発売元 : ビクターエンタテインメント株式会社
近代日本の偉大な作曲家というばかりが先行して、意外と業績が知られていないのが山田耕筰である。全60曲のラインナップを見ても、近代歌曲の作曲や、民謡・俗謡の編曲などを通して日本語歌謡の表現をつきつめた人だということがわかる。
レイモンド・ルフェーヴルの息子ジャンの編曲と指揮による、パリ録音第2作目。きれいな声でうたわれる歌は、どれも美しいが、その美しさに流れてしまうきらいもある。それは多分に訳詞の問題もあるが、もっと曲によってはドラマがほしい。
76年7月発表の3枚目のアルバム。夏をイメージした曲で構成されているが、すでに岩崎宏美はヴォーカリストとしてアイドルの枠を超えていた。ヒット曲(1)はアイドル専科の阿久=筒美コンビの作品。松本隆=萩田コンビの(4)にはビックリするはずです。
いまではディナーショーの出演料が歌謡界のトップ・クラスと肩を並べるほどビッグになった彼女のデビュー作。77年録音。この時24歳だが現在に近い歌い方をしているのが面白い。リズム・アレンジはフュージョン風。くすぐったいほどキュートな声だ。
78年録音のセカンド・アルバム。もちろんいまもチャーミングだけど、この頃の声はピッチも若干高く、ひたすらキュート。当時、男どもはみんなこの声にいかれてしまったものだ。編曲とプロデュースは有馬すすむ。ムード満点のギターは杉本喜代志。
80年発表のサード・アルバム。時のヒット・ソングのカヴァー集という何でもない企画だが、この可愛らしい歌声が発表当時は不思議なセンセーションを巻き起こしていた。歌と同じように、非常にライト・タッチの色香を漂わせるアルバム・カヴァーも印象的。
ニュー・リリース作はチャーや武内享、森雪之丞といった友人が作家でゲスト参加。そのキバリのない自然な歌声は、若気の至りを超えた女性だけが獲得するであろう“ピュア”さを象徴するよう。CD盤の入れ物に、ハートのマスコットが1コ入ってます。
ドラマーのゴンザレス鈴木を中心とした、ボサ・ノヴァ・ユニット。ヴォーカルやホーンも入れ、軽快でオシャレで、今風のボサ・ノヴァ・サウンドを聴かせている。渋谷系の若者たちに受けそうだが、演奏そのものはとてもしっかりしているから、気持ちよく聴ける。
もうキャリア20年も過ぎようかというベテランなのに、今も変わらずみずみずしい。これはもう、シーナと鮎川氏のロックに対するピュアな愛の成せるワザだろう。トンがっていて、なおかつキュートでポップ。ライヴ・テイクのテンションの高さも聴きモノ。
日本のメジャー・シーンで活躍する数少ないパンク・バンド、スタークラブのベスト盤。ライヴで演奏されることの多い、86年〜90年の曲をデジタル・リマスター。(2)はプロモーショナル・ヴァージョン。貧乏なパンクスにはありがたい¥2,200のロー・プライス。
日本の合唱界でまことにユニークな存在の芸能山城組が、およそ非西欧的な構造をもつアフリカ各地の合唱的歌唱に挑んだ力作。モロッコからボツワナに至るアフリカの歌をこなしてしまうその気迫のほどにおそれいるが、やはり日本人の合唱である意義が大きい。
中村とうよう氏プロデュースによる78年発表の4枚目。ご存じシューベルトの有名な(1)に始まり、ブルガリアン・コーラスから影響を受けた(3)、グルジア民謡の(4)など多彩な合唱曲を、形式ばったところのない内発的な解釈で一気に聴かせてくれる。今でも新鮮。
アルバム『SWITCHBLADE』から7曲セレクトしてリミックス。リミキサーもメンバーからミート・ビート・マニフェストなどボディ・ジャンク系に強い人ばかり。とはいえ作品自体は、トランス系かアンビエントな雰囲気の強い楽曲へと仕上がっている。
ノイジーかつジャンクなサウンドから、アヴァンギャルド、ポップ、コア、中近東モノなど。バクチクの今井寿とソフトバレエの藤井麻貴のマニアックかつノイジーな打ち込み楽曲趣向がモロ現れた、全体的には散漫ながら各曲毎のクオリティは非常に高い実験音楽作。
3部作の最後を締めくくるリミックス集。ウルトラマリンやエイフェックス・ツインなど、ブリティッシュ・テクノの精鋭たちの手で、もうひとつのナーヴ・カッツェが作り上げられている。オリジナルとの、解釈のギャップを聴き比べると楽しいはずだ。