著者 : パリュスあや子
僕は、変わる。 もう一度、妻に会いに行く。 1,200kmの過酷な旅路を輝かせる、勇気と優しさの物語。 還暦を過ぎ、突如ひとり身に。 途方に暮れる男は、一念発起しフランスへ飛ぶ。 8,000人が集う、伝説の自転車イベントに参加するためだ。 完走すれば、平凡な自分も胸を張れるーー。 家族の再生をかけた戦いが始まった! 〈あらすじ〉 「好きな人ができた」。 その一言で、穏やかな日々はひっくり返った。 妻に捨てられ呆然とする進は、自転車イベント〈ブルベ〉に出会う。 勝ち負けは存在しない。目指すのは、制限時間内の完走だけ。 ままならない現実から目を逸らし、無我夢中でペダルを漕ぎ続けるうち、進は決意する。 「僕は、弱い自分を変えたい」 世界中の自転車乗りが憧れる大イベント〈パリ・ブレスト・パリ〉で1,200kmを走り切り、これまでの自分と決別する。 そして、妻に会いに行くーー。
彼は私を、彼女は僕を、止められないーー 傾き続ける世界で、必死に立っている。 なにかに依存するのは、生きている証だ。 ーー中江有里(女優・作家) 依存しているのか、依存させられているのか。 彼、彼女らは、明日の私たちかもしれない。 ーー三宅香帆(書評家) 現代人の約七割が、依存症!? 盗り続けてしまう人、刺激臭が癖になる人、運動せずにはいられない人、鏡をよく見る人、 緊張すると掻いてしまう人、スマホを手放せない人ーー抜けられない、やめられない。 人間の衝動を描いた新感覚の六篇。小説現代長編新人賞受賞後第一作!
第14回小説現代長編新人賞受賞作。 現代の社会が抱える問題と巧くリンクさせ、登場人物の置かれた環境や心情を通じて難民や移住外国人の受け入れ、違法労働について投げかけてくるところに作者の並みならぬ手腕を感じた。 ーー朝井まかて 小説の主軸は三人の女性それぞれの日常にある生きづらさの描写にあり、それが作者と地続きのテーマであるだけに、とてもよく描けている。 ーー中島京子 3人の女優が名演技を魅せる舞台劇のような佳作だ。突きつけられた問題は深い。 ーー出口治明 (APU学長) 異国の地で生まれたこの小説は、タフで真面目で意表をつく。 ーー筒井ともみ (脚本家) それぞれの女性が何やら糸で繋がっている気配もよく描けていた。才気が随所に感じられた。 ーー伊集院静 人々の出来事や心の動きが丁寧につづられ、読んでいて好感を抱くものだった。 ーー宮内悠介 惑星難民に拘らず、今を生きる私たちの世相を風刺している。 ーー紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子 20xx年、惑星難民xの受け入れが世界的に認められつつあるなか、日本においても「惑星難民受け入れ法案」が可決された。惑星xの内紛により宇宙を漂っていた「惑星生物x」は、対象物の見た目から考え方、言語まで、スキャンするように取り込むことが可能な無色透明の単細胞生物。アメリカでは、スキャン後に人型となった惑星生物xのことを「惑星難民x」という名称に統一し、受け入れることを宣言する。日本政府も同様に、日本人型となった「惑星難民x」を受け入れ、マイナンバーを授与し、日本国籍を持つ日本人として社会に溶け込ませることを発表した。郊外に住む、新卒派遣として大手企業に勤務する土留紗央、就職氷河期世代でコンビニと宝くじ売り場のかけもちバイトで暮らす柏木良子、来日二年目で大学進学を目指すベトナム人留学生グエン・チー・リエン。境遇の異なる3人は、難民受け入れが発表される社会で、ゆるやかに交差していく。