出版社 : 実業之日本社
太宰と同じ津軽出身の大学生・谷明人は自然を破壊する全存在を敵と見なし、過激な環境テロ活動に走った。第一の犠牲者は青森の黄金崎不老ふ死温泉で発見される。大企業を経営する彼の実父・重則だった。さらに明人は、戦慄の首都圏テロを予告。だがその裏で、太宰治ファンの美少女が相次いで失踪。両者を結ぶ驚愕の真相は!志垣警部は犯人の陰謀を見抜けるか?警視庁温泉殺人課File25。
戦後無頼派の代表的作家・織田作之助の代表作と、酒にまつわる小説・エッセイ等を多数収録したオリジナル作品集。デビュー作にしてすでに成熟した筆致が文壇を驚かせた「夫婦善哉」ほか、「アド・バルーン」「競馬」「世相」など大阪の風俗と庶民の喜怒哀楽を活写した小説や、死の直前に書かれた「怖るべき女」「可能性の文学」まで、織田文学の真髄に触れる一冊。
戦後無頼派の代表的作家・坂口安吾の代表作と、酒にまつわる小説・エッセイ等を多数収録したオリジナル作品集。戦後の文壇に新風を吹き込んだ「堕落論」などのエッセイはじめ、「白痴」「桜の森の満開の下」などの代表的小説、GHQの検閲により削除された幻のエッセイ「特攻隊に捧ぐ」、安吾、太宰、織田作が女について奔放に語る鼎談「歓楽極まりて哀情多し」収録。
戦後無頼派の代表的作家・太宰治の名作と、酒にまつわる小説・エッセイを多数収録したオリジナル作品集。「桜桃」「ヴィヨンの妻」「東京八景」などの代表作から、太宰、坂口安吾、織田作之助の三人が初めて一堂に会した「現代小説を語る座談会」まで。酔っぱらい同士の放談で意気投合した三人は、その後銀座のバー「ルパン」へ繰り出して…ファン必読の一冊。
カタログ雑誌の編集長をしている椎名紗智に、京都の嵯峨水尾で開かれる「女流民俗学研究者の集い」への招待状が来た。ところが、現地へおもむくと会は中止になっており、会場には京都のバーのママ平瀬玻奈子と、人形作家瑠璃川凌の二人だけがいた。三人には、過去に巻き込まれた事件を宮之原警部に解決してもらっていた、という共通点があった。しかも、招待状の差出人は、手紙の発送される以前に殺されていたのだった…。
二十五歳の営業マン清水和也は、携帯のない暮らしなど考えられない完璧な携帯依存症。その彼が、携帯電話を忌み嫌う携帯恐怖症の六人の女と知り合った。彼女たちは、いずれも携帯にまつわる心のトラウマを抱えており、そのうちのひとりが、和也にショッキングな心霊現象を見せつけたうえで重大な警告を発する。「携帯フォビアの誰かがあなたを殺します」と…。やがてその警告は真実となった!犯人は誰?そして殺人の動機は。
奈良・東大寺二月堂のお水取りの夜、見物にきていた香坂季代は、見知らぬチョビ髭の男から風呂敷包みを渡された。その包みを友人の柳田由美に預けたのだが、やがて由美は遺体で発見されることに。続いて、季代に包みを渡したチョビ髭の男も、近江を走る特急列車の中で殺された。風呂敷包みには何が入っていたのか?持っていた由美はなぜ殺されたのか?不審を抱いた季代は、宮之原警部とともに謎の解明に奔走する-。
日本人作家・彦坂和彦のところへ、ロシアの女性・カチューシャから電話がかかってきた。彦坂は、彼女がかつて日本に留学していたとき身元保証人になっていたのだった。「脅迫されている父をヨーロッパへ亡命させたい」とカチューシャは言った。政府を批判するジャーナリストたちが、ロシアでは何人も暗殺されていた。カチューシャの父親を助けるために、彦坂はロシアへ向かう。二人が会っていると、ロシア連邦保安局の襲撃者が迫ってきて…。
経理課員の轢き逃げ死、失踪、そして横領疑惑。度重なる事件の裏には大企業の暗黒面が隠されていた。単身赴任中の出向社員が腐敗した会社の不正を暴いていく。正義のためというより、ただ愛するひとのために、たった一人の闘いが始まった。人生のレースから降りかけていた男が命懸けで真実に迫ろうと志したとき、女は…。
新冨宏ー男たちのオアシスは、この男なくして存在しなかった!!“ナイトカルチャー”の仕掛人にして夜の世界に革命を起こした男の半生を、稀代のヒットメーカー・倉科遼が描き出す。
作家の彦坂和彦は、太平天国の乱をテーマにした作品を執筆するため中国へ取材旅行に出かけた。上海で新彊省出身の若い女性と知り合い、一緒に南京へ行くことになる。彼女は、北京政府からの分離独立を求めるテロリスト・グループの活動家だった。共感した彦坂は、彼女たちの計画に協力する約束をする。なんとその計画とは、2008年の北京オリンピックを中止させるべくメインスタジアムを爆破する、というものだった。公安の追跡を逃れながら、いよいよ実行の日が近づく-。
「パパが、ママが、帰ってこないの」警視庁捜査一課、岡部警部の部下・坂口を五歳の姪が訪ねて訴えた。姉夫婦に何が!?不吉な予感に襲われる坂口に、殺された義兄が福島県郡山近郊の石川町で見つかったという悲報が届く。現地に飛んだ坂口は、古典文学の研究者・吉川弘一から、数日前に義兄を佐賀県有明町で目撃したという証言を得る。二つの町には王朝の歌人和泉式部の史蹟があり、義兄は失踪直前に「イズミ」という言葉を残していた。事件の背景に和泉式部が関係しているのか!?やがて姉も他殺体で発見され、両親を喪った幼い姪のため、若き刑事は事件解決に乗り出した。
そこにあるのは胸躍る冒険物語、それとも恐怖に彩られた悪夢か。めくるめく夢と幻想の迷宮へようこそ…本格ミステリの俊英の初期から現在に至る傑作十編を精選!特別エッセイも併録したファン待望の非ミステリ・ノンシリーズの幻想怪奇作品集。
橿原市近郊の伝建地区・今井町の「今井まちなみ交流センター・華甍」につとめる青垣万穂は、奇妙な手紙を受け取る。新聞の活字を切り張りしたそれには、意味不明の文章がつづられていた。偶然町へ調査に来ていた伝建地区調査員の竹之内春彦に相談したところ、彼は簡単に隠されていた意味を読み解いた。それによると、今井町の旧家である青菅家への招待状だという。半信半疑で青菅家へ出かけた万穂たちだが、そこで彼らが見つけたものは、周囲を金屏風とクチナシの花に飾られた女性の全裸死体だった-。
林首相は、戦前から台湾自治を求めて、台湾議会設置請願運動を行ってきた活動家だ。ついには日本帝国議会でも請願の演説を行い、万雷の拍手を送られたこともある。だが、四五年。アメリカ政府から彼に渡された国は、琉球台湾連邦という、いびつなものだった。日本軍国主義を潰せばアジアでの問題は消滅する。広大な中国市場は、待ち焦がれていたアメリカと熱く抱き合うだろう、などと考えている連中。その夢見がちなニューディーラー達が支えるアメリカ民主党政権は、この地域の複雑性などまったく理解していない。彼らは、“ジェネラリッシモ”蒋介石が、沖縄を大琉球、台湾を小球琉と呼んでいた明代の故事を持ち出すと、あっさりとその島々の所有権を中国に認めた。そしていかにもアメリカらしく、沖縄と台湾をまず“民主的に統合”して、近代国家とし、中国にプレゼントすることにしたのだ。