2004年10月27日発売
テンポを遅めにとり楽器配置に仕掛けを施すことにより、個々のフレーズが孕む妄想的物語をあざといまでに増幅させたユニークな「幻想」。第5楽章の鐘の妖しいような倍音が内声楽器の響きの幻影のように後を引く、そんな微細な音響風景がたまらなく耳をひきつける。
ヘンスラーとSWRのコラボによるノリントンとシュトゥットガルト放響のライヴ・シリーズ。「グレート」ではこれまで以上に、ピリオド楽器奏法と現代楽器オケの融合による新たな演奏表現の追及という課題に対して、ほぼ完成形の様式が提示されたようだ。快演。
制作・出演
クリスティアーネ・エルツェ / クリストファー・マルトマン / シュトゥットガルト放送交響楽団 / シュトゥットガルト放送声楽アンサンブル / ベルリオーズ / マーク・パドモア / ラルフ・ルーカス / ロジャー・ノリントン発売元
キングレコード株式会社壮大な劇的表現を得意としたベルリオーズとしては珍しく古典的均整を保った素朴な味わいの佳曲。エジプトへ逃れる幼子イエスを祝福する合唱の清澄な響きなど、ひなびた美しさが醸し出される。隠れた名曲の真髄を解き明かすノリントン白熱のライヴである。
制作・出演
イリス・ヴェルミヨン / カミッラ・ニルンド / ゲヒンゲン聖歌隊 / シュトゥットガルト放送交響楽団 / フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ / ベートーヴェン / ヨナス・カウフマン / ロジャー・ノリントン発売元
キングレコード株式会社一世を風靡した古楽器によるベートーヴェンやモーツァルト演奏も、どうやら落ち着いた感じだが、その影響はやはり大きい。明快なリズムの処理によって、音楽に推進力を与え、余分な響きを抑えることで曲の構成をクッキリと浮かび上がらせる。そのような音楽性はノリントンのベースとなっている要素。古楽奏法と現代オーケストラとの融合をはかることで新しい演奏スタイルを作り上げている。初期の交響曲における躍動的な音楽の進行はすばらしいし、7番や8番の生彩あるリズムの乱舞も聴きもの。注目すべき全集だ。
作曲家、ピアニスト、詩人として活躍するアウエルバッハ(73年生まれ)が弾く神童モーツァルトの小品集。「ナンネルの楽譜帳」はモーツァルトの5、6歳の頃の作品集。ごく短い可愛らしい曲を元・天才少女がチャーミングに奏でる。
キャリア10年を超えるオーストラリアの人気トリオのベスト。初期のハードコア然としたナンバーから、最近のリズムによってヴァリエーションがつけられたものまで彼らの人懐こさが感じられる一枚。本作のために書かれた新曲も2曲((1)と(6))収録。