの。 テレビ局の放送作家の仕事を突然辞めるはめになった30歳のジョンミンは、何ヵ月も抜け殻のようになり家に引きこもっていた。 ある日久しぶりに外に出て、歩いているうち、彼女はカフェと間違えて陶芸工房の扉を開ける。突然現れたジョンミンに、工房の主ジョヒは珈琲をふるまう。コーヒーのおいしさのわけは器にある、自分で作ってみない? というジョヒの誘いを受け、ジョンミンは陶芸教室に通い始める。 土の匂い、手を動かしてものを作る喜び、人懐こい猫、年代も悩みもさまざまな仲間たち。自分に向き合い、人生を見つけていくということ……。工房を舞台に繰り広げられる癒しと希望の物語。 手を動かすこと食べること。それが、力をくれる。
大正15年(昭和元年)12月25日未明、東京・麹町の陸軍少佐・竹田耕三の元に、待望の長男が誕生した。〈志郎〉と名付けられた子供は、日本中が大正天皇崩御の悲しみに暮れる中で、一家の新たな希望となる。 同日、北陸・金沢では、矢野一家の親分・矢野辰一が、賭場での諍いの落とし前をつけに、敵対する一家に乗り込んだ。帰宅した辰一を待っていたのは、懇意の社長から預かっていた女工の出産と死だった。辰一は孤児を〈四郎〉と名付け、自分の手元で養育することに。 一方その頃、東京・神保町で進歩的な婦人雑誌「群青」の編集者として働く森村タキが、社会運動家との間に女子を出産。『人形の家』にあやかり〈ノラ〉と名付けたその子を、身勝手な父親から引き離し、女手一つで育てることを決意する。さらに同年の大晦日、野心を胸に中国・大連へわたった五十嵐譲二は、主宰するジャズ楽団の年越しパーティ中に妻から出産の報告を受ける。出生した男子を〈満〉と名付け、昭和元年最後の夜に最高の演奏をする。 昭和100年、戦後80年に生まれる、壮大な昭和史サーガ三部作。 第一部は、親世代の視点を中心に、大正天皇の崩御から太平洋戦争開戦までを描く。