出版社 : 幻冬舎
春造は、いつも道端にしゃがみ込んで虫や草花をながめています。そんな姿についたあだ名は“しょぼくれしょぼ造”。ある春の日、突然のカミナリで両親を亡くしてしまった春造は妹のオトを守るため生きていくことを決意します。大切なものを守りながら大人へと成長してゆく物語。
秦の始皇帝に仕え、不老不死を求めて日本にやってきたとされている徐福。それから八百年、厩戸皇子と隋の煬帝に遣わされた二人の密使により明かされる、徐福の術と巨大な策略とは。飛鳥時代の日本を舞台に、中国に古くから伝わる伝説を描いた冒険小説。
内と外が繋がる「ゾーン」に入ると、時間の感覚が消え、不思議なことがよく起こる。ある日、愛犬を亡くした女性のために犬の肖像を描いていた時、何かが「ボク」に語りかけてきて…。-『不思議と出逢うところーゾーン』 薄暗く、鬱蒼と生い茂る木々の中にたたずむ、伊豆の御社。荘厳な境内に一歩足を踏み入れた瞬間、霊的エネルギーを非現実的と考えていた「ボク」の世界は一変した。-『伊豆の御社』 神秘的な御社の主の声、亡くなった犬たちとの会話、憑依した死者からの訴えー。目に見えない超自然現象や人ならざるものとの交流を描いた五つの短編小説集。
1700年前、世界の涯のとある国に大きな夢と志を持った皇子がいた。その名はヤマトタケル。若き彼は大王に命じられ、西国征伐の旅に出たー。運命を背負い立ち上がった青年は何を思い、この地を駆け抜けたのか。この国の始まりに思いを馳せる、ロマンあふれる壮大な神話物語。
元官僚の北川靖とアメリカ人の友人たちが運営するウォール街のカラ売り専業ファンド「パンゲア&カンパニー」。資産の過大計上、嘘で塗り固めた製品開発と事業計画、契約書類の改ざんや巧妙な口車で投資家を蹂躙するマネーモンスターたちに、研ぎ澄まされた財務分析と緻密な告発レポートで次々と宣戦布告!!迫真の経済エンタテインメント!息詰まる攻防を描く全3話。
何も持っていなかったから、走り続けることができた。 誰もが心通わせられる世にどうしてもしたかったーー。 歴史小説界のトップランナーが郵便制度を創設した前島密を鮮やかに描き切る感動長編! 郵便制度の祖と呼ばれ、現在では一円切手の肖像にもなっている前島密。だが彼は士農工商の身分制度の影響が色濃く残る時代にあって、代々の幕臣でも薩長土肥の藩士出身でもなく農家の生まれだった。生後すぐに父を亡くし、後ろ盾が何もない。勉強を誰よりしても、旅をしていくら見聞を広めても、なかなか世に出ることができなかった。そんな苦悩を乗り越え、前島は道をどう切り開いたのか。そして、誰もが想いを届けられる仕組みをいかにしてつくったのか。
考えていることなんて伝わらないし、言葉はあいまいだ。 だから私たちは、伝える努力をしなくちゃいけない。 瑞々しい感性が光る、恋愛連作短編。 どこにでもいる普通の女の子、冴。冴からの愛を信じられなくなった伸。友人が恋人と別れたことをきっかけに、自分が恋人のことを愛しているかわからなくなった成輝。逆に、恋人との絆を強くした智世。冴のことが嫌いだけど好きで忘れられない真澄ーー。4組それぞれが抱える恋心を丁寧に描く。 〈宮田愛萌さんコメント〉 宮田愛萌です。この度『あやふやで、不確かな』を出版させていただくことになりました。私はいつも、他者とのコミュニケーションとは難しいものだと思っています。自分以外の人間と完全にわかりあうことなんて不可能であるのに、わかり合えたらと願ってしまう。そういう矛盾がなんかいいな、と思ってこのお話を書きました。 書き終えた今でも、私は登場人物たちとはわかり合えそうにありませんし、書いている時も喧嘩ばかりでしたが、それでも良い関係が作れたのではないかと思っています。 冴たちの物語を、たくさんの方に受け取っていただけたら嬉しいです。 よろしくお願いします。
野党第一党の高月馨は窮地に追い込まれた。敵対関係にありつつも、ある法案については共闘関係にあった与党議員・朝沼侑子が自殺したのだ。「自分の派閥のトップも説得できていなかったの?法案を通すつもり、本当にあったの?」死の前日の朝沼への叱責が彼女を追い詰めたのではないかと批判が集まり、謝罪と国対副委員長の辞任を迫られてしまう。だが、長年ライバル関係を築いてきた高月には朝沼の死がどうも解せない。朝沼の婚約者で政界のプリンス・三好顕太郎に直談判し、共に死の真相を調べることにー。
ここは、地球によく似たとある惑星のとある国。計算能力によって職や階級が決まる大都会島に、「ぽろもき」という1人の少年がいた。計算が苦手で職につけず、家を追い出されて自然島で暮らすことになったぽろもきは、自分の不甲斐なさに落ち込む日々を過ごすなかで、孤独を感じる少女「のと」と出会う。のとと次第に心を通わせ小さな幸せを手に入れたぽろもきだが、ある時謎の少女が現れたことで、世界の平和を守るための大きな戦いに巻き込まれていく…。国を越えた壮大な冒険がいま始まる!独りぼっちだったぽろもきが出会った大切な仲間たち。それぞれの個性を活かし、力を合わせて世界を救うことはできるのか。生き生きとしたイラストと共に彩るファンタジー小説。
統合失調症を患う青年・涼のもとに届いたのは、疎遠だった妹からの「両親の過去について知りたい」という手紙。宗教二世として生きていた頃の辛い記憶が蘇った涼は、「こらーる岡山診療所」に助けを求める。そこで主治医の山本先生に勧められたのは、とあるキリスト教会で行われている勉強会だった。「神様なんているのだろうか」複雑な思いを抱えながらも、涼は聖書をめくり始めたーどんな状況でも、そばで支えてくれる人は必ずいる。著者自身の経験をもとに描いた、心揺さぶられるヒューマンドラマ。
キャスター出身の政治家・松嶋玲子。少子化対策担当大臣として奮闘するが、敏腕トレーダーの夫・圭とはすれちがいの生活でほとんど会話がない。そんなある日、総理が倒れ、予期せず総裁選に出馬する羽目にー。玲子は魑魅魍魎蠢く永田町を浄化し、未来への礎を築くことができるのか。間違いだらけの日本政界に一石を投じる、傑作政治小説!
親友・西の葬儀で弔辞を終えた松は、彼との過去に思いを馳せた。-中学のある時期から、事あるごとに口出ししてくるようになったクラスメイトの西。はじめは冷たくあしらっていたが、あまりのしつこさに不本意ながらも助言を受け入れた先では、いつも未来が開けていると気づき、彼との友情を深めていく。
糸の向こうにあるのは必死の命。 だったらこれは遊びでは無い、戦いだ。 特に釣り好きの間では天賀太平よりは「天下太平」、あるいは顔がそっくりな「へのへのもへじ」を縮めて「へのじ」と呼ばれるこの物語の主人公は、天賀太平二十三歳。 花房藩五万三千石で釣り役を務めている。 やる事なす事すべて頓珍漢、だけどなぜかみんなに愛される釣り侍は、「天下太平日々是れ好日、世はなべて事も無し(今日は天気が良くて嬉しいな)」を口癖に、今日も竿をふるのである。 序章 第一章 いずれあやめかかきつばた 第二章 五月のお焦げせんべい 第三章 大平・命がけの釣り修行 第四章 大スズキと鬼カサゴ 第五章 五月のやぶからし 第六章 変わり膳のおぼろ月 終章 つかの間の休息
家族を襲った突然の惨劇ー。母はなぜ酸鼻な死を遂げたのか?母の死をきっかけに前世と現世を視る能力を得た主人公の光。事件の真相を探るうちにみえてきたものとは…。時空を超えてつながる愛の物語。
めそめそするな、くよくよするな。 多情多恨、魂の叫びを聞け。 人間は皆、自分の秘密や弱点を隠して生活していた。 悲しみを隠し、苦痛を隠し、貧しさを隠し、自分の自出を隠し、 隠せるものは何でも隠し、幸せそうに振る舞う賢明な処世術が盤石で、 善良な人間の生き方だよ。(本文より) 序章 浸潤な虐め 第一章 邂逅と幸運 第二章 原野への誘い 第三章 将来への光輝 第四章 心腹の疾それぞれの罪 最終章 麦秋への回
光の当たらぬ名も無き者にも、知られざる歴史がある 時は戦国、下級武士として伊達政宗に仕官した伊藤三右衛門家。 陰ながら主君を支えた伊藤家はどのように知行地を拡大させ、 繁栄の道を歩んでいったのか。 八世代にわたる二百八十年の軌跡を、史実をもとに描いた歴史小説。 主君の改易により浪人となるも、新たに伊達家へ仕え始めた伊藤肥後信氏 。一六一五年、激闘となった大阪夏の陣で、老武士ながらも見事に功績をあげた信氏は、 戦いのさなか、逃げまどう敵方の姫と幼子たちを助けることに。 敵対関係から一転、 仙台城で暮らすことになった彼らと信氏が繋いだ不思議な「縁」は、 時を越えて伊藤家の栄華に深く関わっていくーー。 第一章 忠と義と誉と 第二章 縁と絆と栄と 第三章 盛、そして衰へ
凶悪犯専門の戦闘警察「コンバットポリス」の翔太郎は、署長から訳アリな任務を言い渡される。それは、限られた人にしか見えない妖精地帯にいるという女性を捕まえること。管轄外に思えるターゲットに怪しさを感じつつ向かった彼を待つ、任務の真の目的とは…!(「妖精地帯のマリア」)。明治時代の北海道。はじめての道路建設に動員された人々は、劣悪な環境を強いられていた。それに耐えられず絶命した人々を弔った地蔵が、ある日突如として2体に増えたというー。この不思議な出来事のうらには、遠い惑星の兄妹たちの存在があった。(「紅の脈絡」)。それぞれが貫いた正義を描く、2つのファンタジー短編小説。
ママには三人の恋人がいるーー。 ママの愛を、世間は「過ち」と呼ぶのかもしれない。 正解がないからーー恋は楽しいのか、つらいのか? 心揺さぶる長編恋愛小説。 高校生の千夏には秘密がある。それは、家に父親はいないのに、母親の伊麻とその3人の恋人たちと暮らしていること。美容オタクでバイセクシャルの亜夫、イタリアンのシェフでいつも落ち着いている到、そして、最近新しく家にやって来た博識な大学院生・氷雨。千夏は三人のことが大好きだけど、複雑な家庭事情を友人にも明かせずにいた。そんな秘密を持つから教室でも目立たないようにしていたのに、ある日クラスで一番の人気者から告白されてーー。同じ頃、伊麻は高校時代の友人絹香と再会していた。子供を産んでも恋愛を楽しむ伊麻の姿を見て、絹香はある決心を固める。