出版社 : 幻冬舎
小児科医として多忙な日々を送る真希。健太と穏やかな同棲生活を送っていたが、クリスマス間近の澄んだ夜空の下、運命の女性との出会いを果たすー。人を愛することの喜びと尊さを描いた恋愛小説。
好奇心に突き動かされて足を踏み入れた中国で目の当たりにした、権力体制の不正常と憂いに沈んだ日常。理想と現実の間でもがき続けた彼を支えた「滅ばぬ夢」とはー。1967年、青年が訪れたのは文化大革命の続く中国。鬱屈した日常が繰り返されても、現地で働くことへの熱意を失わなかった彼が気づいた「滅ばぬ夢」の存在。40年間の中国の変容を鮮やかに描き出した、胸に突き刺さる社会派小説。
介護される人は、どんな世界を生きているのだろう特養老人ホームの日常にあふれる謎。それは人生の軌跡につながっていたーー『ワンダフル・ライフ』で「読書メーター OF THE YEAR 2021」総合第1位。重度障害者の妻と約30年寄り添う著者が紡ぐ、渾身の連作短編集。笑ったのち、7回泣けます。〈あらすじ〉大森康介は新米介護士。特別養護老人ホーム「まほろば園」で働き始めたものの、便臭にはまだ慣れることができない。しかも認知症の人、言葉が不明瞭な人相手の仕事は毎日が謎解きだ。認知症の登志子さんが一度だけ食欲を取り戻したのはなぜ? 口に麻痺のある當間(とうま)さんが言う暗号「アアイオウエ」の意味は? その答えにたどり着いた康介は、この仕事の面白さにちょっとだけ気づき……。
「すべての愛には、裏がある。」恋愛小説の名手が描く、大人たちの上品で下品な恋愛事情、その一部始終。著書メッセージ:「不倫に嫌悪感を抱いているあなたにも、不倫小説が大好きなあなたにも」だらしない女ときちんとした女。女癖の悪い男と誠実な男。天使と悪魔。結婚と不倫。純愛と情事。あなたは、どっちが好きですか。私はもちろん、だらしない女と、女癖の悪い男と、悪魔と、不倫と、情事です。だって、おもしろいじゃないですか、読むのも書くのも。きちんとした女と誠実な男が結婚したって、つまらない家庭しか築けませんよ。「幸福な家庭はどれも似たようなものだが、不幸な家庭はそれぞれに不幸なものである」と語ったのはトルストイですが、私はこう言いたい。「恋愛を描いた小説はどれも似たようなものだが、情事を描いた小説はそれぞれに不条理で病み付きになる」と。アメリカのテレビドラマシリーズを意識して、毎回ノンストップで読ませるエピソード7つ。今までの小手鞠るいとは、ひと味もふた味も違った悪魔的に優雅な情事小説です。不倫に嫌悪感を抱いているあなたにも、不倫小説が大好きなあなたにも、自信を持っておすすめします。もちろん、恋愛小説が好きなあなたにも、嫌いなあなたにも。
二〇〇〇年春、東京大森に事務所をもつ彦坂一郎のもとに、白鳥和子は現れた。初対面の彦坂に「わたしの遺言の執行人となってほしい」と依頼する和子にその理由を尋ねると、「あなたの名前がとても素敵だから」と言う。特別な名前ではないと不思議に思う彦坂だったがー。和子の死後に明かされる、隠されていた戦争の悲劇と愛。心に響く、現代の名作。後見契約によって結びつけられた天涯孤独の女性と司法書士が奏でる、希望の物語。
舶用機器専業の会社を経営し、日々ソナー開発に奔走する芦原俊夫はある日を境に封印していた過去と向き合うことになる。「自分には似つかわしくない人生を自分は生きている。そういう思いをどのように自分に納得させればいいのか分からない」俊夫の歩んだ道の先にあるものとは果たして…。ひょんなことがキッカケで、自分の中に眠る凶暴な一面に気づいた芦原。人は“定められし運命”から逃れることはできないのだろうかー。苦悩と葛藤を抱えながら、懸命に生きる男の物語。
アメリカ人の父が3歳の時に去り、母子家庭で育ったエリが見つけた天職は料理人。しかし、なぜか卵の殻が割れなくなってしまう。そんな折、結婚を望まない相手との妊娠が発覚し、実母と同じシングルマザーになることを決意。幾多の困難を前に、エリは一人でどうやって生きていくのかー。原因不明の病気をめぐる様々な人間模様と愛の物語。
変化が与えたものは、希望。そして、ひとりで生きる原動力だった。地方企業に勤める凡庸な会社員が紡ぐ、起業に至るまでの生々しくも鮮明な足跡。組織・企業・生物化学・インターネット・経済的要素が不揃いに混じり合う、ニュータイプの社会派小説。
花街で育った賢治は、歳の割にませた少年だった。昭和11年、明治大学の予科に進学した賢治は、広告研究会に所属し、華やかな時代の流れに乗り、広告の研究に情熱を燃やす。卒業後、サークルの機関誌をきっかけに就職した会社は外国向け宣伝誌の制作会社だったが、ある日上海への転勤を命じられる。当時の上海は、“洗練と猥雑”が同居した、まさに“混沌”とした街だった。第二次世界大戦の戦火が激しくなる中、ダンスホールや、バーで出会う人々との交流を通して、「魔都」と称される上海の裏側に、賢治は意図せずして足を踏み入れていくー。激動の時代を生きた若者たちの“熱”を感じる歴史群像劇。
限られた人生の余白を、どう生きていくべきか。戦争・差別・テロ等準備罪…。現代を生きる人々に、戦争を知る最後の世代の著者が届ける自伝的物語。
アルミ鋳物を事業にし海外進出にも力を入れる中、順調に成長を続けていた松葉哲造率いる松葉工業。しかし、突如始まった鹿児島第一銀行の貸し剥がしに合い、倒産の危機を迎えてしまう。「法人を真綿で絞殺」するような金融機関に敢然と立ち向かう、一経営者の物語。
結婚も出産も、売れてから? 「可愛いくなりたいじゃなくて、面白くなりたい欲って、何なのかな」 女芸人たちの切ないまでのリアルを描く、初めての長編小説。 20代なかばのムシナは“芸人としては”美人で背も高くスタイルも悪くない。そのことと、実家暮らしであることが、コンプレックスでもある。 ウケたい気持ちはあるけれど、それほど向上心もない。恋愛は女芸人には邪魔だとわかっていても、男性に求められると応えてしまう。結婚も出産もしたいけど、売れるまではできない、と思っている。ことさらヒエラルキーを強調する女芸人の先輩たちは、解散して結婚したり、B級タレントに転身したり。かと思うと、見た目にインパクトのある後輩芸人が、あっという間にムシナを抜いていく。「サイコメトリング」というオリジナルのネタを手にし、賞レースの3回戦に進んで手応えをおぼえるけれど、その上には行けない。でもなんとなくテレビに出るようになり、イケメン男優からこなをかけられたりして、底辺からは脱出したような気がするけれど、芸人をやめて結婚出産した先輩のことは、素直に祝福できない。 そんな「どっちつかず」なムシナと、ムシナを取り巻く“底辺”の芸人たちの、もどかしくも切ない日々を、残酷なまでの観察力で生々しく描く長編小説。
どこかの誰かが、幸せでありますように。 失恋したばかりの社会人と、元いじめられっこのスパイ。 知らないうちに誰かを助けていたり、誰かに助けられたり……。 ふたりの仕事が交錯する現代版おとぎ話。 付き合っていた彼女に振られた社会人一年生、 どこにも居場所がないいじめられっ子、 いつも謝ってばかりの頼りない上司……。 でも、今、見えていることだけが世界の全てじゃない。 優しさと驚きに満ちたエンターテイメント小説! 猪苗代湖の音楽フェス「オハラ☆ブレイク」でしか手に入らなかった 連作短編がついに書籍化!
抗えぬ運命に絶望する彼に訪れた、唯一愛した女性との再会。次第に惹かれあう2人の時間が、30年の時を経て動きだす。彼女と音楽への閉じ込めてきた愛を取り戻す、純粋な恋物語。
「彼女は無理やりこの国に 連れてこられただけなのだ」 この女性(拉致被害者)を連れて、 日本に亡命するーー。 祖国に絶望した北朝鮮海軍の精鋭達。 45年前、島根の海岸で拉致された日本人女性。 彼らを乗せた潜水艦が辿る壮絶な運命とは? 「お父さん、お母さん……日本に帰りたいよっ」 北朝鮮の陸海空軍による大規模軍事演習。国の威信をかけたこの行事で、桂東月(ケ・ドンウォル)大佐は潜水艦による日本への亡命を決行した。しかも、拉致被害者の女性を連れてーー。だが、そんな彼らを朝鮮人民軍が逃すはずがない。特殊部隊、爆撃機、魚雷艇、対潜ヘリ、コルベット艦、そして……。息つく間もなく送り込まれる殲滅隊の攻撃をくぐり抜け、東月達は日本に辿り着けるか? 極限状況ゆえに生まれる感涙の人間ドラマ。超弩級エンターテインメント!