出版社 : 岩波書店
遺伝子操作で新しい生物が次々に作られ、食べ物は合成物ばかり。人々は巨大企業のエリートと平民に二分されている。人工世界に異議を唱えるエコロジカル宗教団体「神の庭師たち」と、その中で暮らす孤独な女性トビーと少女レン。突然、新型ウイルスが襲ってきて地上は廃墟となってしまう。偶然生き残ったトビーとレンの運命は?圧倒的な構想力と息もつかせぬストーリー展開で読ませる近未来小説。「マッドアダムの物語」三部作の第二作、待望の邦訳。
明治十年一月末、西郷隆盛を担ぎ鹿児島・私学校の生徒たちが蜂起した。西南戦争の始まりである。新政府に不満をもつ士族らの大規模な反乱は、八カ月後の西郷の死まで、日々新聞で報じられた。それらを絵入り読み物としてまとめ直したのが本書である。小林清親の挿絵とともに、西郷らと官軍との対峙を生きいきと伝える。
殺人事件で犯人とされた美女は事件を主導した「魔性の女」だったのか、それとも歴史に翻弄された犠牲者だったのか。一九世紀カナダで起き、当時世界中で話題となった殺人事件の記録を素材に、巧みな心理描写を織りこみながら、ミステリー仕立てに、人間存在の根源を鋭く問いかける。ノーベル文学賞候補ともいわれるカナダの女性作家、マーガレット・アトウッドの傑作。
殺人事件で犯人とされた美女は事件を主導した「魔性の女」だったのか、それとも歴史に翻弄された犠牲者だったのか。一九世紀カナダで起き、当時世界中で話題となった殺人事件の記録を素材に、巧みな心理描写を織りこみながら、ミステリー仕立てに、人間存在の根源を鋭く問いかける。ノーベル文学賞候補ともいわれるカナダの女性作家、マーガレット・アトウッドの傑作。
高校生の「僕」は、刑事の叔父さんとディケンズの小説『骨董屋』を原文で読み進めていくうちに、まるでそのストーリーが反映するかのように、とてつもない事件に巻きこまれてしまう。-人間の悪とは、罪とは何か。そしてそれをのり越える「ゆるし」「癒し」とは何か。
瀬戸内の一寒村に赴任した若い女性教師と十二人の生徒の、昭和初期から戦後までの二十数年にわたるふれあいの物語。子供たちを育み守ろうとする先生と、時代の引き起こすきびしさと貧しさに翻弄されながら懸命に生きる子供たち。戦争への怒りと悲しみが訴えかけられる。日本人に読み継がれる壺井栄(1899-1967)の名作。
アルベルチーヌの突然の出奔、続く事故死の報。なぜ出ていったのか、女たちを愛したからか?疑惑と後悔に悶える「私」は「真実」を暴こうと狂奔する。苦痛が無関心に変わるころ、初恋のジルベルトに再会し、その境遇の変転と念願のヴェネツィア旅行に深い感慨を覚える。
昭和の初め、人文地理学の研究者、秋野は南九州の遅島へ赴く。かつて修験道の霊山があったその島は、豊かで変化に富んだ自然の中に、無残にかき消された人びとの祈りの跡を抱いて、彼の心を捉えて離さない。そして、地図に残された「海うそ」ということば…。五十年後、再び遅島を訪れた秋野が見たものはー。
文学を志しながらも、家庭貧しく代用教員として人生を歩み始めた青年清三。同級生の学生生活や恋の話は遠い世界となり、田舎教師として埋没しゆく煩悶を日記に記す。世間が日露戦争の勝利に沸くなか病没した実在の青年の日記を元に、北関東の風物を織り交ぜ描く、自然主義文学の代表的作品。改版。
「思わず彼は拾い上げた桜の実を嗅いでみて、おとぎ話の情調を味わった。それを若い日の幸福のしるしというふうに想像してみた」-。藤村(1872-1943)の文学への情熱、教え子へのかなわぬ恋を投影した青春の自画像。同じく自伝的小説である『春』『新生』の、少年期から青年期を描く。改版。
「あなたお名前は?」記憶喪失から自分を取り戻すことはできるのか。取り戻したとしてそれは本当に自分なのか。エーコの赤裸々な妄想と姿態が晒される衝撃の超・小説。戦中戦後のイタリア文化史を回顧するかのように図版を満載した異色の本であり、また、著者初めてといえる自伝的語りと展開は幾通りにも読み解きをうながし、読む者は謎に絡め取られる。エーコ畢生の神秘の技法、ここに大団円を迎える!
記憶は人間にとって最高の解決策というべきもので、時間は人間に対して流れ、流れた時間が過去になる。ぼくははじまりというものの驚異を堪能したー。記憶喪失のヤンボにあらゆる断片がまとわりつく…霧、霧、霧、コーヒー、あのメロディ、本、そして麗しのシビッラ!霧に隠されてしまった「流れた時間」を奪取すべく、彼は子ども時代を過ごした田舎の家の屋根裏に潜入する。驚嘆すべき女王ロアーナとの邂逅、ヤンボは帰還できるのか?
『三国志演義』は乱世を生き抜く智恵の言葉の宝庫。波瀾万丈の物語にちりばめられた名言・名句を一六〇項目選び出し、本文(原文・読み下し文・現代語訳)を掲げ、解説を付す。本文の調子の高さ、響きの楽しさに、思わず声に出して読みたくなる!三国志ファン必携、三国志初心者も楽しめる一冊。情景を彷彿させる挿絵も多数おさめる。
空気のない兵隊のところには、季節がどうしてめぐってくることがあろうー条文と柵とに縛られた兵営での日常生活は人を人でなくし、一人一人を兵隊へと変えてゆく…。人間の暴力性を徹底して引き出そうとする軍隊の本質を突き、軍国主義に一石を投じた野間宏(1915-91)の意欲作。改版。
凡 例 第三巻のあらすじ 主な登場人物 地 図 第五十章 エスターの物語 第五十一章 とけた謎 第五十二章 頑固者 第五十三章 捜 査 第五十四章 爆 裂 第五十五章 逃避行 第五十六章 追 跡 第五十七章 エスターの物語 第五十八章 冬の日の昼と夜 第五十九章 エスターの物語 第六十章 見とおし 第六十一章 はじめてわかったこと 第六十二章 もう一つわかったこと 第六十三章 鋼と鉄 第六十四章 エスターの物語 第六十五章 もう一度世の中に出る 第六十六章 リンカーンシャーにて 第六十七章 エスターの物語のおわり 一八五三年版序文 解 説 【全巻構成】 (一)第一〜十六章 (二)第十七〜三十二章 (三)第三十三〜四十九章 (四)第五十〜六十七章
作家デビュー以前のリンドグレーンが書いた六年に及ぶ「戦争日記」。日記帳には、新聞や雑誌の切り抜きが貼りつけられ、戦争中立国スウェーデンに暮らす三〇代の二児の母親が見つけ続けたリアルタイムの第二次世界大戦と、家族の日常が綴られているー何が起きているのかを知り、考えるために。そして誕生したのが、『長くつ下のピッピ』だった。リンドグレーンの原点であり、歴史ドキュメントとしても貴重な日記の全文を初公開。
「公平?人と人との関係に、公平なんて二文字はもともとありえないわ。」逃れえぬ想いの先に、彼女たちは何を見たのか。家族制度と自由恋愛。経済と感情。せめぎあう愛のかたちと、そのゆくえ。日本占領下の上海に彗星のように現れ、今なお世代を超え、中華圏で熱狂的に読み継がれている張愛玲。本邦未訳の三作品からなる短篇選。
凡 例 第二巻のあらすじ 主な登場人物 地 図 第三十三章 侵入者たち 第三十四章 締め上げ 第三十五章 エスターの物語 第三十六章 チェズニー・ウォルド 第三十七章 ジャーンダイス対ジャーンダイス 第三十八章 胸中の葛藤 第三十九章 弁護士と依頼人 第四十章 お国とお家 第四十一章 タルキングホーン氏の部屋にて 第四十二章 タルキングホーン氏の事務所にて 第四十三章 エスターの物語 第四十四章 手紙とその返事 第四十五章 友を託す 第四十六章 その子を止めて! 第四十七章 ジョーの遺言 第四十八章 近づく最期 第四十九章 義務感に満ちた友情 【全巻構成】 (一)第一〜十六章 (二)第十七〜三十二章 (三)第三十三〜四十九章 (四)第五十〜六十七章