出版社 : ポプラ社
長野県塩尻市・桔梗ヶ原学園。生徒たちがブドウ栽培からワインを瓶詰めにする工程までを実際に手がける、全国でも珍しい「ワイン醸造」を学べる高校だ。北村いちる・百瀬結生子・奥沢美麓の三人の少女は、それぞれに抱える事情のため、ワイン醸造を学ぶ決意をする。三人は、ときには激しくぶつかりあい、ときには支えあい、挫折をくりかえしながら、ひたすらワインづくりに没頭していく。そんなワインガールズたちの情熱が、やがて「奇跡のワイン」を生み出すことになる…。
江の島に「ねこもりさん」と呼ばれる女たちがいた。それは島の猫の世話をするという、とある食堂の隠れた仕事。 1912年のすみゑ、1967年の筆、1988年の溶子、そして2017年の麻布。一家の女たちが、ねこもりとして生きたそれぞれの人生は、新しい命を結び、未来を繋いでいく。あなたの血にもきっと流れている、百年の物語。 目には見えなくても、そうとは知らなくとも、私たちの中には確実に、母から、祖母から、脈々と引き継いだものが存在するのだ。それが今の自分を作っていると思うと、なんだか自分自身が愛おしくなってくる。--大矢博子(書評家)
平穏で地味に見えても、それだけですむ人生なんてない。同窓会の案内がきっかけで二十年ぶりに連絡を取り合った六人の女性。犬と暮らす失業中の領子、娘との関係に悩む明子、元恋人の死に夫が関わっていたのではと疑う穂乃香…深い感動が胸を打つ、終わりと始まりの物語。
<内容> 小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。物静かな店主・弓子が活字を拾い、丁寧に刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い……。活字と言葉の温かみに、優しい涙が流れる感動作。 静岡書店大賞を受賞・ブクログ1位・読書メーター1位など、話題沸騰の人気シリーズ、待望の第二弾! <もくじ> ちょうちょうの朗読会 あわゆきのあと 海からの手紙 我らの西部劇 <プロフィール> ほしおさなえ 1964年東京都生まれ。作家・詩人。1995年『影をめくるとき』が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』にて、第12回鮎川哲也賞最終候補。『空き家課まぼろし譚』『活版印刷三日月堂』「ものだま探偵団」シリーズなど著作多数。
懐かしくて新しい! 立ち上る空気、怪しげな匂い、全ての質感をそのままに、 藤谷治が「少年探偵団」を現代に甦らせる! 霧の中から現れる怪しい灰色の紳士カクイ。呪われた美しい首飾り。美しいバイオリニストの少女。そしてわれらの少年探偵団。 少年達が心をときめかせたあの装丁、語り口。立ちのぼる空気と気配まで徹底再現して、“彼ら”が藤谷治の手によって現代に復活する!
東京は浅草、浅草寺近くに昭和のはじめから存在する銭湯「明日の湯」。 三代目の三助は現役の大学生。失踪した父親のかわりに、 三代目として毎日番台に掃除にと、雑務に駆りだされる日々。 そのせいで彼女もできないし、就活はおろか、単位も危ない。 時代遅れの銭湯なんか継ぐ気はないーーのに、口うるさいばあちゃんと、 天然ぶりがすさまじい母親と一緒に、仕方なく切り盛りしている。 何事もなくのんびりまったり暮らしていたい三助のもとには、しかし、毎日珍客が訪れる。 三助はしぶしぶ彼らの悩み解決に手を貸すことにーー。 あたたかいお湯と人情が疲れた心と身体をあたためる、ほっこり銭湯ミステリー。
古今東西に伝わるさまざまなプリンセス・ストーリーを、現代に置き換えたとしたら、どんな物語になるのでしょうか? 人気の女性作家六人が、それぞれが選んだ題材をもとに物語を書き下ろすアンソロジー集。女性ならではの優しさあり、はたまたぴりりとする毒もあり、個性豊かで小気味良い物語が集まりました。 寺地はるな×鉢かづき姫 飛鳥井千砂×踊る12人のお姫様 島本理生×ラプンツェル 加藤千恵×エンドウ豆の上に寝たお姫様 藤岡陽子×乙姫 大山淳子×眠り姫
時は、天保九年。大飢饉と悪政により、江戸には窮民が溢れかえっていた。強請りたかりを生業にする茶坊主・河内山宗俊は、時の老中・水野忠邦に捕らえられ、ある謀略を持ちかけられる。幕府の金で私腹を肥やす不届き者から、金を根こそぎ奪えという。狙いは、大御所・徳川家斉の側近中の側近、中野碩翁の隠し財産十万両に定まった。しかし贅を尽くした中野屋敷の金蔵には、危険なからくりが何重にも仕掛けられている。無謀も無謀の大博奕に、河内山は選りすぐりの悪党たちを呼び集めた。予測不能の騙し合いの果てに浮かび上がる、真の目論見とはー?新たなダーク・ヒーロー堂々誕生!息苦しい世に風穴穿つ、比類なきエンターテインメント!
実家である天瀬ワイナリーを営み発展させてきた母が、突然倒れ、かえらぬ人となった。 優秀で美しい母を目指して生きてきた双子の姉・光実(みつみ)と、二十六歳になっても逃げることばかり考えている弟・歩(あゆむ)は、自分たちを支えてくれていた母を失い、家業を継ぐ決意をする。 デビュー作『ビオレタ』で高い評価を集めた期待の新鋭による、優しい涙がこみあげる感動作。
元「怪盗紳士」も、若手刑事も、ちょっと不思議な花屋さんもいる花咲小路商店街。たくさんのユニークな人々が暮らし、日々大小さまざまな事件が起こる。今回の舞台は花咲小路唯一の深夜営業のお店、「喫茶ナイト」。商店街のみなさんの、夜にしかできない相談ごとに応えていてー。
2014年に江戸川乱歩生誕120年を記念して刊行されたアンソロジー「みんなの少年探偵団」。 子供時代、少年探偵団と怪人二十面相の息詰まる対決に胸を躍らせた過去を持つ豪華作家陣が、当時のドキドキ感を筆に込めて見事なオマージュ小説を書き上げ、各種メディアでも話題になった一冊。満を持して文庫化! <収録作> 万城目学「永遠」 湊かなえ「少女探偵団」 小路幸也「東京の探偵たち」 向井湘吾「指数犬」 藤谷治「解散二十面相」
三人組も42歳。子ども達も思春期を迎え、いじめ問題や反抗期など、それぞれが抱える悩みに親として立ち向かっていく。一方、かつて化けダヌキを封印していた狛犬が、再開発のため動かされたようでー。大好評のズッコケ中年三人組シリーズ第三弾!
中中央線高円寺駅、南口商店街。近くにできた全国チェーンの居酒屋におされ、治彦の店はつぶれかけている。カウンターだけの小さな店に半年ぶりに娘が顔を見せた。何があったのか別人のように髪を染め、「いっしょに釣りにいきたい」という。離れて暮らす父と娘のぎりぎりの愛情を描いた「花鯛」。しゃべりつづける「やっかいな子」と売れない役者の友情(「オニカサゴ」など、ワケあって釣りに出る人たちの胸があつくなる四篇。 収録作品:「花鯛」「オニカサゴ」「寒平目」「真鯛」
累計12万部突破『ハルさん』の著者が描く、 男子限定の料理教室! 京都の路地に佇む大正時代の町屋長屋。どこか謎めいた老婦人が営む「男子限定」の料理教室には、恋に奥手な建築家の卵に性別不詳の大学生、昔気質の職人など、事情を抱える生徒が集う。人々との繋がりとおいしい料理が心の空腹を温かく満たす連作短編集。特製レシピも収録!
あと一歩、あと一歩だったのにーー。 推理力抜群で華麗に犯人を追い詰めるのに、いつも最後の最後にまさかの展開が起き、同僚に手柄をとられてしまう押井(おしい)刑事・32歳。 周囲の呼び方はもはや「惜しい刑事」としか聞こえない。 次こそ完璧に事件を解決し、不本意な呼び名を返上するべく奮闘する押井だが、ああ、やっぱり今日もまた……。 出世知らず、彼女おらず、酒飲めず。とことん残念な刑事を、いつのまにか応援せずにいられない! 元お笑い芸人の横溝正史賞作家が魅せる、腹筋崩壊の連作コメディミステリ。 <目次> おしい刑事参上 おしい刑事のテスト 密着・おしい刑事 おしい刑事の雪冤 安楽椅子おしい刑事 おしい刑事よ永遠に <著者略歴> 藤崎翔(ふじさき・しょう) 1985年茨城県生まれ。高校卒業後、6年間お笑い芸人として活動。2014年に『神様の裏の顔』で第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『神様の裏の顔』(角川文庫)、『私情対談』(KADOKAWA)、『こんにちは刑事ちゃん』(中公文庫)がある。
東京の下町にある商店街のはじでひっそりと営業する「あずかりや・さとう」。店を訪れる客たちは、さまざまな事情を抱えて品物をあずけにくる。どんなものでも一日百円。店主の桐島はなぜこんな奇妙な店を開いたのか?その理由は、桐島の青春時代に隠されていたー。