出版社 : 幻冬舎
通称・包丁部、いわゆる料理部の活動拠点である調理実習室には今日も、とっくに引退したはずの3年生、翔平と颯太が入り浸る。引退セレモニーでは、翔平のボリュームたっぷりな二段重ね弁当が振る舞われるのだが…。存続危機に直面する弱小部の男子高校生らが腕を振るう蜂蜜たっぷりマドレーヌやふわふわ肉まんに魅せられる垂涎必至のストーリー。
ロシア・ウラジオストク。日本総領事館に勤める優秀な外交官・雪村隼人が失踪した。調査に乗り出した同じく外交官であり妻の紗羅は、ハニートラップの可能性を追及する中で、隼人が残した謎の「足跡」を発見する。その先にあったのは、日本を含む東アジアの安全保障を根底から揺るがす大いなる陰謀だったー。一気読み必至の傑作謀報小説。
夜の浜辺。刑事の俺は上司の経堂に呼び出され射殺。結婚を間近に控え成仏できず幽霊となった。誰も、恋人すら俺の姿が見えない。霊媒体質の後輩・早川刑事を除いては。彼の力を借り真相を探るうち経堂が密室で殺された。俺を謀殺した黒幕が他にいる! (表題作)他に早川刑事のスピンオフ作「幻の娘」を収録。恋愛と本格ミステリが融合した傑作。
不可抗力の事故で最愛の恋人を失った篠崎百代。彼女は復讐の為に、汐留のショッピングモールで無差別殺人を決意する。触れただけで死に至る最悪の生物兵器“カビ毒”を使い、殺戮をくりかえす百代。苦しみながら斃れていく者、逃げ惑う者、パニックがパニックを呼び、現場は地獄絵図と化すー。過去最大の密室で起こった、史上最凶の殺人劇。
ミステリ作家の西野冴子は、ストーカー扱いされた挙げ句、殺人事件の犯人として逮捕されてしまうが、一切心当たりがない。始まりは、彼女が受け取った一通のファンレター。些細な出来事から悪意を育てた者が十五年の時を経て、冴子を逃げ場のない隘路に追い込んでいく。残酷なほど計算し尽くされた罠に落ちる人間を描くサスペンスミステリ。
クリスマス・イブの夜、残業をしていた飛田旅人のもとに突然動画メッセージが届く。「このままでは死んでしまう。あたしにスズランを届けて」。動画ファイルの作成日付は2826年12月24日。メイと名乗るその少女は何者なのか。なぜスズランが必要なのか。旅人はメイのために、“ある方法”を使って、800年後の未来に旅立つことを決意する。
在宅医療専門看護師のわたしは日々、終末期の患者や家に籠る患者とその家族への対応に追われる。治らないがん、安楽死、人生の終焉……リアルだが、どこか救われる6つの傑作連作医療小説。 Share facebook icon twitter
将棋のプロ棋士への最終難関、奨励会の三段リーグ。十二歳の取海はこの最終戦で親友の相場に辛勝し、最年少プロに。相場は棋界を去るが、二十年後、意外な形で再会する。トップ棋士の取海に立ちはだかる将棋ソフトの制作者が、AI研究で注目を浴びる相場だったのだ。因縁の対決、再び!勝るのは将棋を続けた者の誇りか、捨てた者の意地か?
ライターの原田璃々子は、二十三区のルポを書くため、いわくつきの場所を巡っていた。自殺の名所と呼ばれる団地、怨念渦巻く縁切り神社、心霊写真が撮れた埋立地、事故が多発する刑場跡…。後ろ暗い東京の噂を取材する璃々子だったが、本当の目的は、同行する民俗学講師・島野の秘密を探ることだった。心霊より人の心が怖い、裏東京散歩ミステリ。
新人賞の選考に関わる編集者の刺殺死体が発見された。三人の作家志望者が容疑者に浮上するも捜査は難航。警視庁捜査一課の新人刑事・高千穂明日香の前に現れた助っ人は、人気ミステリ作家刑事技能指導員の毒島真理。冴え渡る推理と鋭い舌鋒で犯人を追い詰めていくが…。人間の業と出版業界の闇が暴かれる、痛快・ノンストップミステリ!
友人の除霊のため高校生の潤が訪れたお祓いコンサルタント事務所。高い料金に驚く潤にスーツにメガネの所長・高橋は「これはビジネスだ」と言い放つ。依頼を断念し霊能番組に出演した潤だが、イケメン霊能者ハルトのミスで霊に憑かれてしまう。ハルトに連れて行かれたのはまたまた高橋の事務所だった。霊と人の謎を解き明かすエンタメミステリ。
身体を求めてくる義父を殺したい女子中学生。所持金2千円、ネカフェ暮らしに絶望する30代男性。社会への愚痴を吐く老人…。砂漠のような毎日を送る全く接点のない5人が、ある瞬間から細い糸で繋がっていく。始まりは女子中学生のネット上の呟きだった。たった一歩踏み出しただけで生活に変化が現れ、遂には5人の人生が劇的に好転していく。
訳ありの顧客を抱えるVIP専門の警備会社・ブラックホークに、新しい依頼が舞い込んだ。警護対象は、警察のトップである警察庁長官。なぜ、身内である警察に頼らないのか。不審に思う最上らメンバーだったが、その直後、長官の執事が殺害される。捜査方針に疑念を抱いた公安の寒川は、独自の調べを進めるうちに、警察内のある組織に辿り着く。
交番連続放火事件、発生。が、犯人の目処は立たず。警察庁の謀報機関アサヒに「犯人は警官で、かつ警察内部で暗躍するスパイ組織」との情報が届き、アサヒはスパイ確保に動き出す。と同時に警察庁長官直轄の秘密警察“図書館”も始動。元警察官僚の著者が放つ、組織の階層の生態と権力闘争を克明に描いた警察小説にして本格ミステリの傑作!
主婦の小浜芳美は、新宿でかつての同級生、一柳貴和子に再会する。中学時代、憧れの男子を奪われた芳美だったが、今は不幸そうな彼女を前に自分の勝利を噛み締めずにはいられない。しかしー。二十年後、ふと盗み見た夫の携帯に貴和子の写真が…。「全部私にちょうだいよ」。あの頃、そう言った女の顔が蘇り、芳美は恐怖と怒りに震える。
鎌倉で起きた殺人事件の容疑者として逮捕された主婦の高村文絵。無実を訴えるが、鍵を握る女性は姿を消していてーー。全ては文絵の虚言か、悪女の企みか? 戦慄の犯罪小説。
鎌倉で小さな文具店を営むかたわら、手紙の代書を請け負う鳩子。今日も風変わりな依頼が舞い込みます。友人への絶縁状、借金のお断り、天国からの手紙……。身近だからこそ伝えられない依頼者の心に寄り添ううち、仲違いしたまま逝ってしまった祖母への想いに気づいていく。大切な人への想い、「ツバキ文具店」があなたに代わってお届けします。
生い立ちも性格も体つきも対照的な女学校の同級生、佐倉玖美と沢井窓子。花嫁に憧れる二人はやがてそれぞれにファッション業界へ身を投じ、戦中から戦後の高度成長期にかけて、この国にブライダルビジネスを根付かせるー。女性の社会進出がまだ珍しい時代、彼女たちはいかに偏見や因習を乗り越えたのか。紆余曲折の足跡を鮮やかに描く感動作!