出版社 : ベストセラ-ズ
戦後の業界再建に一丸となっていたアイチ自動車が突然の経営危機に陥った。社長の佐一郎は全策に奔走するが…。メインバンクたる関西系都銀の冷酷なあしらいの前に万事休した時、支援の手は意外にも…。日銀の底力と人脈の妙、そして一人の女。トヨタの怨念と15年目の復讐をモデルに描く迫真の経済小説。
美人国際政治学者と秘かなくつろぎの時をすごす総理大臣秘書官の部屋に、1通のファクスが送られてきた。日米経済摩擦下で演じられたFSX(次期支援戦闘機)開発汚職…。産軍複合企業と利権の実態…。旧体制派の一掃を謀ってきた若手官僚グループは、凛然と平成維新の計画に立ち上がった。
FSX(次期支援戦闘機)開発汚職は日米の国際疑獄事件へと発展した。すみやかに揉み消しの強手を放つ旧体制派。身辺にうごめく怪しい視線…。厳しい攻防は偵察用軍事通信衛星の予算査定の場へともつれこむが…。テロの波紋。恋人との別離。愛妻の死。そして誇り高き高級官僚の闘いは今-。
ときには弟と妹のため、ときには愛しき女のために、古流・流球拳法が唸る!炸裂する!L・Aのリトル・トーキョーで保安主任をつとめる「おれ」に、ある日、悲しい知らせがとどいた。旅行代理店につとめている弟が、植物人間にされてしまったというのだ。いったい誰の仕業なのか?何のために?「おれ」は見えない敵を追って、徒手空拳で立ち向かう決心をした…。シアトル、バンクーバー、香港などを舞台に、気鋭の著者が乾いた文体で男の情念を描く、ハードボイルドタッチの連作推理。
山陽商事・城之内会長の部屋から白昼堂々、艶かしい声が聞こえてくる。声の主は城之内の秘書、1年前に夫と死別した美貌の未亡人・高原千草、28歳。好色の絶倫で知られる城之内の卓越した技巧が、千草の貞淑な仮面を剥がしていく。やがて、女の歓びを完全に呼び覚まされたとき、千草は商談相手に、その肢体をさらけ出す女に-。今夜もまた、未亡人秘書の唇が、妖しく淫らに男たちをとらえて離さない。
木辺勤は、「ハイテク球場の裏表」の取材で、エアドームにやってきた。スコアラーの片山との久しぶりの再会。片山は怯えた目でまわりを気にしながらいった。「ぼくらの商売はね、何かあると、スコアカードに書きこむ癖がつくものなんですよ」そしてその夜、彼はドーム内で死んだ。自殺か、他殺か-。木辺は、死体のそばに落ちていたスコアカードに、考えられないような間違いを発見した。そこから浮かびあがった“49-N”という記号は何を意味するのか。いま球場に、殺意の香りが漂いはじめる。野球ミステリー集。