出版社 : 岩波書店
私は宿命的に放浪者であるー若き日の日記をもとに記された、林芙美子(1903-51)生涯の代表作。舞台は第一次大戦後の東京。地方出身者の「私」は、震災を経て変わりゆく都市の底辺で、貧窮にあえぎ、職を転々としながらも、逆境におしつぶされることなくひたすらに文学に向かってまっすぐに生きる。全三部を収録。
『A・O・バルナブース全集(上)』 はしがき 1 哀れなシャツ屋──短篇小説 2 詩 1 ボルボリグム プロローグ 頌歌 チェントマニ 港の夜 仮面 インド洋 Nevermore . . . 永遠の官能(LʼEterna Voluttà) カオールの旧駅 女中たちの声 アビンドン近く十一月の朝 失われた魂(Alma Perdida) ヤラビ メルス゠エル゠ケビール 詩人の願い 読書の後の音楽 季節はずれのスヘーヴェニンゲン 海(Thalassa) わがミューズ 自我を贈る 日ヲ摘ミトレ……(Carpe diem...) イメージ タッソー夫人の蠟人形館 アタワルパの死 トラファルガー広場、夜 名づけえぬもの 2 ヨーロッパ 3 日記 第一の手帖 第二の手帖
本冊の読みどころ 本冊のおもな登場人物 主要登場人物系図 第八十一回 旺相を占いて 四美 游魚を釣り 厳詞を奉じて 両番 家塾に入る 第八十二回 老学究の講義 頑心を警め 病める瀟湘の痴魂 悪夢に驚く 第八十三回 宮闈に省して 賈元妃 恙に染まり 閨閫を鬧がせて 薛宝釵 声を呑む 第八十四回 文字を試して 宝玉 始めて親を提し 驚風を探ねて 賈環 重ねて怨を結ぶ 第八十五回 賈存周 報ぜられて郎中の任に昇り 薛文起 復た放流の刑を惹く 第八十六回 私賄を受けて 老官 案牘を翻し 閑情を寄せて 淑女 琴書を解く 第八十七回 秋の深きに感じ 琴を撫して往事を悲しみ 禅寂に坐し 火を走らせて邪魔入る 第八十八回 庭歓を博さんとして 宝玉 孤児を賛え 家法を正さんとして 賈珍 悍僕を鞭うつ 第八十九回 人亡く物在り 公子 詞を塡し 蛇影杯弓 顰卿 粒を絶つ 第九十回 綿衣を失いて 貧女 嗷嘈に耐え 果品を送りて 小郎 叵測に驚く 第九十一回 淫心を縦にして 宝蟾 工に計を設け 疑陣を布きて 宝玉 妄りに禅を談ず 第九十二回 女伝を評して 巧姐 賢良を慕い 母珠を玩びて 賈政 聚散を参る 第九十三回 甄家の僕 賈家の門に投靠り 水月庵に 風月の案を掀翻く 第九十四回 海棠に宴して 賈母 花妖を賞で 宝玉を失いて 通霊 奇禍を知る 第九十五回 訛に因りて実を成し 元妃 薨逝し 仮を以て真に混じ 宝玉 瘋癲となる 第九十六回 消息を瞞して 鳳姐 奇謀を設け 機関を泄らして 顰児 本性を迷わす 第九十七回 林黛玉 稿を焚きて痴情を断ち 薛宝釵 閨を出でて大礼を成す 第九十八回 苦しき絳珠 魂は離恨の天に帰り 病める神瑛 涙は相思の地に洒ぐ 第九十九回 官箴を守りて 悪奴 同に例を破り 邸報を閲して 老舅 自ら驚きを担う 第一百回 好事を破りて 香菱 深恨を結び 遠嫁を悲しみて 宝玉 離情に感ず
洋々たるミシシッピーの流れに乗って筏の旅を続ける陽気な浮浪児ハックと逃亡奴隷ジム。辺境時代のアメリカの雄大な自然と活力溢れる社会をバックに、何ものにもとらわれずに生きようとする少年と、必死に自由の境涯を求める黒人の姿をユーモラスに描く。
「本当の人間は妙に纏めにくいものだ。」十九歳の家出青年が巡る、「地獄」の鉱山と自らの心の深みー「虞美人草」と「三四郎」の間に著された、漱石文学の真の問題作。最新の校訂に基づく本文に、新聞連載時の挿絵を収録。
「私の名前はヴィクラム・ラルだ。アフリカでもっとも汚織にまみれた一人、異様かつ卑劣なまでに狡猾な詐欺師として広く知られている」-1963年、ケニア独立。そこには、西洋とアフリカ、支配と革命、無垢な友情と政治汚織の「狭間」を生き抜く、ひとりの男の生があった。ポストコロニアル文学の新境地を切り拓き、カナダの代表的文学賞・ギラー賞に2度輝いたヴァッサンジ、待望の本邦初訳。
マンハッタンに住む四十代の夫婦ピーターとレベッカ。ある日、ドラッグ中毒者である妻の弟ミジーとの同居が始まり、若さと愚かさの放つ強烈な輝きにピーターは憑りつかれてしまう。色褪せ始める夫婦の「そこそこの幸せ」。人生に夜の帳がおりようとする時、彼がとった選択とは?美と幻滅、倦怠と幸福をめぐる珠玉のストーリー。
モンテ・クリスト伯の仇敵たちが彼の正体を知るときは、すなわち身の破滅のときである。仕組まれた復讐の第一は、メルセデスの家出とモルセール伯の自殺で終わる。ヴィルフォールは肉親の相次ぐ毒殺に遭い、ダングラールは破産寸前まで追いつめられる。
人間はからだを責めて働かな嘘やー不屈の精神で孫娘を育てあげる男の明治から昭和にわたる波瀾の生涯を描いた「わが町」。自意識過剰で不器用な青年の成長の日々を点綴した自伝的小説「青春の逆説」。織田作之助(一九一三ー四七)の代表的長篇二篇。
祖母の旧友ヴィルパリジ夫人のサロンで、「私」はゲルマント公爵夫人とついに同席。芸術、噂話、ドレフュス事件など、社交界の会話の優雅な空疎さを知る。家では祖母の体調が悪化。母、医師、女中に見守られ、死は「祖母をうら若い乙女のすがたで横たえる」。
今や皇帝の貴妃となっ元春の里帰りのために、贅の限りを尽くして造営された「大観園」。豪奢の限りを尽くしたこの園に宝玉と少女たちはやがて移り住むが、華やかで幸福な日々の中、なぜか少女たちは悲惨な未来を暗示する謎々を作る──。繊細な美少女・林黛玉の魅力も遺憾なく発揮される、注目の第2冊! 本冊の読みどころ 本冊のおもな登場人物 主要登場人物系図 第十七・十八回 大観園に才を試みて対額を題し 栄国府に帰省して元宵を慶ぐ 第十九回 情は切切として 良ろしき宵に花は語を解し 意は綿綿として 静かなる日に玉は香を生ず 第二十回 王熙鳳 正言もて妬意を弾き 林黛玉 俏語もて嬌音を謔う 第二十一回 賢き襲人 嬌嗔もて宝玉を箴め 俏き平児 軟語もて賈レンを救う 第二十二回 曲文を聴きて宝玉 禅機を悟り 灯謎を製りて賈政 讖語を悲しむ 第二十三回 西廂記の妙詞 戯語に通じ 牡丹亭の艶曲 芳心を警む 第二十四回 酔金剛 財を軽んじて義俠を尚び 痴女児 帕を遺れて相思を惹く 第二十五回 魘魔の法 姉弟 五鬼に逢い 紅楼の夢 通霊 双真に遇う 第二十六回 蜂腰橋に 言を設けて 心事を伝え 瀟湘館に 春に困しみて 幽情を発す 第二十七回 滴翠亭に 楊妃 彩蝶に戯れ 埋香塚に 飛燕 残紅に泣く 第二十八回 蔣玉菡 情もて茜香の羅を贈り 薛宝釵 羞じて紅麝の串を籠む 第二十九回 享福の人 福深きに還た福を禱り 痴神の女 情重きに兪いよ情を斟む 第三十回 宝釵 扇を借りて 機は双敲を帯び 齢官 薔を劃して 痴は局外に及ぶ 第三十一回 扇子を撕きて 千金一笑を作し 麒麟に因りて 白首双星を伏す
不屈の意志と教養に加えて底知れぬ財宝をもつモンテ・クリスト伯は、人々の賞賛と感嘆をよそに冷やかにすべてを予見し、巧みな変装を用いて計画を着実に進めてゆく。仇敵ダングラール、モルセール、ヴィルフォール三家の運命は彼の掌中に握られている。
第21章 第22章 第23章 第24章 第25章 第26章 第27章 第28章 第29章 第30章 第31章 第32章 第33章 第34章 第35章 第36章 第37章 第38章 解 説
モンテ・クリスト伯の三人の仇敵、ヴィルフォール、ダングラール、フェルナンは、いまやパリの社交界に出入りする貴族である。しかし地位と富におごる彼らの身辺には、いつしか伯爵の復讐の手がしのび寄る。波瀾に富む壮大な復讐の物語。
第1章 第2章 第3章 第4章 第5章 第6章 第7章 第8章 第9章 第10章 第11章 第12章 第13章 第14章 第15章 第16章 第17章 第18章 第19章 第20章
謎の人物モンテ・クリスト伯となったかつての青年ダンテスが、いまはモルセール夫人となっている昔の恋人メルセデスの子息アルベールとローマで親交をむすび、パリでついにメルセデスと対面する。新しい読者を絶えず獲得してきた不朽の名著、第三冊。
地図1 ハマスミスから大英博物館への道 地図2 テムズ川をさかのぼる 第一章 議論とベッド 第二章 朝の水浴 第三章 ゲストハウスとそこでの朝食 第四章 途中の市場 第五章 路上の子どもたち 第六章 買い物を少々 第七章 トラファルガー広場 第八章 一人の年老いた友 第九章 恋愛について 第十章 質疑応答 第十一章 政府について 第十二章 くらしのとりきめについて 第十三章 政治について 第十四章 事はどのように処理されているか 第十五章 コミュニズム社会には労働意欲をうながすものが欠けているか 第十六章 ブルームズベリー市場のホールでの午餐 第十七章 変化のいきさつ 第十八章 新しいくらしのはじまり 第十九章 ハマスミスまでの帰り道 第二十章 ハマスミス・ゲストハウスふたたび 第二十一章 テムズ川をさかのぼる 第二十二章 ハンプトン・コートと過去の賛美者 第二十三章 ラニミードの早朝 第二十四章 テムズ川をさかのぼる──二日目 第二十五章 テムズ川の三日目 第二十六章 頑固な拒絶者たち 第二十七章 上 流 第二十八章 小さな川 第二十九章 テムズ川上流の休息所 第三十章 旅の終わり 第三十一章 新しい人たちのなかの一軒の古家 第三十二章 宴のはじまり──終わりに 訳者解説──未だない〈どこにもない場所〉からのしらせ ウィリアム・モリス略年譜 訳 注
『蜻蛉日記』は、大政治家の藤原兼家の妻として、波瀾に富んだ生涯を送った道綱母が、その半生を書き綴った王朝女流文学の代表作。結婚生活の苦しみ、夫兼家とその愛人たちへの愛憎の情念が、流麗にして写実的な筆致で描かれる。作品中の和歌は、一段の精彩を放っている。韻文と散文が互いに交響することで、物語に独特の陰翳を与えている。室生犀星の味わい深い現代語訳により、日本古典文学の豊穣な世界に、現代の読者を誘う。