小説むすび | 著者 : 山吹静吽

著者 : 山吹静吽

夜の都夜の都

出版社

KADOKAWA

発売日

2022年3月29日 発売

異国から来た少女は、眠りの世界で魔女修行をする。「夜の都」を望む異界を訪れて。 魔女の「クダン」から教わるのは、妖精の鱗粉を触媒とした、月の姫から授かりし魔術。 亡者どもを追い払う任務を、世界を守る役目を、図らずも背負わされた少女の運命は。 圧倒的な想像力が世界を創造する、あまりにも美しく苛烈な、ヒストリカル・ネオファンタジー×魔法少女物語。 === 1920年代前半(大正時代)、父と義母とともに、『ガリヴァー旅行記』に登場する東洋の島国を訪れた14歳の少女・ライラ。 7日間を保養地のホテルで過ごすことになったライラだが、古い祠として祀られていた岩井戸で、底から湧き出た星のような小さな光の粉が眼に入ってしまう。 部屋に帰り猛烈な睡魔に襲われた彼女がベッドに倒れ込むと、なぜかそのまま真っ暗闇の空間を落下し、気が付くと見知らぬ場所にいた。 月のように巨大なシャンデリア、大理石の環状列柱が支える絢爛の大広間。 夢だと思ったライラが不思議な空間をさまようと、何処かで電話機のベルが鳴っている。 応答したライラに語り掛けてきた相手は、「月の姫より直々に眠りの魔術を授かりし禍の魔女」で「クダン」と自らを呼ぶようにと言った。 クダンはここが「星の界の異界」であり、空の彼方に屹立する摩天楼群を「夜の都」だと語るのだが……。 日本ホラー小説大賞出身作家、待望の第2作。 === 装画=朱華 「眠る島」 2021 夜の都 もくじ 古代東洋魔術の萌芽 西洋による再発見 魔道概論 各論、及び魔術過剰使用による危険性 決闘礼法 魔道再興計画要綱

迷い家迷い家

出版社

KADOKAWA

発売日

2017年11月9日 発売

=== 第24回日本ホラー小説大賞 優秀賞受賞作 (選考委員:綾辻行人、貴志祐介、宮部みゆき) 綾辻行人「作品に強烈な“圧”がみなぎっている」 貴志祐介「エンタメ=壮大な虚構の極北として感動すら覚えた」 宮部みゆき「作者の物怪に対する愛情と、この分野の先達へのリスペクトが感じられた」 (選評より) ここは迷い家。妖と霊宝を隠世(かくりよ)に閉じ込める屋敷ーー 昭和20年。火の雨降る東京大空襲から生き残った少年・冬野心造は、遅れて母校の集団疎開に合流した。 民話が息づく地・古森塚で、妹の真那子が行方不明となる。 妹と一緒に脱走を図った香苗の証言を基に山に分け入った心造の前に忽然と現れたのは、見渡す限りの蕗の原にたたずむ巨大な屋敷だった。 妹を捜して屋敷を探索するが、妖怪とでも言うべき怪物に次々と襲撃される心造。彼を助けたのは、老犬「しっぺい太郎」だった。 しっぺい太郎が語るには、屋敷は現世を追われた妖や、霊宝と言われる道具を封じるための異界で、稀に人も閉じ込められるという。 妹探しに協力してくれるという太郎だったが、そこにはあるたくらみがあった。 そして、脱出を図り様々な霊宝を使ううちに、大日本帝国の勝利を願う軍国少年としての紅蓮の野望が、心造の心に芽生えてくる。果たして心造が試みたことは、その結末は……。  ◆  時代は下り、古森塚で教師になった香苗。街は、東京オリンピック決定で浮かれている。 香苗には、どうしてもぼやけてしまう疎開時代の記憶があった。 ある日、病院から姿を消した義父の後を追い山に入った香苗は、山中で巨大な屋敷を発見し……。 少年の哀しき紅蓮の野望が怪異まみれの「お屋敷」と共振する、新時代の怪奇冒険小説! 『遠野物語』はじめ様々な民話伝承を壮大な物語に取り込み、 清濁と、今昔と、栄枯と、虚実と、人と怪とを併せ呑んだ規格外の山怪譚。 装画=漆原友紀(『蟲師』『水域』ほか)

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