出版社 : 岩波書店
三蔵の凶星はいまだ消えず。鎮海禅林寺でわずらいつくと、すっかり気弱になり、唐の天子に遺言を書く始末。またも弟子たちに手をひかれ、ようようたどりついた先は滅法国。そこでは和尚1万人を殺すという国王の願掛けが、あと4人でめでたく満願になるところ。一行は頭巾であたまをつつみ、長持にもぐりこむ。改版。(全10冊) 第八十一回鎮海寺にて心猿 怪を知ること黒松林にて三衆 師を探すこと 第八十二回女怪 陽を狙うこと三蔵 道を護ること 第八十三回心猿 丹頭を識りたること姹女 本性に還りたること 第八十四回祈禱は滅し難く大覚を円すること法王は正を成し天然を体すること 第八十五回心猿 木母に妬きもち焼くこと妖王 三蔵を吞まんと計ること 第八十六回木母 威を助けて怪物を証すこと金公 法を施して妖邪を滅すこと 第八十七回鳳仙郡 天を冒して雨を止めること孫大聖 善を勧めて霖を降らすこと 第八十八回三蔵 玉華に到り法会を施すこと心猿 木母と共に門人を導くこと 第八十九回黄獅の怪 虚しく釘鈀宴を設けること金木と土 計りて豹頭山を鬧がすこと 第九十回師と獅 授受するは同一に帰すること道と禅 纏繞により九霊を鎮めること 訳 注
千里を行くものは九九九里をもって半ばとす、とて、ようよう西方み仏の地に足を踏み入れた一行、平穏無事の旅はまことに極楽の地を行くごとし。どっこい、苦難の旅の終りも間近、大天竺国にて国をあげて賑やかなその日、婿選びの綉球投げにて三蔵を狙うのは、取経の聖僧を待ち受ける、国王のにせ公主であった。(全10冊完結) 第九十一回金平府にて元宵 観灯すること玄英洞にて唐僧 白状すること 第九十二回三僧 青龍山にて大いに戦うこと四星 犀牛怪をば挾んで捕ること 第九十三回給孤園にて古を問い因を談ること天竺国にて王に朝し偶に遇うこと 第九十四回四僧 宴して御苑に遊ぶこと一怪 空しく情欲を懐くこと 第九十五回玉兎 形骸を仮り捕縛されること真陰 霊元に会し帰正いたすこと 第九十六回寇員外 高僧を待すこと唐長老 挽留を辞すこと 第九十七回金 外護に報いて魔毒に遭うこと聖 幽魂を顕わし本原を救うこと 第九十八回猿馬が馴れてこそ殻を脱すること功行が満ちたれば真に見ゆること 第九十九回九九の数完うし魔は尽く滅ぶこと三三の行満ちて道は根に帰すこと 第 百 回東土へ径ぐ回ること五聖は真と成ること 解 説 訳 注
火焔山の炎を収め,祭賽国を乱す妖怪を捕えた一行の行く手を次に遮るは荊棘嶺.弟子どもはいばらの道をかきわけ,夜を日に継いで師匠を導く.またも日が暮れる頃,馬を降りた三蔵を一陣の妖風がさらう.改版.全10冊. 第七十一回行者 名を仮りて怪物を降すこと観音 像を現じて妖王を伏すこと 第七十二回盤糸洞にて七情 本を迷わすこと濯垢泉にて八戒 形を忘れること 第七十三回旧恨に因りて再び災毒を生むこと妖魔に遇えど幸い金光を破ること 第七十四回李長庚 魔物の酷さを伝えること孫行者 変化の術をば振るうこと 第七十五回心猿 陰陽の竅を鑽ち透すこと魔王 大道の真に還り帰すこと 第七十六回心神 腹中にて魔を性に帰せしめること木母 相連れて怪に真を体せしめること 第七十七回群魔 本性を欺くこと一体 如来を拝すこと 第七十八回比丘国にて子を憐れみ陰神を遣わすこと金鑾殿にて魔を識って道徳を談ずること 第七十九回洞を尋ねて妖を求め寿星に逢うこと朝に当って主を正し嬰児を救うこと 第八十回姹女 陽を育てて配偶を求めること心猿 主を護って妖邪を識けること 訳 注
凶多くして吉少ない道中,一行は澄みきった,とある小川にたどりつく.三蔵と八戒がその水を口に含むと,なんたることか,2人のおポンポンが見事に脹らむ.これこそ西梁女人国の子母河,一口飲めば子を宿すという.改版.(全10冊) 第五十一回心猿の千般の計すら空しいこと水火の降魔の術さえ功ないこと 第五十二回悟空 金扢の洞窟をおおいに鬧がすこと如来 妖怪の正体をひそかに告げること 第五十三回禅主 河水を飲んで懐妊すること黄婆 聖泉を運んで堕胎すること 第五十四回法身 西来して女国に逢かること心猿 計略にて脂粉を脱すること 第五十五回淫らな女怪 三蔵に戯れること清らな唐僧 純潔を持すること 第五十六回怒りのために山賊を誅伐すること昧きがゆえに心猿を追放すること 第五十七回真の悟空 落伽山にて哀哭すること仮の猴王 水簾洞をば占拠すること 第五十八回二心 偏く乾坤を攪き乱すこと一体 真の寂滅を修め難きこと 第五十九回唐三蔵 火焰山に阻まれること孫行者 芭蕉扇を奪いとること 第六十回牛魔王 のんびり大宴会に赴くこと孫悟空 ふたたび芭蕉扇を奪うこと 訳 注
第四十一回心猿 火難に遭かること木母 魔怪に擒まること 第四十二回大聖こころこめ南海を拝すこと観音なさけもて紅孩を縛ること 第四十三回黒河の妖孽 三蔵を拐って去ること西海の龍子 鼉龍を捉えて回ること 第四十四回三蔵 車を曳く僧に逢うこと悟空 真の気は体を運ること 第四十五回三清観に大聖 名を留めること車遅国に猴王 法を顕わすこと 第四十六回外道 下策を弄して正法を欺むくこと心猿 聖性を現じて妖邪を滅ぼすこと 第四十七回聖 僧 通天河で行手を阻止されること金木小童等を救出し身替になること 第四十八回妖魔 寒風をば弄び大雪を飄すこと聖僧 拝仏のみ念じ層氷を履むこと 第四十九回三蔵 災禍に遭い水宅に沈むこと観音 危難を救い魚籃を示すこと 第五十回欲望に捉われ性情が乱れること精神が眩んで悪魔に遭かること 訳 注
第二十一回護法伽藍 荘居を設けて大聖を留めること霊吉菩薩 飛龍を投じて風魔を定めること 第二十二回八戒 浪を踏み流沙河に戦うこと木叉 法を奉じ沙悟浄を降すこと 第二十三回三蔵 根本を忘れぬこと四聖 禅心を試みること 第二十四回万寿山にて大仙 故友を留めること五荘観にて行者 人参を窃ねること 第二十五回鎮元仙 取経僧をば追捕すること孫行者 五荘観にて大鬧すること 第二十六回孫悟空 三島にて方を求めること観世音 甘泉もて樹を活かすこと 第二十七回屍魔 三たび唐三蔵を戯うこと聖僧 恨んで美猴王を逐ること 第二十八回花果山にて群猴 山洞を再興すること黒松林にて三蔵 魔怪に遭遇すること 第二十九回難を脱して江流 宝象国に至ること恩を承けて八戒 波月洞に転ること 第三十回邪魔 正法を侵すこと意馬 心猿を憶うこと 訳 注
第三十一回猪八戒 義もて猴王を煽ること孫行者 智もて妖怪を降すこと 第三十二回平頂山にて功曹 便りを伝うること蓮花洞にて木母 災いに逢いしこと 第三十三回外道 真の性に迷れること元神 本の心を助けること 第三十四回魔王 巧算にて心猿を困しめること大聖 交換えて宝貝を騙しとること 第三十五回外道 威もて正義を欺むくこと心猿 宝にて邪魔を伏すること 第三十六回心猿 正しく処せば僧侶の伏すること傍門 劈って破れば月明の見えること 第三十七回幽鬼王 夜半に三蔵に謁すること孫悟空 変化し嬰児を引かすこと 第三十八回嬰児 母御に問いて贋王を知ること金木 水中に赴いて真物を見ること 第三十九回金丹を一粒だけ天上にて貰受くること国王は三年ぶり世間にて再生すること 第四十回嬰児の戯化により禅心が乱れること猿馬と刀圭および木母が空しいこと 訳 注
ソ連戦車隊が国境線を超えた。迎え撃つ日本軍部隊は壊滅。梶は辛うじて戦場を離脱、満洲の曠野を美千子をめざして逃避行を続ける。捕虜になるが脱走、彷徨する梶の上に雪は無心に舞い降りる。美千子よ、あとのなん百キロかを守ってくれ、祈ってくれ…非人間的世界を人間的に生きようと苦悩し、闘った男と女の波乱万丈の物語、三千枚ここに完結。
第十一回再生を得て唐王 善果に遵うこと孤鬼を度い蕭瑀 空門を正すこと 第十二回玄奘 誠を秉って大会を建くこと観音 象を顕わし金蟬を化すこと 第十三回虎穴の難にて金星 厄を解くこと双叉の嶺にて伯欽 僧を留ること 第十四回心猿 正に帰すこと六賊 踪も無きこと 第十五回蛇盤山にて諸神 暗に佑けること鷹愁澗にて意馬 韁を収めること 第十六回観音院の僧 宝貝を謀取すること黒風山の怪 袈裟を窃掠すること 第十七回孫行者 黒風の山にて大鬧すること観世音 熊羆の怪をば収伏せること 第十八回観音院にて唐僧 難より脱出すること高老荘にて行者 魔をば退治すること 第十九回雲桟洞にて悟空 八戒を収めること浮屠山にて玄奘 心経を受けること 第二十回黄風の嶺にて唐僧に難が降ること山中の半にて八戒が先を争うこと 訳 注
人を疑うことを知らぬ純真な若者カンディード。楽園のような故郷を追放され、苦難と災厄に満ちた社会へ放り出された彼がついに見つけた真理とは…。当時の社会・思想への痛烈な批判を、主人公の過酷な運命に託した啓蒙思想の巨人ヴォルテール(1694-1778)の代表作。作者の世界観の変遷を跡づける5篇のコントを併収。新訳。
中国人労務者斬首に抵抗した梶は憲兵隊に捕われ、召集免除の特典を取り消された。軍隊内の過酷な秩序、初年兵に対する一方的な暴力、短い病院生活を経て梶はソ連国境に転戦。蛸壺に立てこもる日本兵にソ連戦車隊の轟音が迫る…消耗品として最前線に棄てられてなお人間であることの意味を問う戦後文学の巨編愈々佳境へ。
訳者まえがき 第 一 回霊根を孕み源流が出ずること心性を持し大道が生じること 第 二 回妙理を悟り菩提を得たること妖魔を断ち元神に合すること 第 三 回四海も千山も手を拱き伏すこと冥界で十類の名を尽く除くこと 第 四 回弼馬の官など面白からぬこと斉天の名にも満足できぬこと 第 五 回大聖 蟠桃を乱し丹を偸ねること諸神 天宮に反く怪を捉えること 第 六 回観音 会に赴いて原因を問うこと小聖 威を施して大聖を降すこと 第 七 回八卦炉の中より大聖が逃れること五行山の下にて心猿を鎮めること 第 八 回仏陀 経典を造り極楽を伝えること観音 聖旨を奉じ長安に来たること 第 九 回袁守誠 算は妙なるも私心は無きこと老龍王 計は拙にして天条を犯すこと 第 十 回二将軍 宮門にて鬼を鎮ること唐太宗 地府より魂が還ること 訳 注
珍しく棉のような雪が静かに舞い降りる宵闇、一九四三年の満洲で梶と美千子の愛の物語がはじまる。植民地に生きる日本知識人の苦悶、良心と恐怖の葛藤、軍隊での暴力と屈辱、すべての愛と希望を濁流のように押し流す戦争…「魂の底揺れする迫力」と評された戦後文学の記念碑的傑作。
「モモからは時間が盗めない」ことと、モモの「話に耳をかたむける能力」とは何か関係があるのか? 『はてしない物語』の「汝の欲することを、なせ」は何を言おうとしているのか?^Kエンデの人生、創作、思索の旅路を、友人でもあった著者が、作品および関連の著作、知人へのインタビュー、そしてエンデが遺した言葉とともに多角的、魅力的に描きだす。
スコットランドの孤島の別荘。哲学者ラムジー氏の妻と末息子は、闇夜に神秘的に明滅する灯台への旅を夢に描き、若い女性画家はそんな母子の姿をキャンバスに捉えようとするのだがー第一次大戦を背景に、微妙な意識の交錯と澄明なリリシズムを湛えた文体によって繊細に織り上げられた、去りゆく時代への清冽なレクイエム。
第九〇章 頭か尾か 第九一章 ピークオッド号、バラのつぼみ号にあう 第九二章 竜涎香 第九三章 見捨てられし者 第九四章 手をにぎろう 第九五章 法 衣 第九六章 製油かまど 第九七章 ランプ 第九八章 収納と清掃 第九九章 ダブロン金貨 第一〇〇章 脚と腕──ナンターケットのピークオッド号、ロンドンのサミュエル・エンダビー号にあう 第一〇一章 デカンター 第一〇二章 アルサシードのあずまや 第一〇三章 鯨の骸骨の計測 第一〇四章 化石鯨 第一〇五章 鯨の大きさは縮小するか?──鯨は絶滅するか? 第一〇六章 エイハブの脚 第一〇七章 大 工 第一〇八章 エイハブと大工 第一〇九章 船長室のエイハブとスターバック 第一一〇章 棺桶のなかのクイークェグ 第一一一章 太平洋 第一一二章 鍛冶屋 第一一三章 ふいご 第一一四章 めっき師 第一一五章 ピークオッド号、バチェラー号にあう 第一一六章 死にゆく鯨 第一一七章 鯨 番 第一一八章 四分儀 第一一九章 ロウソク 第一二〇章 甲板、第一夜直もおわるころ 第一二一章 深 夜──船首の舷 牆 第一二二章 深夜の檣頭──雷鳴と稲妻 第一二三章 マスケット銃 第一二四章 羅 針 第一二五章 紐つき測程器 第一二六章 救命ブイ 第一二七章 甲 板 第一二八章 ピークオッド号、レイチェル号にあう 第一二九章 船長室 第一三〇章 帽 子 第一三一章 ピークオッド号、デライト号にあう 第一三二章 交響楽 第一三三章 追跡──第一日 第一三四章 追跡──第二日 第一三五章 追跡──第三日 解 説 メルヴィル略年譜 訳 注
真面目で優秀だが内気な文三と、教育ある美しいお勢は周囲も認める仲。しかし文三の免職によって事態は急変、お勢の心も世知に長けた昇へと傾いてゆく。明治文明社会に生きる人々の心理と生態を言文一致体によって細緻に描写し、近代文学に計りしれない影響を与えた二葉亭四迷(1864-1909)の記念碑的作品。
〈モービィ・ディック〉との遭遇をまえにして、さまざまな国籍の多岐にわたる人種をのせた、アメリカを象徴するような捕鯨船〈ピークオッド号〉の航海はつづく。ほかの船との〈出あい〉を織りまぜながら、鯨と捕鯨に関する〈百科全書的〉な博識が、倦むことなく、衒学的なまでに次から次へと開陳されていく。新訳。(全3冊) 第四二章 鯨の白さ 第四三章 聞 け! 第四四章 海 図 第四五章 宣誓供述書 第四六章 憶 測 第四七章 マットづくり 第四八章 最初のボートおろし 第四九章 ハイエナ 第五〇章 エイハブのボートとその乗組み──フェダラー 第五一章 潮吹きの霊 第五二章 アルバトロス号 第五三章 出あい 第五四章 タウン・ホー号の物語 第五五章 怪異なる鯨の絵について 第五六章 より誤謬すくなき鯨の絵、および真正なる捕鯨図について 第五七章 油絵に、歯に、木板に、鉄板に、石に、山に、星座にえがかれた鯨について 第五八章 オキアミ 第五九章 ダイオウイカ 第六〇章 綱 第六一章 スタッブ、鯨をあげる 第六二章 銛を打つ 第六三章 クロッチ 第六四章 スタッブの夜食 第六五章 美食としての鯨肉 第六六章 サメの虐殺 第六七章 脂身切り 第六八章 毛 布 第六九章 葬 式 第七〇章 スフィンクス 第七一章 ジェロボーム号の物語 第七二章 モンキー・ロープ 第七三章 スタッブとフラスクがセミ鯨をしとめ、つづいて、それについて語る 第七四章 マッコウ鯨の頭──比較対照的考察 第七五章 セミ鯨の頭──比較対照的考察 第七六章 破城槌 第七七章 ハイデルベルクの大酒樽 第七八章 水槽とバケツ 第七九章 大草原 第八〇章 あたま 第八一章 ピークオッド号、処女号にあう 第八二章 捕鯨の名誉と栄光 第八三章 ヨナにまつわる歴史的考察 第八四章 槍の遠投げ 第八五章 泉 第八六章 尾 第八七章 無敵艦隊 第八八章 学校と学校の教師たち 第八九章 「しとめ鯨」と「はなれ鯨」 訳 注